MENU

不機嫌を表に出す家族の心理とは?妻や夫の不機嫌ハラスメントに振り回されない方法

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士

何も言わずに突然ムスッとされて、「私が何か悪いことをしたのかな」と不安になる…。
周囲が気をつかって動かざるを得ない、そんな空気の圧力。
このように、パートナーが不機嫌を態度で示して周囲を圧倒する行動は、「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」と呼ばれます。
言葉を使わずに、態度だけで相手を精神的に追い詰め、コントロールしようとするこの行為は、見過ごせない深刻な問題です。

この記事では、フキハラの具体例やその心理、そして日常生活での対処法について、わかりやすくお伝えします。

目次

不機嫌ハラスメント(フキハラ)とは

不機嫌ハラスメント(フキハラ)は、言葉ではなく「態度」で相手に圧をかけ、コントロールしようとする行為です。
たとえば、無言、ため息、冷たい視線などを繰り返すことで、周囲に不安や緊張を与えます。

モラハラと似ているようで少し違います。
モラハラは言葉や理屈で相手を責めるのに対し、フキハラは沈黙や空気で相手を追い詰めるのが特徴です。
そのため、受けた側が「自分が悪いのかも…」と感じやすく、気づかないうちに心を削られてしまいます。

不機嫌ハラスメントの具体例

フキハラは、言葉にしない分だけ気づきにくく、でも確実に心を削っていく行為です。よくあるシーンを思い浮かべてみてください。

【態度で支配する】こんな「あるある」に心当たりありませんか?

  • 妻だけが出かけると不機嫌になる
     「俺を置いて出かけるなんて…」という不満を態度で示す。楽しんで帰ってきたのに、玄関で冷たい空気を浴びることに。
  • 旅行や買い物で少しでも気に入らないことがあると、帰るまでずっと不機嫌
     空気が悪くなってもフォローしようとせず、家族全員が「早く帰ろう…」というムードになる。
  • 家族が自分抜きで楽しそうにしていると不機嫌になる
     「なんで俺抜きで盛り上がってるの?」という態度を露骨に見せ、笑っていた空気が一気に凍りつく。
  • 家の中ではいつも不機嫌で、話しかけるのも気を遣う
     目を合わせない、反応がない、声をかけても返事がない…。家族は「怒らせないように」と常に神経をすり減らしている。
  • 無視・ため息・舌打ち・睨みつけ…リビングで不機嫌オーラをまき散らす
     自分だけ不機嫌なのが嫌なのか、家族が集まる場で“空気を悪くする”存在に。誰も気を抜けなくなる。

【沈黙の圧力】“言わない”ことで相手を追い詰める言動

  • 夫が帰宅後、あいさつを無視し無言でテレビをつける
    「ただ疲れてるだけかな」と思っていたけれど、毎日だと家族はどんどん緊張していく。
  • 妻が夕飯を出すとき、無言でため息をつきながら皿を置く
    「あれ?何かまずかった?」と気を使わせ、何も言わずとも不満を伝えようとしている。
  • 「別に」とだけ答える、目も合わせない
    話しかけても反応が薄く、「話しかけるな」という壁を作る行為。
  • 子どもに話しかけられても無言、もしくは冷たい一言で終わらせる
    子どもは「何か悪いことした?」と混乱し、自己否定感を深めていく。

フキハラの男女別の表れ方と、その裏にあるもの

不機嫌ハラスメントは男女どちらにも見られるものですが、表れ方には傾向があります。

  • 男性に多いパターン
    • 無言で無視する
    • 冷たい態度で距離を置く
    • 一切口をきかず、存在を“消す”ような態度をとる
    →「言ってもムダだろう」と諦めたように振る舞うことで、相手に“察してほしい”というメッセージを送る。
  • 女性に多いパターン
    • 感情を抑えきれずヒステリックになる
    • 不機嫌をあからさまな態度で表現する(ドアを強く閉める・食器の音を立てる)
    • 子どもに八つ当たりしてしまう
    →「どうして私ばっかり我慢しなきゃいけないの?」という思いをため込み、結果として爆発的に表現される。

