有責配偶者からの二度目の離婚請求が棄却された事例

依頼から判決まで・・・ 1年4カ月

  • 依頼人・・・妻 夫の経営する会社の役員(被告)
  • 相手方・・・夫 代表取締役(原告)

ご相談までの経緯

夫婦は婚姻して19年、妻の病気や希望があり、子どもはいませんでした。ところが、夫は妻以外の複数人の女性と肉体関係を持つようになり、妻に離婚話を持ちかけるようになりました。夫婦の家を出た夫は特に親密になった女性と同棲を始め、女性は原告の子を妊娠しました。妻が女性に慰謝料を請求したところ、夫は自身の会社から妻の役職を廃止し、妻を会社から排除しようとしました。夫は、妻とは出産・育児の価値観の相違等があること、複数人の女性と関係を持ったことは婚姻関係の破綻後の出来事であり、不貞には当たらないとの主張で離婚訴訟を起こしましたが、夫の行為は不貞行為だと裁判所は判断し、有責配偶者である夫からの離婚請求は棄却されました。その後、5年程たち、再び夫が離婚訴訟を提起しました。

リベロのサポート

夫は、前訴の判決から5年以上が経過し、その期間妻との間は全くの没交渉であり、離婚訴訟を提起することは妥当との主張をし、財産分与も請求しました。しかし、裁判所は、①夫が、不貞行為によって妻に与えた精神的苦痛に対しその後も特段の慰謝の措置を講じていないこと、②夫婦の購入したマンションのローンを妻の両親に完済させたにも関わらず、妻に黙って自分の持ち分を不動産業者に売却したこと、③不貞相手と現在も同棲しており、離婚請求が認容されれば夫は不貞相手と再婚する可能性が高いこと、これらの事情から、夫は前訴判決以降も妻の精神的な苦痛を悪化させる行動にでており、夫による離婚請求は前訴の時点と比較してもより身勝手なもので、このような離婚請求を認容することは著しく社会正義に反すると判断しました。結果、二度目の離婚請求も棄却されました。

ポイント

有責配偶者(不倫や暴力、生活費不払いなどで離婚原因を作ってしまった側)からの離婚訴訟は通常認められず、請求は棄却されます。例外として、①別居期間が長期に及んでいる②未成熟の子どもがいない③離婚によって相手配偶者が過酷な状況に陥らない、この3つの条件を満たす場合、離婚判決が出されることがあります。今回は①,②は満たすものの、③を理由として棄却されました。不貞の裁判は、証拠がとても大切ですので、夫婦の写真(夫婦関係が破綻していないことの証明)や、不貞の証拠を時期が特定できるように保存しておくと、裁判の際に役に立ちます。

監修者情報

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけている。

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけている。

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