不機嫌で家族を支配する不機嫌ハラスメント(フキハラ)の実態と、不機嫌に振り回されないための心構えについて徹底解説!

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士

あなたの家族や職場で、不機嫌を表に出す人がいて困った経験はありませんか?

何の前触れもなく突然入る不機嫌スイッチに、周囲は戸惑ってしまいます。「私、何かしてしまったのかな」と考えてしまう人もいるでしょう。このように、不機嫌で周囲の人をコントロールしようとすることは「不機嫌ハラスメント」であり、「サイレントモラハラ」の一種であると言えます。

このコラムでは、不機嫌ハラスメント(フキハラ)の具体例や原因、そして不機嫌に振り回されないための心構えについて詳しく解説します!

目次

不機嫌ハラスメントとは

不機嫌ハラスメント、通称フキハラとは、夫や妻が家庭内で不機嫌な態度を取ることで、家族や配偶者に精神的な苦痛を与える行為を指します。フキハラは、特に家庭内で頻繁に起こる問題であり、誰かが突然怒ったりキレることで家族全体が不安定な状態に陥ります。

不機嫌ハラスメントは、モラハラ(モラルハラスメント)と同様に、外では良い人を装う場合が多く、家庭内でその不機嫌さが顕著に現れます。これは、無視やため息、言葉遣いの乱れなど、さまざまな形で表れます。

モラハラとの違い

フキハラは、モラハラと混同されがちですが、その本質には違いがあります。

モラハラは身体的暴力ではなく、言動で相手に精神的な苦痛を与える行為全般を指しています。具体例としては、言葉による攻撃や無視、過度な批判などが挙げられます。

一方、フキハラは「不機嫌」という特定の感情表現を手段として使うことが特徴です。モラハラが広範な心理的虐待を含むのに対し、フキハラはより限定的ながらもその影響は大きいです。

不機嫌ハラスメントの具体例

不機嫌ハラスメント、または「フキハラ」とは、家庭内で一方の配偶者が相手に対して不機嫌な態度を取り続けることにより、精神的な苦痛を与える行為を指します。

例えば、夫が仕事から帰宅して毎日機嫌が悪く、妻や子供たちに対して一切の会話を避け、無視するような行動を取ることが挙げられます。また、妻が食事に文句をつけたり、旦那に対して一切の感謝や愛情表現を見せず、無言の圧力をかけることも不機嫌ハラスメントの一例です。

フキハラの男女別の特徴

不機嫌ハラスメントは男女共に見られる問題ですが、その表れ方には違いが見られます。夫がフキハラを行う場合、機嫌が悪くなると黙り込んで無視を続けることが多く、家庭内でのコミュニケーションが極端に減少する傾向があります。一方、妻の場合は感情を爆発させてヒステリックになり、旦那を侮辱する言動が目立つことがあります。この違いが原因で、家族全体が不安定になるだけでなく、子供たちへの悪影響も深刻になり得るのです。

また、離婚を考える家族が増える中、フキハラがその一因となるケースも少なくありません。相手の不機嫌に耐えられず、精神的疲労が蓄積されていくことで夫婦関係が悪化するのです。モラハラやフキハラの問題に直面した場合は、早めに専門家に相談することが重要です。

フキハラをしてしまう心理

不機嫌ハラスメントをする人には、不機嫌な顔や態度を出して自分の欲求や意見を通したい(相手をコントロールしたい)という考えが根底にあります。モラハラと同じく、相手を支配・コントロールできると思っている相手にしか出さないので、職場の上司や目上の人にはフキハラすることはありません。一方で配偶者、子ども、自分が格下だと思っている人にはフキハラをするのです。

フキハラをする原因として、心理的要因と社会的要因が考えられます。

心理的要因

不機嫌ハラスメントの原因として、まず考えられるのが「心理的要因」です。不機嫌な態度を取る人々は、しばしば自己肯定感が低いことが共通点として挙げられます。自己評価が低いと周囲の評価や反応に過度に依存してしまい、不安やストレスを感じやすくなります。その結果、ネガティブな感情を周囲に向けてしまうのです。

