モラハラ夫(妻)への反撃方法はある?

「モラハラ(モラハラ夫,モラハラ妻)」のワードでWEBで検索をすると、予測検索ワードとして「特徴」「離婚」などの他に、『モラハラ夫に勝つ方法』や『対処』、『弱点』、『無視』などといったワードが出てきます。

少なくない数のモラハラ被害者の方が、加害者に対して「どうにか反撃したい」「大人しくさせたい」「抵抗したい」と考えていることがうかがえます。もしくは「モラハラをやめさせる魔法の一言がほしい」と思っている方もいらっしゃるのかもしれません。

モラハラを辞めさせる方法、モラハラ夫へ反撃する方法はあるのでしょうか?

目次

「モラハラをやめさせる一言」はない

心のバランスを保つ

まず結論から言ってしまうと、「モラハラをやめさせる魔法の言葉」は残念ながら存在しません。
時折、「モラハラ加害者の暴言は自己紹介のことが多い」と言われることがあります。

「じゃあ『それはあなたのことでしょ?』とかオウム返ししたら効くのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかしそれは大きな間違いです。
確かにモラハラ加害者の言う言葉は、加害者本人に当てはまることがよくあります。

それはモラハラの加害者は自己愛がとても強く、自分が傷つきたくないあまり、自分の内にある葛藤や矛盾を受け止めることが出来ず、相手に背負わせることで心の平衡を保っているためです。

しかし、加害者は今までそうやって生きてきた「葛藤押しつけのプロ」です。

他人に自分の葛藤を押しつけるためには道徳やルールを破ることも厭いません。

そのような相手にオウム返しで防衛しようとしても、こちらは道徳に反するほどのことは出来ないので、相手ほど思いきった行動が出来ず、いずれ負けてしまいます。

モラハラ夫に言い返したらさらなる罵倒が待っている

モラハラを受けている人に対して、「あなたが気が弱いから」「私だったらこう言ってやるのに」「加害者にもっと強くいいなさいよ、そうすれば相手はひるむんだから」等、助言する人がいます。

それは、「モラハラ加害者は大人としての成熟した精神を持っており、ちゃんと話せば話が通じるものだ」という前提があるからそう思うわけですが、モラハラ加害者はまずこの前提が違います。

モラハラ加害者は、「体は大人・知能も大人・精神は子ども」です。

実際にモラハラ行動は、未成熟な子どもが自分に全能感を持ち、なんでも思い通りになると思い込む、そして思い通りにならなければ人のせいにして、泣きわめいて発散するという様子に非常によく似ています。

モラハラ加害者がしているモラハラは、ただ被害者に八つ当たりして自分のストレスを解消したいだけなのです。ですので、モラハラ加害者とは基本的に話し合いができません。

↓モラハラ加害者はなぜモラハラをしてしまうのかこちらの記事で説明しています。

「何時何分何秒地球が何回回ったとき~??」という煽り文句が流行ったことがありますね。子どもが喧嘩で相手にとにかく何か言い返したいときに言う言葉です。

モラハラ加害者と建設的な話し合いをしたときに返ってくるのは、「何時何分何秒地球が何回回ったとき~??」と同じような意味の無い、ただ相手を言い負かしたい、あなたにダメージを与えたいがために反射的に出てくる言葉です。

モラハラ加害者がやっかいなのは、知能は大人で語彙や経験や社会的地位も持っている点です。

外面がよく社会の中ではうまくやっていけているように見えるため、加害者の言動がたとえ常軌を逸しているものでも「まっとうな大人の言動」として素直に受け取ってしまう。

被害者は繰り返し加害者から罵倒や批判をされると「これだけ言われるということは、私に悪いところがあるんだろうか・・・」と次第に自分の価値観に自信が持てなくなり、加害者の言葉を信じるようになってしまいます。

被害者と加害者が話し合いをする機会を持ったとき、被害者の目的は「2人の関係を良くしたい、意見をすり合わせたい、2人の落としどころを見つけたい」ですが、加害者は「被害者に勝って優越感を得たい、相手の思い通りにはしたくない」しかありません。そもそもの目的が違いますので建設的な話し合いなど出来ないのです。

