【面会交流】面会交流の頻度や時間・費用負担について解説します【どう過ごす?】

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士

過去のコラムでは面会交流に関して,子どもへの配慮や問題のある親との交流方法等について解説してまいりました。

今回は監護親・非監護親双方が面会交流の実施に同意したあと,
具体的に「どのくらいの頻度」「1回あたりの交流時間」「面会時にかかる費用」の取り決めや間接交流の方法について解説したいと思います。

目次

面会交流の基本的な条件

面会交流実施に向けた配慮・工夫

面会交流を継続的に実施する方策として以下の4点が挙げられます。

  • 監護親と非監護親が接触したり,交渉を要する場面をできるだけ少なくする
  • 送迎等における監護親の負担を少なくする
  • 実施の回数,時間,場所においても,監護親や子に負担のかからない方法を選ぶ
  • 面会交流の内容は子が嫌がるものであってはならない

面会交流の頻度や1回あたりの時間

当職が担当した事例においては,面会交流を行う頻度は当事者や子どもの負担を考え,月に1回程度とするものが圧倒的に多いです。
ただしそれに加え,非監護親に対し塾や習い事の送迎を認めたり,電話やメール・LINEなどの間接交流を組み合わせる場合もあります。
1回あたりの面会交流時間は午前中のみであったり,午前9時~午後5時など人によって様々です。子の年齢や事情,非監護親と子の関係によって変わります。

また子と非監護親の親愛関係が形成されていないか十分でない場合,最初からある程度まとまった時間の面会交流は困難な場合が多いです。
このような場合は,面会交流の回数及び時間を段階的に増やすという方法で実施し,親愛関係が深まるにつれて,その回数,時間を増やすという段階的拡大方法で交流を行っていくこともあります。

面会交流にかかる費用負担

面会交流においては子の飲食代,交通費,テーマパークの入場料等費用がかかる場面が多いです。
一般的には,子の受け渡し場所までの交通費は各自が負担し,その後の面会交流実施にかかる費用は非監護親が負担すべきと考えられています。
また,第三者機関の費用は折半とするもしくは非監護親の負担とする2つのパターンがあり,調停内で協議します。

面会交流の場所

子が幼少の場合は,長距離の移動によって生じる子の負担は小さくないといえるし,体調を害した場合などの対処には監護親が早急に駆けつけることが出来る態勢であることが子にとって必要ということもあり,監護親の住所に比較的近い場所で実施すべきと考えられています。

面会交流は具体的に何する?

月に1回の面会交流の時間,具体的に何をするのかというのは監護親・非監護親それぞれが気になることだと思います。
具体的には以下のようなことをして過ごすことが多いです。

  • 非監護親の自宅での交流
    非監護親の住居で一緒にテレビを見たり,食事をしたりして過ごすというものです。
  • 飲食店での交流
    親愛関係が充分でなく,会話が余続かないような事例ではこのような形での面会交流から始めることになります。
  • 公園での交流
    監護親がこれを見守るということも可能で,子が幼い場合に面会時間が比較的短い場合に利用されます。
    小中学生の場合,キャッチボールやサッカーをして遊ぶことが好きな子もいますので,ボール遊びが許可されている公園で一緒に遊ぶこともあります。
  • テーマパークでの交流
    子が希望すれば,こういった場所で交流するのも有益です。
  • スポーツ観戦
    子が好きな野球・サッカーなどを観戦しながら交流します。
    試合をきっかけに話が盛り上がるので,親密さが増すことが期待されます。
  • 博物館・美術館・水族館
    この知的好奇心を刺激し,学習意欲をかき立てることにも繋がります。
  • ショッピング
    子の誕生日近くの面会では一緒にプレゼントを買いに行くこともあります。
    毎回ショッピングに誘い玩具を買い与えていると,お金で子を釣っているのではないかと監護親に不信感を与えることになるので注意しましょう。
    また,こうしたトラブルを防ぐためプレゼントの頻度や金額の上限なども事前に話し合って決めておくことが大切です。
  • 習い事の送迎
    子が塾や習い事へ通っている場合,その送迎をするというものです。面会交流の時間は短いですが,その代わり頻度を増やすことも可能です。
    副次的な効果として,監護親の育児負担軽減が図れます。また,子が一生懸命勉強を頑張っている姿を非監護親が見ていれば,金銭面援助にも前向きとなることが期待されます。
    子の送迎については日程調整もしやすく,キャンセルされにくい内容となっています。
  • 学校行事への参加
    学校行事の内容として発表会・運動会・授業参観へ保護者として参加することが考えられます。
    ただし監護親と鉢合わせることがあるため,双方親の関係が悪くトラブルの懸念がある場合にはこの交流方法は認められません。
    非監護親の保育参加を認めなかった事例を以下に掲載します。

相手方(妻)が申立人(父)と未成年者との面会交流を強く拒否していることからすると,申立人(父)が保育所で参観することによって,当事者間に紛糾が発生し,未成年者に悪影響を与えかねないし,相手方(妻)の申立人(父)に対する不信感を増大させる結果となり,かえって円満な面会交流の実施に支障が生じかねない

平成22年7月23日 大阪高等裁判所

宿泊をともなう面会交流を希望する場合

宿泊を伴う面会交流は,普段子どもと過ごせない非監護親にとっては長時間に渡り一緒に過ごすことが出来るため,楽しみにされる方も多いと思います。
一方監護親にとっては長時間にわたり非監護親のもとに子を預け,その間子の状況を把握できないため,不安な思いをされる方もいらっしゃいます。
そこで父母の間にこれを実施できるだけの信頼関係が充分に形成されているような場合には,夏休み等の長期休暇中などに宿泊付の面会交流が認められることになります。
例えば,平成18年7月31日,東京家庭裁判所は,父と母との間に面会交流についての信頼関係が十分に形成されていないこと等を理由として宿泊付の面会交流は認めませんでした。