こうした不機嫌のやりとりが家庭の中で続くと、徐々に「相手の顔色をうかがう関係」へと変わってしまいます。子どももまた、その空気に敏感に反応し、安心して過ごせなくなります。

フキハラをしてしまう心理

不機嫌ハラスメント(フキハラ)をしてしまう人の背景には、いくつかの心理的・社会的な要因が関係しています。
ただ「性格が悪い」「わがまま」では片付けられない深層心理が隠れていることもあります。

不機嫌になってしまう心理的な背景

自己肯定感の低さ

自己評価が低く、常に「自分は大切にされていない」と感じやすいタイプです。相手のちょっとした行動でも、劣等感や被害意識が刺激され、自分への否定に感じてしまいます。

友達とランチに行ってくるね。

「どうせ俺なんかより、友達との方が楽しいんだろ!」
「また俺を置いて行くのか…なんで誘ってくれないんだよ!」

感情を言語化できない


自分の感情をうまく言語化できず、無視・ため息・舌打ちといった“態度”でしか伝えられないケースもあります。
幼少期に感情を抑圧されて育った人や、気持ちを表現する機会がなかった人に多く見られます。
怒りを「言葉」にすることを避ける代わりに、「空気」でプレッシャーをかけてしまうのです。

何が不満なのか言ってくれなきゃ分からないよ。。

「別に…(本当は寂しいけど、言ったってどうせ分からない)」
「何も言わなくても、察してよ」

相手をコントロールしたい(自己中心性)

フキハラの根底には、「自分の思い通りにしたい」という強いコントロール欲求がある場合も。
言葉で要求するのではなく、不機嫌になることで相手を萎縮させ、配慮させようとします。
不機嫌は、ある意味“黙った命令”です。何も言わずに相手を動かせる便利な手段として使われることがあります。

これ以上言うと不機嫌になるから、私が我慢しよう。。

「黙ってりゃ、向こうが気を使って折れてくる」
「俺が不機嫌だと、どうせ家の中がピリついてみんな動いてくれるしな」

家庭や仕事で感じるプレッシャーと不機嫌

ストレスと役割へのプレッシャー

現代は男女ともに多くのプレッシャーを抱えています。
仕事・家事・育児・介護…休む間もなくタスクに追われ、「余裕がない状態」が続くと、人は無意識のうちに不機嫌になります。
「自分はこんなに大変なのに」と、誰かに共感してもらいたいという思いがあるのかもしれません。

家族でワイワイガヤガヤ

夫が仕事から帰ってきて、家族の楽しそうな様子を見て・・・

「みんな楽しそうにしてるけど、俺はこんなに疲れてるのに…」
「こんな状況で楽しんでるなんて、俺だけが大変なのか…」

社会的なプレッシャー

現代でも、男女それぞれに特有の社会的な役割に対するプレッシャーがあります。こうした期待に応えようとするあまり、不機嫌になることがあります。

「自分ばっかり頑張ってる気がする、家事も手伝えって言われるし…」

「仕事もしてるし、家事もやってるのに、どうしてまだ私に負担をかけるの?」

不機嫌ハラスメント(フキハラ)のもたらす深刻な影響とは?

