【DV】DV・モラハラ被害者はなぜ加害者から逃げられないのか?被害者の6つの心理について解説!【モラハラ】

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士

配偶者からDVやモラハラの被害を受けている人を端から見ていると,

殴られて困っているなら警察や行政に相談したらいいのに・・・

あの家,一度モラハラ夫(妻)から逃げていたのにまたよりを戻している・・・


と思う方も多いでしょう。
被害者自身でも,「どうして?」と自身の行為を疑問に思ったり,
また同じ事を繰り返してしまうのになぜ元さやに戻ってしまうのかわからない方もいらっしゃるかもしれません。

実はDV・モラハラ被害者が加害者から逃げない・逃げてもまた戻ってしまうことはよくあることなのです。
DV・モラハラ被害者が加害者から離れられないのは,以下のような理由が考えられます。

目次

DV・モラハラ被害者が逃げられない6つの心理

①DV・モラハラ加害者に脅されている

「結婚したんだから,そんな簡単に家庭を捨てるな」,「夫婦の問題を誰かに相談したらどうなるかわかっているのか」など,加害者に脅されている可能性があります。
日常的に暴力や暴言により脅迫を受けている身からすれば,加害者から逃げると自分や親族たちが命の危険に晒されると思い込んでしまいます。

また,DV・モラハラ加害者からすんなりと逃げて縁が切れるかと言えばそうではありません。
例えば

  • 被害者の実家に押しかけて,親族を巻き込む事態となる。
  • 被害者の友人に手当たり次第,所在を聞き回る。
  • 被害者のスマホにしつこいほどのメールやライン・電話がかかってくる。

DV・モラハラ加害者は執念深い人間が多いです。
手軽に言うことを聞かせることができる,自分の支配欲を満たしてくれる相手を簡単に手放すようなことはしません。
また,被害者は自分が逃げることにより周囲に多大な迷惑をかけるという恐れがあることをわかっているので,逃げることを選択できないのです。

②周囲に頼れる人がいない

DV・モラハラの被害を家族や知人に訴えても「結婚したら多少なりともそういうところはある」,「わがままを言ったらダメだよ」と,
我慢を強いられたり,夫婦喧嘩の一種と捉えられ深刻に考えてもらえない可能性があります。

度重なる加害者からの暴力・暴言による支配で,正常な判断力を失いかけている被害者が,
信頼できる周囲からもそのような言葉をかけられたら「そんなものなのかな」と思ってしまうことは想像に難くありません。
また,結婚や相手の仕事に伴う引っ越し・転勤等で物理的に周囲に頼れる人がいない場合もあります。

「婦人相談所」「DVシェルター」をはじめとする公的機関などあなたが相談できる場所はたくさんあるのですが,
被害者の心が疲弊しきっていると,他者に頼るという考えさえも思い浮かばず1人で塞ぎ込んでしまう事態になります。

③経済的な心配がある

子どもが小さいために現在働くことが出来ない方や,
働こうとしても加害者に「家のことをおろそかにするな」,「互いに仕事をしていても家事の負担は全部お前だからな」などと言われ,外に出て働くことに消極的になっている方もいらっしゃいます。
そのような場合,生活していく資金が手元にないため,結果としてDV・モラハラ加害者から逃げることをためらってしまうことになります。
また,収入があっても加害者に全て管理され,自由に使えるお金が手元にない場合も考えられます。
このように配偶者を働かせない,必要最低限の金銭しか渡さない行動は経済的DVと呼んでいます。

逃げるためにはかなりの費用が必要になると考えられます。
実家や知人の家に避難するのであれば交通費,ビジネスホテルに泊まるなら宿泊費が必要になります。
また加害者が職場に連絡を入れる可能性もあるので,最悪の場合転職をしなければならないと考えるとそこでも金銭的な問題が発生します。
そのような様々な経済的要因を考えると「私が我慢すればいい・・・」と思い込んでしまいがちです。

④「自分のせいだから」と思い込んでいる

DV・モラハラ被害者は度重なる暴言暴力により,気づかないうちに「罪悪感」を植え付けられている可能性があります。

そもそもDV・モラハラ加害者は難癖をつけて「被害者に暴力や暴言を吐く理由」を作り出します。
例えば「作った料理がおいしくない」,「頼んだものを買い忘れている」,「掃除の仕方が雑だ」等,本当に些細なことです。
暴言暴力を行う理由は基本的に加害者の捉え方や気分次第で正解が変わるような内容なのです。
そして,そのような理由をつけると加害者は自分の暴力は相手に罰を与えるための正当な行為だと思い込むことが出来ます。
反対に被害者は「これは自分が悪いことをしたから,自分に至らない点があったから仕方がないんだ」と思い込むようになります
これは一種の洗脳行為といえるでしょう。

その結果被害者は「自分が悪いから怒らせてしまった」,「相手は自分のことを思って注意してくれている。」という自責思考になってしまうのです。

⑤加害者を見捨てることができない

「いつかDVやモラハラは直る,いつかわかってくれる」と思っている人がこれに該当します。

DV加害者の行動サイクルとして,暴力行為のあとは優しく接する時期があります(一般的に暴力を振るう時期を爆発期,優しくなる時期をハネムーン期と呼びます)
このときの加害者は,暴力の謝罪をし,被害者に対し感謝の言葉を述べたり,強い愛情を注ぐようになります。
この時期がくると被害者は「相手も言えばわかってくれる」,「手が出ることもあるけど本当は優しい人なんだ」と安心感を得たり,今後は夫婦うまくやっていけると期待するようになります。

