DV被害者が加害者から逃げられない6つの心理

DVを受けている人を端から見ていると,「殴られるのが嫌だったら,逃げてしまえばいいのに」,「逃げてもどうしてまた戻ってしまうのだろう」と思う方も多いでしょう。被害者自身でも,「どうして?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

DV被害者が加害者から逃げられないのは,以下のような理由が考えられます。

目次

①加害者に「逃げるな」と脅されている

「結婚したんだから,そんな簡単に家庭を捨てるな」,「誰かに相談したらどうなるかわかっているのか」など,加害者に脅されている可能性があります。
日常的に暴力を振るわれている身からすれば,逃げたらどうなるかは考えるまでもありません。命の危険さえあるでしょう。

また,一度逃げれば相手との縁が切れるかと言えばそうではありません。

実家に逃げたとしたら実家に押しかけてくるでしょう。

友人の家に逃げたとしたら,心当たりのある家に手当たり次第に押しかけるでしょう。

DV加害者は,手軽に言うことを聞かせることができる,自分の支配欲を満たしてくれる相手をそう簡単には手放しません。
被害者はそのことを身にしみてわかっているので,逃げることを選択できないのです。


②周囲に頼れる人がいない

DVの被害を家族・知人に訴えても「結婚したら多少なりともそういうところはある」,「わがままを言ったらダメだよ」等,我慢を強いられる可能性があります。

被害者はただでさえ,度重なる加害者からの暴力による支配で,正常な判断力を失いかけているのに,信頼できる周囲からもそのような言葉をかけられたら「そんなものなのかな」と思ってしまうことは想像に難くありません。
また,結婚や相手の仕事に伴う引っ越し・転勤等で物理的に周囲に頼れる人がいない場合もあります。

そのような場合には「婦人相談所」「DVシェルター」などの公的機関に頼る方法があるのですが,被害者の心が疲弊しきっていて,それらに頼るという考えさえも思い浮かばないことも考えられます。

③金銭的な心配がある

育児の負担が大きくて,働きに出られないことや,パートやフルタイムで働こうとしても加害者に「働いても家のことをおろそかにするな」,「家事の負担は全部お前だからな」などと言われ,逃げられるほどの金銭が手元にない場合があります。
また,収入があっても加害者に取られてしまい,自由なお金がない場合もあります。

逃げるためにはかなりの費用が必要になると考えられます。実家や知人の家に逃げるならそこまでの交通費,ビジネスホテルに泊まるなら宿泊費,もし働いていたとしても,加害者が職場に押しかけてくる可能性もあるので,最悪の場合転職も考えなくてはなりません。

その負担を考えると「自分さえ我慢すれば・・・」と思ってしまう被害者もいるでしょう。

④「自分のせいだから」と思い込んでいる

DV被害者は度重なるDVのせいで,「罪悪感」を植え付けられている可能性があります。

そもそもDV加害者は難癖をつけて「被害者に暴力を振るう理由」を作り出します。
それは「作った料理がまずい」,「お前の考えは間違っている」,「掃除の仕方が雑だ」等,本当に些細なことであったり,加害者の捉え方次第で正解が変わるような内容です。

しかし,そのような理由をつけると加害者は自分の暴力が「罰を与えるための正当な行為」だと思い込むことが出来ます。反対に被害者は「これは自分が悪いことをしたから,至らないから仕方がないんだ」と思い込まされてしまいます。

その結果被害者は「自分が悪いから逃げるなんて考えられない」,「相手は自分のことを思ってやってくれてるのだから」という考えに至ってしまうのです。


⑤加害者を見捨てきれない

「いつかDV癖は直る,いつかわかってくれる」と思っている人がこれに当たります

DV加害者の行動サイクルとして,暴力行為のあとに急に優しくなることがあります(ハネムーン期,安定期と呼ばれます)。このときの加害者は,相手の行動に感謝をし,暴力の謝罪をし,愛の言葉をささやきます。
その落差により,被害者は「相手も言えばわかってくれる」,「時々手が出ちゃうけど本当はいい人なんだ」と安心します。

結果,被害者は加害者のことを見捨てきれず,逃げるという考えを失ってしまうのです。
時には「それってDVなんじゃない?」と心配をしてくれた人に対して,「あなたは本当のあの人のことがわかってない!」,「私にだけ心を開いている証拠だよ!」と助言を拒否さえする場合もあります。


⑥独り身になるのが不安

DV加害者から逃げて,一人になったとき,あるいは自分と子どもだけになったとき,独り身になる不安を感じる人もいるでしょう。
離婚を考えた場合,「自分の結婚相手の選択は間違っていた」,「今までの結婚生活は無駄だった」と認めてしまうことになります。

再婚を考えた場合,「もう二度といい人は現れないかも」と思ったり,また一からいい人を見つけ,交際を経て,お互いのことを知って・・・という長いプロセスを思い浮かべて途方もない気持ちになるかもしれません。

また,「自分だけでこの先やっていけるのだろうか」,「子どもを育てられるのだろうか」といった漠然とした不安は,逃げるための一歩を踏み出しづらくさせます。

そして,DV離婚は普通の離婚と違い,加害者が執拗に自分を探しにくることが大いにありえます。そのため居場所がバレないよう,家族や仕事,時には友人関係も断ち切って,全く縁のない地で孤立無援で生きていく可能性を考える必要があることも,被害者を一層逃げづらくさせるのです。




監修者情報

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけている。

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけている。

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