不機嫌ハラスメント(フキハラ)は、単なる「気分のムラ」では済まされない行為です。
言葉にせず、沈黙や冷たい視線、ため息などの態度で相手をコントロールしようとするこの行動は、周囲に強い心理的負担を与えます。
繰り返されることで関係性はじわじわと傷つき、家庭内に緊張感を広げてしまいます。

無言の圧力がもたらすストレス

フキハラの厄介な点は、「何が悪いのか」が分からないまま、相手に「自分が悪いのかもしれない」と思わせてしまうところです。
無視や無言のプレッシャー、ため息や冷たい空気は、受け手にとっては見えない攻撃となります。
理由の分からない不機嫌にさらされ続けると、相手は自己肯定感を削られ、心身ともに疲弊していきます。

感情のぶつけ方が未熟なサイン

不機嫌を態度で表現してしまう背景には、「自分の気持ちをどう扱っていいか分からない」という未熟さが隠れていることもあります。
感情をうまく言葉にできず、無意識のうちに相手を気づかわせたり、従わせようとしたりする。
これは一見消極的に見えるかもしれませんが、立派な「支配」のかたちのひとつです。

子どもも敏感に感じ取っている

さらに問題なのは、こうした不機嫌の空気を、子どもはとても敏感に感じ取っているということです。
「怒らせないように」「空気を読まなきゃ」と小さな体で親の機嫌をうかがいながら成長すると、自己表現が苦手になったり、常に周囲の目を気にする性格になることもあります。
家庭の空気は、子どもの心の土台になります。不機嫌という形のプレッシャーは、子どもの安心感を奪ってしまうのです。

小さな態度の積み重ねが関係を壊す

一つひとつの態度は小さなことに思えるかもしれませんが、それが繰り返されると、受け取る側には大きなストレスとなって蓄積します。日々「機嫌をうかがう」ことが習慣化すると、関係のバランスが崩れ、信頼を失い、感情的な距離が広がり、最終的には別れや家庭崩壊に繋がる恐れがあります

不機嫌な夫・妻に振り回されないための対策① 自己肯定感を高める

自己肯定感の重要性

不機嫌な夫・妻に支配されないためには、まず自己肯定感を高めることが重要です。

自己肯定感とは、自分自身を肯定し、価値ある存在だと認識する感情のことです。夫婦関係において、自己肯定感が低いと、夫の不機嫌な態度やモラハラに対して過剰に反応してしまい、ストレスを抱え込むことになります。自己肯定感を持つことで、夫の不機嫌に振り回されず、自分の価値や意見を守る力を養えます。

具体的な自己肯定感の高め方

では、具体的にどうすれば自己肯定感を高めることができるのでしょうか?以下の方法が効果的です。

  • 小さな成功体験を積むこと

    毎日少しずつでも、達成感を得られるような活動や目標を設定し、それをクリアしていくことで自信をつけます。例えば、家事の分担を少し工夫してみることで、それがうまくいった際には自分をほめることが大切です。
  • 自分を褒めてあげること

    自分に対して否定的な言葉ではなく、肯定的な言葉をかける習慣をつけます。「私は頑張っている」「私には価値がある」といった自己対話は、自己肯定感を高める助けになります。
  • ポジティブに捉えること

    ネガティブな状況や出来事を、見方を変えてポジティブに捉えるよう心がけます。例えば、夫の不機嫌が続くとき、それを「私を試している機会」と捉え、どのように対処するかを前向きに考えることで、自分の成長の機会と見なすことができます。
  • 趣味や興味を広げること

    自分の好きなことや興味を持てる趣味を見つけ、それに時間を費やすことで、自分自身の充実感を得られます。これにより、夫の不機嫌から距離を置き、自分自身の価値を再確認できます。

これらの方法を取り入れ、自己肯定感を高めることで、相手の不機嫌な態度に対抗しやすくなり、夫婦関係の改善にもつながります。お互いを理解し尊重し合うために、まず自分自身を大切にすることから始めましょう。

不機嫌な夫・妻に振り回されないための対策② 効果的なコミュニケーション

感情を伝える方法

不機嫌な夫・妻に支配されないためには、感情を適切に伝えることが重要です。感情を直接伝えることで、相手とのコミュニケーションがスムーズになります。

まず、感情を伝える際には「Iメッセージ」を使用しましょう。例えば「あなたが家事を手伝わないと、私はとても疲れてしまう」を「私は、家事を一人でやると疲れてしまう」といった具合に、自分の感じていることを主語に話すのです。これにより、夫も防衛的になりにくくなります。