このような爆発期とハネムーン期を繰り返していくうちに被害者も加害者の本性がわからなくなり,結果としてハネムーン期にスポットを当てがちになります。
「本当は優しい・・・」と思い込んでしまうと,加害者を見捨てることはできなくなり,結果として離れることができなくなってしまうのです。
時には「それってDVなんじゃない?」と心配をしてくれた人に対して,「あなたは本当のあの人のことがわかってない!」,「私にだけ心を開いている証拠だよ!」と助言を拒否さえする場合もあります。

DV・モラハラ加害者の行動サイクルについては以下のコラムも参考にしてみてください。

⑥今後ひとりで生きていくことに不安を感じている

DV加害者から逃げて,一人になったときあるいは自分と子どもだけになったときに先の人生に不安を感じるのは当然のことと思います。
「自分だけでこの先やっていけるのか?」
「私1人で子どもを育てていけるのか」
このような漠然とした不安も,DV・モラハラ加害者から逃げづらくさせているのです。

そして,DV・モラハラが原因となる離婚は,一般的な性格の不一致などの離婚と違い,加害者が執拗に自分を探しにくることが大いにありえます。そのため居場所がバレないよう,家族や仕事,時には友人関係も断ち切って,全く縁のない地で孤立無援で生きていく可能性を考える必要も出てきます。
しかし所在を隠し孤立無援で生活をすることに対する不安,これも被害者をより一層逃げづらくさせているのです

DV・モラハラから逃げるためには?

自分はDV・モラハラ被害者であることに気づく

配偶者から暴力や暴言を吐かれていても「これは夫婦喧嘩だ。私はDV・モラハラの被害者じゃない。」と思っている方は多くいらっしゃると思います。
また「これってDV・モラハラかも・・・」と思っていても,自分がDV・モラハラの被害者であることを認めたくない方もいらっしゃると思います。
ですが,そのような考えではこの先もずっと加害者の支配下での生活を強いられ,自分の人生を全うできなくなってしまいます。
まず自分が被害者であることを認めましょう。
そうすれば,相手の行動やこれまで自身が思い込んでいたことを客観視することができ,今後の人生をどう生きていくかを考えることができるようになると思います。

DV・モラハラが自分や子どもに与えている影響を理解する

DV・モラハラは被害者の肉体や精神に大きな悪影響をもたらします。
肉体的被害を挙げるとすると,暴力や物を投げられることにより被害者自身が怪我を負うこと等が考えられます。
暴力・暴言・無視の行為は,うつ病や不安障害などの精神的な被害を引き起こすこともあります。
また,DV・モラハラのストレスをお酒で紛らわし,結果としてアルコール依存になるという方もいらっしゃいます。

また子どもがDV・モラハラの現場を目撃している場合,それは面前DVに該当します。
面前DVは子どもの脳の萎縮や,自己肯定感の低下をまねく危険があります。
面前DVに関するコラムはこちら

このようにDV・モラハラは被害者自身や子どもに多大な悪影響をもたらします。
特に我が子の健全な成長を願うのであれば,DV・モラハラ加害者から逃げ出す以外選択肢はないと考えます。

DV・モラハラの相談・避難先一覧

スクロールできます
相談機関特徴
DV相談+(プラス)電話・メールは24時間365日対応。チャットは12:00~22:00。
外国語相談にも対応(チャット)。
DV相談ナビ#8008(はれれば)にかけると、発信地等の情報から最寄りの相談機関の窓口に電話が自動転送され、直接相談できる。

配偶者暴力支援センター

都道府県が設置する婦人相談所その他の適切な施設において、配偶者暴力相談支援センターの機能を果たしています。また、市町村も自らが設置する適切な施設において、配偶者暴力相談支援センターの機能を果たすよう努めます。配偶者暴力相談支援センターでは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため、

  • 相談や相談機関の紹介
  • カウンセリング
  • 被害者及び同伴者の緊急時における安全の確保及び一時保護(※)
  • 自立して生活することを促進するための情報提供その他の援助
  • 被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供その他の援助
  • 保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助

を行います。

引用元:男女共同参局

配偶者暴力相談支援センター一覧(全国) [PDF形式:315KB]別ウインドウで開きます

まとめ

DV・モラハラ加害者から逃げない(逃げられない)心理について解説してまいりました。
被害者自身の心情や現在の生活環境等のさまざまな要因が絡み合い,配偶者と別居・離婚をする決断をすることは難しいと思います。
しかし,もしあなたが今配偶者からの暴言や暴力から解放されたいと少しでも思うのであれば先のことはなんとかなるという気持ちで配偶者と別居・離婚するよう行動するのがよいでしょう。
頼れる人間が近くにいなくても,上記で紹介した公的相談窓口やシェルター或いは弁護士等があなたを助けてくれます。
またDV・モラハラの被害者の方々はなかなか相談しづらく1人で抱え込んでしまいがちです。
もし身内や友人がDV・モラハラの被害に遭っているかもしれない・・・と気づいた場合には,話を聞いてあげたり相談できる機関を紹介することも大切であると考えます。

元専業主婦の離婚体験記一覧はこちら

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所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。

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