モラハラ被害者も、始めは「うーん、それはちょっと違うんじゃない?」「私はこう思うな」などと自分の意見を言っていたのではないでしょうか。

しかし、その後「そんなはずはない!だからお前はおかしいんだ、常識も知らないのか・・・・」と延々と加害者から責められ、罵倒され、話をすり替えられ続けられることで、「この人に言い返したらもっと酷いことが待っている」と学習し、次第に言い返すことが出来なくなってしまうのです。

加害者は、被害者を責める理由を見つけるためにわざと反抗させることも

ストレスがたまる女性

モラハラの加害者は、責める理由を引き出すために、わざと相手を挑発し、反抗させようと仕向けることもあります。

例えば、加害者の態度があまりにも心ないため、話し合いをしたいと思っている被害者がいるとします。

しかし、加害者はまともに話を聞く気も、態度を改める気もないため、「今はそんなことを話すときじゃないよ」とのらりくらりと話し合いを躱します。

その結果、あまりにもモラハラ加害者と話がかみ合わなすぎて、フラストレーションが溜まり、自分の考えを聞いて貰いたくて「いい加減ちゃんと聞いて!」と激高してしまう被害者もいるでしょう。

しかしそれが加害者の思うツボなのです。

泣きわめいたり、語気を荒げて自分に迫る被害者の様子を見て、加害者はまずこう言うはずです。「ほら、あなたはすぐ感情的になる。」

そしてその後はどんなに落ち着いて論理的に話を進めようと思っても「今のあなたと話をすることは無意味だね」とはぐらかされてしまうのです。

このように被害者からの反抗もまた、加害者にとっては被害者を責める絶好の理由となります。

もしかしたら、あなたの心に今湧いている「反撃したい」「言い返したい」という気持ちも、モラハラ加害者が狙って思わせたことなのかもしれません。

反撃をすると離婚調停や裁判になった場合、不利になることがある

家庭裁判所の画像

仮にモラハラにオウム返しで反撃をしたとして、モラハラの加害者が反省をするかと言えば、まずしないでしょう。
今まで大人しく従順であった相手に反撃をされて、びっくりして暴言や精神的暴力が止まる加害者もいますが、それも一時的なものです。

言い返された際、加害者が何を感じるかといえば「配偶者に傷つく言葉を言われてしまった、とても辛い、自分はかわいそうだ」です。反省の気持ちは一切浮かばないと言ってもいいでしょうもちろん、今まで自分が相手に言った、心ない言葉の数々は頭の中からすっかり消え去っています。
そして被害者から言われた傷ついた言葉はずっと忘れないので、調停などの際、加害者は「自分だって相手(被害者)にこんなひどいことを言われた」「相手の方がモラハラだ」と声高に主張するのです。

これだと調停委員や裁判官はどちらが本当に被害を受けているのか、すぐにはわかりません。被害者が多く反撃をしていると「どっちもどっちかもしれない」「モラハラがあったとは断定できない」と言う判断となり、望んでいたものとは違った調停・裁判になる可能性も大いにありえます。

その怒りのエネルギーは他に向けてみよう

このコラムを読んで「加害者のモラハラな暴言をオウム返しで反撃したら、後々困るかも知れない」ということを理解できたのではないでしょうか。
また、お互いの弱みを探り合って、隙を見つけたら攻撃しようとする関係は健全な関係とはとても言えませんね。
不服と思われるかもしれませんが、お互い傷つけ合って神経をすり減らせたり、どちらがより相手を組み伏せられるかを競ってこれからの人生を殺伐と生きるよりは、きっぱりと別れる覚悟を持って動いた方がよほど前向きで建設的と言えるでしょう。

今まで傷つけられてきた相手に一矢報いたい、この気持ちをどうにかわかってもらいたい。そのようにお考えの方は、加害者のモラハラの証拠をしっかりと集めて、周りの人に理解してもらったり、調停や裁判を有利に進めることにエネルギーを注いでみてはいかがでしょうか。
今までの傷ついてきた環境を断ち切り、より自分らしい、自分が楽しく生きていける人生を手に入れることが何よりもの反撃ではないでしょうか。
このサイトのほかのコラムが、その一助となれるよう、これからも内容を充実させていきたいと思います。頑張っていきましょうね!

監修者情報

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけている。

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけている。

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