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【モラハラ】妻と子を脅迫する夫と調停離婚した事例
ご相談までの経緯
家族構成
依頼者:妻(パート)
相手方:夫(会社員)
子ども:1人
ご相談までの経緯
妻は婚姻期間中夫の以下のような行為に悩まされていました。
- 些細なことで機嫌が悪くなり,怒鳴ることがある。
- 妻が離婚を切り出す発言をした際や,自分が不利な立場になると「死ぬ」と発言したり,自殺未遂をする等脅迫行為があった。
- 子どもに対しても「離婚したらもうパパとは二度と会えない」「子に会えなくなるなら死ぬ」など不安をあおるような発言をする。
日々夫の言動に振り回されており,もう一緒に生活していくことは不可能と感じたため,妻と子は別居を開始しました。
そして妻は当初ご自身で離婚・婚姻費用の調停を申立てました。
しかし夫は,自身の体調や精神の不安定さを理由に調停に出席しない可能性や,婚姻費用の支払いの拒否など,
調停を進行していく上で様々な懸念があることから,弁護士に依頼しようと考え当事務所へご相談に来られました。
離婚調停
当職が代理人に就任し,調停が開始しました。
調停の際,夫は「妻の不貞が原因で,精神状態が悪く調停に出席できない。会社にも行けないような状況にある。」などと発言していました。
当初そのような事実は依頼者から聞いていなかったため,否定しましたが,相手弁護士が,妻の男女関係を疑わせるような探偵の調査報告書を提出し,
夫は妻に対し不貞の慰謝料として300万円請求されるという想定外なことも起こりました。
妻の不貞の疑惑が出たため,今後の調停の進行に翳りが出てきたように感じましたが,お互い早期離婚を希望していたため,当職は調停内で慰謝料よりも財産分与の話を議題の中心とすることにしました。
これが功を奏したのか,それ以降不貞の話は,あまり議題にあがらなくなりました。
また財産分与の交渉を進めるなかで,相手に全ての資産の開示を求めましたが,保有している株式や退職金の額を隠す・不動産査定価格を不当に少なく見積もるなど財産分与を免れようとするような行為が見られました。
そこで当職は,妻が取得した不動産の査定額を提出し正当な額を提示したほか,裁判所から夫へ正当な財産資料を提出してもらうよう働きかけるように努めました。
提示した財産はお互い金額に開きがありましたが,その間でいくらで折り合いがつくかどうかを探っていました。
また離婚が成立する直前には,婚姻費用の審判が出ました。
審判のなかでは妻の行為は不貞に当たらないと認められたため,夫は慰謝料を請求しても認められる見込みがないと分かり,妻へ慰謝料を請求しないこととなりました。
調停が難航すると想定しておりましたが,最終的にお互い財産分与の条件を妥協し計8回で調停が成立しました。
条件は以下の通り
親権 | 妻 |
養育費 | 月額27,000円 |
財産分与 | 350万円 |
面会交流 | 特になし |
その他 | 夫から妻に対し慰謝料を請求しない。 財産分与の支払いは分割払いを認める。 |
事案のポイント
今回はお互いに早期離婚を希望していたため,主な争点は財産分与に関することでした。
財産に関する資料は裁判所と共有し,提出を積極的に求めたところ,裁判所からも財産資料の不明点を尋ねることがあったため
夫側も正式な資料を提出せざるを得なくなる状況をつくるようにしました。
また妻側は当初から財産分与に強いこだわりはなく,慰謝料も認められてしまった場合には最悪支払うつもりでした。
しかし夫へ支払うものはなかったことや,財産を一部取得できたこともあり,妻としては納得のいく結果に終わることが出来ました。