相手を理解する技術

次に、効果的なコミュニケーションには相手を理解する技術も欠かせません。夫にイライラして支配されたくないとの思いから、一方的に話すだけではなく、夫の感情や意見にも耳を傾けることが大切です。夫の話を聞く際には相槌を打ち、関心を示しながら耳を傾けましょう。

また、夫が何を感じているのか、何を考えているのかを理解しようとする姿勢を持つことが大切です。共感の一言が、夫婦間の理解を深める大きな助けとなります。この技術を身につけることで、不機嫌な夫に対する苛立ちも軽減し、相互理解が進みます。

注意点:危険なサインと適切な対処

危険なサインとは?

夫・妻が不機嫌で支配的な行動を見せる場合、いくつかの「危険なサイン」に気付くことが重要です。例えば、家事や育児の分担が不公平であり、相手の努力に対して感謝が全くない場合や、相手の意見や話を無視することが頻繁に見られる状況です。また、相手がコミュニケーションを避け、家の雰囲気が重苦しくなることも危険な兆候です。これらの行動は、モラハラ(モラルハラスメント)の一部であり、精神的な苦痛を引き起こす原因となります。

適切な対処法

危険なサインに気付いた場合、まずは自己肯定感を高め、自分自身を大切にすることが重要です。

アルフレッド・アドラーの理論に、「課題の分離」というものがあります。人間関係のトラブルが起きたときに、それが自分の課題なのか相手の課題なのかを切り離して考え、お互いに相手の課題に踏み込まないようにするという理論ですが、これを実践してきましょう。相手の不機嫌を自分の責任としないように努めます。

具体的な対処法としては、一度距離を取って冷静になることや、第三者のカウンセラーや信頼できる友人、家族に相談することです。また、相手とのコミュニケーションを改善し、感情や意見を適切に伝える技術を習得することも大切です。最終的には、離婚も含めた決断を視野に入れ、安全で健全な環境を確保することが必要です。

まとめ

このコラムでは、不機嫌ハラスメント(フキハラ)の定義や具体例、原因、そしてそれに対する解決策を解説しました。

不機嫌な夫・妻に支配されないためには、いくつかの重要な心構えが必要です。

まず、自己肯定感を高めることが全ての基盤となります。

自己肯定感が高まれば、困難な状況でも自信を持って対応することができます。また、効果的なコミュニケーション方法や、感情を伝える技術、相手を理解する能力も重要です。これらのスキルを習得することで、夫婦間の誤解やストレスを減らすことができるでしょう。

しかし、全てが順調に進むわけではないことも理解しておく必要があります。危険なサインを見逃さず、適切な対処法を取ることができれば、最悪の事態を避けることができます。フキハラやモラハラに関しても、適切な対応ができるかが鍵となります。

不機嫌な夫・妻に支配されず、自分自身の人生を充実させることに集中することで、毎日の生活をより良いものにしていきましょう!

法律事務所リベロの
3つの強み

  • 当事務所はお受けする離婚事件の7、8割がDVモラハラ事件です。豊富なノウハウと実績があります。
  • 離婚事件に携わり17年の所長弁護士が、ご相談からアフターフォローまで責任を持って対応いたします。
  • 遠方の方・お子様がいて来所が難しい方はお電話でのご相談も対応いたします。
    ※ご予約の上、有料相談になります。また、ご相談内容によってはご来所をお願いする場合がございます。くわしくはこちら

お気軽にお問い合わせください

03-6806-1761

受付時間:平日9:00~17:00

ご相談の流れをみる

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。

離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

クリックで応援よろしくお願いします。

ご相談予約

リベロは新しい一歩を踏み出すあなたを応援します。お気軽にご相談ください。

法律相談料:5,500円/30分

受付:平日9時〜17時

24時間受付中

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次