荷物はリュック1つのみ!専業主婦が未就学児2人を連れてDVモラハラ夫から夜逃げした体験記③ー別居中の方必見!DV被害者の支援と行政の手続きー

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士

リベ子

こんにちは!法律事務所リベロの事務員リベ子です。

所長弁護士 渡辺

所長弁護士の渡辺です。

この連載コラムでは、実際にDVモラハラ夫から逃げ出した体験談と共に、法律や行政の支援はどのようなものがあるかについても詳しくご説明して行きたいと思います。このコラムが、DVモラハラ加害者の支配の元にいる方の、勇気を出すきっかけになりますように。

前回の記事では、シェルターに入る経緯や、実際にシェルターに入所してみての感想をご紹介しました。

今回は、シェルターに入所した後のことや役所の手続き、別居中に申請した支援についてのお話です。

この記事は以下のような人におすすめ!!

  • シェルターを退所したらどこへ行くのか知りたい
  • 住民票・児童手当・医療証などはどうすればよいか知りたい
  • DV加害者に場所を知られないためには何をすればよいか知りたい
目次

シェルターを退所し、区の一時宿泊所に入居することに

以前の記事でもご説明したように、シェルターを出た後は「母子生活支援施設」に入居することが多いのですが、私の場合は母子生活支援施設に空きが無かったため、「一時宿泊所」という管轄するマンションのような施設に3ヶ月入居することになりました。その3ヶ月で、母子生活支援施設の空きが出れば入居、空きが無ければ都営住宅や民間のアパートに入居しなければならないというものでした。

一時宿泊所に持って行った荷物は、リュックと紙袋2つ。シェルターから服や洗面用具などはもらえました。
布団のみ購入し、後は生活に必要な最低限の家具・家電は備え付けてありました。自治体によって違うと思いますが、どんな所なのだろうと不安に思っていたらとてもきれいな部屋で驚きました。使用料は月額1万5千円ほどで、光熱費は実費でした。ここから、母子3人での「生活」を始めなければなりませんでした。

DV加害者と離婚前提で別居するにあたり、必要な手続き

役所の図

DVから避難した方は、配偶者に自分が住んでいる場所を絶対に知られないようにすることが重要です。加害者に連れ戻されたり、時には殺人などの事件にも発展してしまう恐れがあるからです。そのため別居後にはしなければならない手続きがたくさんありました。専門用語も出てきて、今自分がしている手続きは何のためにするのかも始めのうちはよく分からないことがあります。福祉事務所の職員さんが一緒に同行して手続きを手伝ってくれますので、相談してみましょう。

別居後に行った手続き

離婚不受理届

相手が提出した離婚届を受理しないよう役所に提出する届。勝手に親権等の離婚条件を決められてしまうことを防ぐ特に親権については無効にするためには裁判で争わなくてはならないため、受理されないよう対策をすることが重要です。

捜索願不受理届警察への相談

加害者が警察に捜索願を出し、見つかってしまうリスクを下げるため、警察の生活安全課に要請します。私はこのときにDVの相談もしました。被害届を出すかどうかについては、私は出しませんでしたが、この時警察に相談したことで、離婚調停が終わるまで、毎月定期連絡が警察から入り、調停の様子や生活で困っていること等相談することが出来ました。

配偶者からの暴力の被害を受けている旨の証明書申請

シェルター退所時に発行してもらいました。この証明書は国民健康保険等の入所や保育園入園、ひとり親の支援を受ける際や給付金申請でDVの証明が必要な時など、かなり重宝しました。
※証明書は本当にいろんな場所で使用しましたし、なかったら出来なかった手続きや支援もあると思います。「配偶者からの暴力の被害者に係る証明書」は原則として都道府県に設置されている婦人相談所で発行されますので、別居前や別居後、相談されることを強くおすすめしたいです。

全国の配偶者暴力支援センター連絡先一覧

国民健康保険加入

私や子どもは夫の社会保険の扶養に入っていたのですが、別居後は居場所が特定されてしまう可能性があるため、保険証を使うことができません。なので別居してすぐ子どもが熱を出したときは自費で支払うことも・・・。上記のDV被害の証明書と、一時宿泊所や母子生活支援施設の在所証明で住所を証明することで、国民健康保険に加入することが出来ました。

児童手当・乳幼児医療証の発行申請

区役所の窓口で、DV被害の証明書や在所証明、民生委員による居住地の調査を経て発行してもらえました。※一度役所の他の窓口には発行は出来ないと言われていたのですが、直接担当課に問い合わせたらできました。住民票の移動ができなくても発行してもらえる可能性があるので、必ず担当の窓口に直接問い合わせてみることをおすすめします。

免許証の住所変更

住民票を移動しなくても免許証は住所変更できます!!最寄りの警察署の窓口にて、現住所を証明できる公共料金の領収書等を提出し、DV避難のため住民票を移動できない旨を説明してください。私が手続きを行ったときは「絶対に新住所を外部に漏らすことは無いから安心してください」と言ってもらえ、とても心強かったです。免許証の住所変更によって、新しいスマホの契約、銀行口座の開設等、住民票が無くても証明出来るようになったので住所変更できて本当に良かったです!