また特殊な例として,監護親やその親族が,非監護親の子と関係を故意に悪化させていたような場合に,監護親や親族等から一時離別して,子と非監護親の親愛関係を形成する目的で宿泊付面会交流が認められることもあります。

平成2年12月3日岡山家庭裁判所では,母が別居後父と一緒に生活している子に対する面会交流を求めた事案において,
義母(父の母親)が母を誹謗中傷し,子らがこれを信じたことで,子が母に強い拒否反応を示していることが,子の健全な心身発達を阻害しているとして
子と母の心的な信頼関係を回復すべく,当面子らの学校の長期休暇期間中に一定期間母の住居へ宿泊するという形での面会交流を認めたという事案もあります。

第三者機関とは

第三者機関とは,当事者同士での面会交流が難しい場合にその仲介をしてくれる機関です。
では,第三者機関は面会交流時どのようなことをしてくれるのでしょうか。
一般的に第三者機関の関与の方法は以下の2つが挙げられます。

子の受け渡しの関与

監護親と非監護親とが直接顔を合わせることを避ける必要がある場合
当事者に代わって子の受け渡しを行ってくれます。

面会交流への立会い

子が乳幼児で,非監護親と子の間に面識が薄く,非監護親以外の保護者が必要な場合には,第三者機関の立会いが必要とされることがあります。
また,父母間に信頼関係がない場合や,非監護親が面会交流のルール違反をする恐れがある場合にも第三者機関の立会が必要とされることがあります。

ルール違反の例として,子の連れ去り・暴言・監護親に対する非難
住所を明かしてない場合には監護親の住所や子の学校名を聞き出すようなことが考えられます。

第三者機関にはどういったところがある?

従前,東京家庭裁判所の調停などでは,公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)が利用されることが多かったですが,最近では,他の第三者機関が利用されることもあります。
第三者機関ごとに,何歳まで立会型を利用出来るのか等の制度,利用料金等が異なりますので,当事者双方で話し合って,どこを利用するかを決めることになります。

間接交流について

間接交流は,子が面会交流に対して拒否的な反応を示したり,不安感がある時など,直接的な面会交流が困難な場合に,これに代わる方法として認められることが多いです。
ただし,非監護親に対して拒否的な感情を抱いている場合などに,非監護親から手紙やプレゼント等が来ると,子は,これを受け取るべきか否かについて悩むことがあります
受け取りたくないが,受け取らないと非監護親や監護親に悪いのではないかと思い悩むこともあります。
また,非監護親に自分の写真を送るなど非監護親に自分のことを知られることを嫌がる場合もあります
さらに,子にとって,非監護親に対して手紙を書いて自分の心情などを文章にすることが,直接会うこと以上に心理的負担になり,苦痛を感じ,憂鬱になることもあります
このように,一般的には直接的な面会交流よりも間接的な面会交流の方が子に与える影響は少ないと考えられていますが,状況によっては,間接的な面会交流が子にとって苦痛をもたらし,あるいは悩みの原因になるため,間接交流の方法は事案毎に慎重に検討すべきでしょう。

間接交流の具体的な方法

双方向の方法

電話やZOOM等の映像を伴う交信での交流。

非監護親からする方法

手紙,メールによる交信があります。これに子が返信をすれば,双方向の交流となりますが,子が返信するかは子の意思に委ねられます。
また,誕生日やクリスマスなどにプレゼントを送ったり,正月にお年玉を送ることも含まれます。
なお,監護親が住所を秘匿にしているため,プレゼントを直接,監護親に送付出来ないことがあります。このようなときは,監護親の親族等の第三者を介してやりとりする必要があります

監護親からする方法

監護親から,非監護親に対し,子の写真,成績表,近況報告などを送ることが挙げられます。
現在は郵便以外の連絡手段が多様化しているため,電子メールにデータを添付したり,子の様子を携帯電話で撮影してそのまま送信したりすることがあります。

直接交流も間接交流も認められない場合はある?

子に対する虐待があり,子が深刻な被害を被っていたりや恐怖心を抱いている場合には,間接交流も認めらません。
また,子の年齢が上がり,自分の写真や成績表を送られることに否定的な態度を示している場合や,送られた写真がインターネット上に公開されるおそれがある場合などにも,認められないでしょう。

面会交流の条件の変更はできる?

調停や審判などで決まった面会交流の条件も,その後,事情が変化した場合に変更することが出来ます。
お互い話し合って変更することが出来ますが,話し合えない時や意見が一致しない場合には,再度,調停を申し立てたり,審判を申し立てることになります。
事情の変化とは,例えば,子が大きくなり,スポーツクラブ,塾などで子が忙しくなった場合,面会交流の場で,非監護親が離婚に対する自分の言い分や監護親の悪口などを子に話すなど面会交流のルール違反を繰り返すような場合,監護親が面会を拒否している場合などです。

まとめ

ここまで面会交流の実施における具体的な事柄を解説してまいりました。
第三者機関を利用しながら交流する親子もいますし,非監護親との関係が良好なため宿泊を伴う面会交流を実施している親子等・・・
当事務所が取り扱った事例でもみなさん様々な形で面会交流をうまく実施されています。
このように上手く面会交流を行うためには,頻度・時間など子どもに負担が生じないよう配慮すること,監護親との面会の約束を守ること,この2点が大切であると考えます。

面会交流に関するコラムはこちら

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所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

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