また、幼少期の家庭環境や過去のトラウマも大きく影響します。例えば、厳しい親の下で育ち、感情を抑圧されてきた経験がある場合、大人になってからその抑圧が不機嫌という形で表れることがあります。

社会的要因

次に、「社会的要因」も不機嫌ハラスメントに大きく関わっています。現代社会では、仕事や家庭内でのプレッシャーが増加しており、特に夫や妻が日々のストレスに晒されています。

職場での過度な労働や家庭内での役割分担の不均衡などが精神的疲労を引き起こし、不機嫌さや怒りとなって表れます。また、社会的な役割期待が男女に異なることも問題です。

例えば、夫が家計を支えるプレッシャーや妻が家庭を完全に管理しなければならないというプレッシャーが昂じて、不機嫌さが他者へのハラスメント行為に繋がることがあります。

さらに、SNSやインターネットの普及により、一見他者とのコミュニケーションが増えたように見えますが、実際には孤独感や疎外感を強く感じるケースも多いのです。

不機嫌ハラスメントの影響

家族への影響

不機嫌ハラスメントは、家族全体に深刻な影響を与えます。家庭内での不機嫌な態度が頻繁に見られると、家族が精神的に疲弊しやすくなります。例えば、旦那が毎日のように不機嫌であると、妻はその態度に怯えたり、不安を感じやすくなります。これが長期的に続くと、心理的なストレスが蓄積し、最悪の場合、離婚を選択するケースも増えています。

また、不機嫌な態度は家庭内のコミュニケーションを断絶させる要因にもなります。話し合いや意思疎通が難しくなることで、家族間の理解が深まらないばかりか、誤解や摩擦も生じやすくなります。これが積み重なることで、家族全体の絆が弱まり、家庭環境が悪化することが避けられません。

子どもへの影響

不機嫌ハラスメントは、子どもに対して特に深刻な影響を与える可能性があります。子どもは親の感情の変動に敏感であり、親の不機嫌な態度や怒る姿を目の当たりにすることで、心理的な影響を受けやすいです。不機嫌ハラスメントを受ける家庭で育った子どもは、自信を持ちにくかったり、他人とのコミュニケーションに問題を感じることがあります。

さらに、親の不機嫌さに対応するために、子どもが自己主張を避けたり、自分の感情を抑え込むことが増えると、自己肯定感が低下する恐れがあります。これが長期的には、学業や社交性に影響を及ぼす可能性も考えられます。最悪の場合、子どもは成人後も同じような問題(モラハラやフキハラ)に直面しやすくなるリスクが高まります。

このように、不機嫌ハラスメントは家族全体、特に子どもに対して広範な悪影響を及ぼします。そのため、早期の解決と対策が求められます。

不機嫌な夫・妻に支配されないための心構え① 自己肯定感を高める

自己肯定感の重要性

不機嫌な夫・妻に支配されないためには、まず自己肯定感を高めることが重要です。

自己肯定感とは、自分自身を肯定し、価値ある存在だと認識する感情のことです。夫婦関係において、自己肯定感が低いと、夫の不機嫌な態度やモラハラに対して過剰に反応してしまい、ストレスを抱え込むことになります。自己肯定感を持つことで、夫の不機嫌に振り回されず、自分の価値や意見を守る力を養えます。

具体的な自己肯定感の高め方

では、具体的にどうすれば自己肯定感を高めることができるのでしょうか?以下の方法が効果的です。

  • 小さな成功体験を積むこと

    毎日少しずつでも、達成感を得られるような活動や目標を設定し、それをクリアしていくことで自信をつけます。例えば、家事の分担を少し工夫してみることで、それがうまくいった際には自分をほめることが大切です。
  • 自分を褒めてあげること

    自分に対して否定的な言葉ではなく、肯定的な言葉をかける習慣をつけます。「私は頑張っている」「私には価値がある」といった自己対話は、自己肯定感を高める助けになります。
  • ポジティブに捉えること