通帳の紛失届

家を出るときに子どもの口座の通帳等持ってきていませんでしたので、相手が勝手に通帳を使って取引できないよう通帳を再発行してもらいました。

法テラスでの弁護士相談

始めは自分で調停を申立てようとしましたが、夫が離婚に同意しないことが判明し、弁護士に依頼することに。私は無職で保有資産も条件に当てはまっていたので、法テラスで国の法律扶助を受けることができました。法テラスでは無料で弁護士に相談ができ、3回まで弁護士の変更をすることができます。国が弁護士費用を立て替えてくれ、月々5千円から返済することができます。法テラスを利用すると費用がかなり安く済みますが離婚に強い弁護士か、DVやモラハラに精通している弁護士かはよく見極める必要があります(数十万の弁護士費用の差で、数百万の慰謝料等獲得金額の差が生まれる可能性もあるからです)。

リベ子

思い返してみるといろいろな手続きや申請が必要だったので、大変でしたね。これを別居後の厳しい精神状態で行うことは非常に難しい福祉事務所等やDV被害者支援団体等に繋がり、同行支援などを受けることができますので、一人で全部やろうとせずにぜひ相談して欲しいと思います。

別居後の経済的不安、精神的不安は支援を受けて乗り切ろう!

支援の図

離婚前提で小さい子どもを連れて別居する場合、大きな不安材料として経済的不安があると思います。私も別居当初は、収入がない状態で貯金を使うのが怖く、子どもにお菓子を買ってあげられなかったり、安い食材しか買えなかったりと、別居前とは激変してしまった生活に、非常に惨めで子ども達に申し訳ない気持ちになりました。

そんな時に知ったのが、地域のフードパントリーや子ども食堂、全国のひとり親支援団体でした。

フードパントリー
生活困窮者やひとり親家庭など、何らかの理由で食品を入手することが困難な方に対して食料品や生活用品などを配布する活動を指します。

地域の団体や全国の支援団体は数多くあり、ネットでもHPが公開されています。また、お住まいの役所等でも案内がありますので、ぜひ探してみてください。ここでは、私が実際に利用した支援団体と、足立区のフードパントリーを例としてご紹介します。

全国のひとり親支援団体

スクロールできます
団体名活動内容利用した感想
おてらおやつクラブ全国のお寺の「おそなえ」を、それぞれの地域で支援活動を行う団体を通じて必要な方々へ「おすそわけ」する活動初めて利用した食料支援。頂き物でのちょっと良いおやつや缶詰・お米と入っていて、子ども達が久しぶりにみるたくさんのおやつに大興奮でした。手書きの手紙が入っていて、それが嬉しく、涙してしまいました。
セカンドハーベストジャパン日本初のフードバンクです。まだ充分食べられるにも関わらずさまざまな理由で活用されない食品を受け取り、それらを必要とする方々へ提供する活動を行っています。お米5kg×2を寄付いただきました!精米した手のおいしいお米でした!お米があると何とかなるので本当に助かりました。
ジーザスコミュニティ全国のシングルマザー・シングルファザー、その他の方で、新型コロナウイルスの影響によりお仕事がない、もしくは収入が減少する等で生活にお困りの方への食糧支援活動クリスマスプレゼントとして子ども達の大好きなポケモンのぬいぐるみや、おやつ、食料品、化粧品が入っていて驚きました!なかなかぬいぐるみは買ってあげられないので私も嬉しかったですね。
しんぐるまざあずふぉーらむひとり親家庭への食糧支援、ランドセル寄付、入学祝い金、シングルマザーの就職・キャリアアップ支援等。メルマガは登録しておくといいです。キャリア支援情報が豊富です!企業と連携した就職支援や、パソコン貸与ありの職業訓練の募集もしています。また、子どもの教育支援イベントも多数行っています。
ひとり親交流サークル「エスクル一般社団法人 ひとり親支援協会シングルママ・シングルパパ(離婚・死別・未婚の母・ひとり親予定者も含む)が集まり、不安や悩みを共有し「ひとりじゃない」と思えるためのサークル。全国のひとり親支援の情報提供(このデータベースが本当にすごいです)、行政・企業と連携したイベント・プレゼント、物品寄付、グループ内での交流等。月額315円のオンラインコミュニティですが、貰える情報・支援がそれ以上の価値があります。50を超えるライングループがあり、オンライン交流もできます。服や文房具等の物品寄付情報もほぼ毎日あります。情報提供だけでもひとり親なら入っておいて価値のあるレベルです!キャンプ体験やレストランでの食事会招待、誕生日のマドレーヌ・キャビア贈呈など、嬉しいイベントがたくさんですよ!
公益社団法人重田教育財団(東京)海外留学(全年齢対象)、幼児教育、高校生から医学部卒業のための奨学金事業を行う団体。秋に東京23区6歳以下の子を持つ母子世帯への一人10万円の給付型の援助金の募集がある。東京23区にお住まいの未就学児を持つシングルの方必です。もう本当にありがたかったです・・・。ぜひ申請することをおすすめします。

足立区のフードパントリー/子ども食堂/支援団体

あだちフードパントリーMAP
あだちフードパントリーMAP2

※③のあだちキッズカフェ・パントリーは「こども食堂」も行っています。

リベ子

フードパントリーでは、日持ちのする缶詰・レトルト食品・お米・お菓子・日用品、団体によっては野菜や飲食店の提供を受けてチェーン店のカレーやピザなどの提供もあります。初めて会場に行くときは緊張しますが、気軽な雰囲気の場所が多いですし、主催者の方は皆優しいかたばかりでした。申し込みや予約が必要な団体もありますので、HP等をチェックしてみてください!