    ネガティブな状況や出来事を、見方を変えてポジティブに捉えるよう心がけます。例えば、夫の不機嫌が続くとき、それを「私を試している機会」と捉え、どのように対処するかを前向きに考えることで、自分の成長の機会と見なすことができます。
  • 趣味や興味を広げること

    自分の好きなことや興味を持てる趣味を見つけ、それに時間を費やすことで、自分自身の充実感を得られます。これにより、夫の不機嫌から距離を置き、自分自身の価値を再確認できます。

これらの方法を取り入れ、自己肯定感を高めることで、相手の不機嫌な態度に対抗しやすくなり、夫婦関係の改善にもつながります。お互いを理解し尊重し合うために、まず自分自身を大切にすることから始めましょう。

不機嫌な夫・妻に支配されないための心構え② 効果的なコミュニケーション

感情を伝える方法

不機嫌な夫・妻に支配されないためには、感情を適切に伝えることが重要です。感情を直接伝えることで、相手とのコミュニケーションがスムーズになります。

まず、感情を伝える際には「Iメッセージ」を使用しましょう。例えば「あなたが家事を手伝わないと、私はとても疲れてしまう」を「私は、家事を一人でやると疲れてしまう」といった具合に、自分の感じていることを主語に話すのです。これにより、夫も防衛的になりにくくなります。

相手を理解する技術

次に、効果的なコミュニケーションには相手を理解する技術も欠かせません。夫にイライラして支配されたくないとの思いから、一方的に話すだけではなく、夫の感情や意見にも耳を傾けることが大切です。夫の話を聞く際には相槌を打ち、関心を示しながら耳を傾けましょう。

また、夫が何を感じているのか、何を考えているのかを理解しようとする姿勢を持つことが大切です。共感の一言が、夫婦間の理解を深める大きな助けとなります。この技術を身につけることで、不機嫌な夫に対する苛立ちも軽減し、相互理解が進みます。

注意点:危険なサインと適切な対処

危険なサインとは?

夫・妻が不機嫌で支配的な行動を見せる場合、いくつかの「危険なサイン」に気付くことが重要です。例えば、家事や育児の分担が不公平であり、相手の努力に対して感謝が全くない場合や、相手の意見や話を無視することが頻繁に見られる状況です。また、相手がコミュニケーションを避け、家の雰囲気が重苦しくなることも危険な兆候です。これらの行動は、モラハラ(モラルハラスメント)の一部であり、精神的な苦痛を引き起こす原因となります。

適切な対処法

危険なサインに気付いた場合、まずは自己肯定感を高め、自分自身を大切にすることが重要です。

アルフレッド・アドラーの理論に、「課題の分離」というものがあります。人間関係のトラブルが起きたときに、それが自分の課題なのか相手の課題なのかを切り離して考え、お互いに相手の課題に踏み込まないようにするという理論ですが、これを実践してきましょう。相手の不機嫌を自分の責任としないように努めます。

具体的な対処法としては、一度距離を取って冷静になることや、第三者のカウンセラーや信頼できる友人、家族に相談することです。また、相手とのコミュニケーションを改善し、感情や意見を適切に伝える技術を習得することも大切です。最終的には、離婚も含めた決断を視野に入れ、安全で健全な環境を確保することが必要です。

まとめ

このコラムでは、不機嫌ハラスメント(フキハラ)の定義や具体例、原因、そしてそれに対する解決策を解説しました。

不機嫌な夫・妻に支配されないためには、いくつかの重要な心構えが必要です。

まず、自己肯定感を高めることが全ての基盤となります。

自己肯定感が高まれば、困難な状況でも自信を持って対応することができます。また、効果的なコミュニケーション方法や、感情を伝える技術、相手を理解する能力も重要です。これらのスキルを習得することで、夫婦間の誤解やストレスを減らすことができるでしょう。

しかし、全てが順調に進むわけではないことも理解しておく必要があります。危険なサインを見逃さず、適切な対処法を取ることができれば、最悪の事態を避けることができます。モラハラや精神的な虐待に関しても、適切な対応ができるかが鍵となります。

不機嫌な夫・妻に支配されず、自分自身の人生を充実させることに集中することで、毎日の生活をより良いものにしていきましょう!

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所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

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