こども食堂MAP
こども食堂MAP2

詳しくはこちら・・・足立区の子ども食堂・フードパントリー情報(足立区HP)へ

リベ子

こども食堂に母子で参加したことがありますが、栄養たっぷりのご飯を皆で楽しく食べられて、とても楽しかったです!子ども達もおいしいと喜んでいました!いつも人にご飯を作ってばかりの私は誰かが作った料理が食べられることが幸せでした・・・!

今は人生で助けを求める時だと思って、行政や周囲の人に助けてもらおう

母親と子ども

食糧支援、行政の支援を受けることに抵抗があるかもしれません。私も始めはそうでした。DVやモラハラを長年一人で耐えてこられた方は、「自分で何とかしなければならない、甘えてはいけないんだ、一人で子ども達を育てていかなければ。」と周囲に助けを求めることが難しい方もいるのではないでしょうか。シングルになることへの周囲の目も気にしてしまいますよね。

しかし、支援をしてくれる団体は、「あなたとお子さんが健やかに楽しく過ごせること」を心から願っていてくれていると、寄付をいただいて感じることが多々あります。ひとり親になって、周囲のあたたかさや優しさを感じる機会が支援を通して増え、私だけじゃない、周囲の人たちも子ども達のことを大切にしてくれてるんだ。一人で抱え込まなくてもいいんだと心強く思えるようになりました。「いつか必ず助けてもらった分、誰かを助けられる人になりたい」と今は思っています。それでいいと思います。

「DV・モラハラ夫から離れたい、逃げたいけれど、子どもも小さいし父親がいないと可哀想な思いをさせるから離婚できない」そう思う気持ちはとてもよく分かります。私も実際逃げてみるまで分からなかったのですが、意外となんとかなります!!世間では、国や行政は子育て世帯に厳しいという意見もありますが、子どもへの支援の充実さ・社会には子どもやお母さんを支援したいと思っている企業や団体がとても多いことに驚くと思います。

DVモラハラ加害者から逃げることは辛いです。離れることを決意することは辛いです。理不尽な仕打ちを受けても、暴力を振るわれても、全部自分のせいにされても、愛しているから結婚したのですもんね。今まで自分の人生の殆どを占めていた(共依存ならなおのこと)人がいなくなるのですから。心の穴はそう塞がるものではありません。

でも、子どものことを考えて、自分の人生を考えて、今もしDVモラハラの支配から逃れようとこの記事を見ている方がいたら、その選択は決して間違っていないです。

子どもをDVに晒すことは子どもの人生に大きな影響を与えます。暴力から逃げること、それだけであなたは子どもに誇れることをしようとしているのです。正しいことをしているから、どうか自分を責めずに、周囲に助けを求めてみてください。

リベロにご相談いただいた際は、所長と事務員が全力でサポートさせていただきます。

リベ子

次回は、保育園入園と就職活動についてのお話です!

著者情報

法律事務所リベロ 
事務員 リベ子

小学生と保育園児二人の子どもがいるシングルマザー。
子どもが出来てから専業主婦でしたが、夫のDVモラハラに悩んでいました。
ある日夫が激高した時に子どもを連れて外に逃げ、DV相談に電話し、自分がDV被害者であることを自覚。
財布とスマホのみ入ったリュック1つで3歳と5歳を連れてそのまま家出を決意
家無し職無し預け先無しで崖っぷちになる。シェルター、母子生活支援施設入居経験あり。
法律・行政・友達、たくさんの人の助けを借り、離婚調停を経て無事離婚が成立し、現在は育児に仕事に前向きに人生を取り組んでいます!

他の別居~離婚体験記はこちら

法律事務所リベロの
3つの強み

  • 当事務所はお受けする離婚事件の7、8割がDVモラハラ事件です。豊富なノウハウと実績があります。
  • 離婚事件に携わり17年の所長弁護士が、ご相談からアフターフォローまで責任を持って対応いたします。
  • 遠方の方・お子様がいて来所が難しい方はお電話でのご相談も対応いたします。
    ※ご予約の上、有料相談になります。くわしくはこちら

お気軽にお問い合わせください

03-6806-1761

受付時間:平日9:00~18:00

ご相談の流れをみる

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。

離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

クリックで応援よろしくお願いします。

ご相談予約

リベロは新しい一歩を踏み出すあなたを応援します。お気軽にご相談ください。

法律相談料:5,500円/30分

受付:平日9時〜18時

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次