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ペットの返還を要求するモラハラ夫と早期離婚することができた事例
ご相談までの経緯
家族構成
依頼者:妻
相手方:夫
ペット:犬2頭
ご相談までの経緯
1度目のご相談時は,日々夫の機嫌に振り回されており,機嫌が悪い日には言葉の暴力があるとおっしゃっていました。
それから約2年後再度ご相談があり,
- 妻に対する暴言
- 夫が生活費を渡さない
- 飼育しているペットにも暴言を吐く
など夫のモラハラは改善されておらず,妻は鬱状態やめまいなどがあり体調不良となってしまいました。
そしてご相談時には,もうすでに別居・離婚を決意されており,その後の離婚交渉等をご説明し,正式に弁護士に依頼されました。
相手方との離婚協議から離婚調停まで
相手方との離婚協議
ご依頼いただいたあとは,別居の準備を進めて頂き,当職は別居時の置き手紙を作成いたしました。
手紙を読んだ夫からはすぐに当事務所へ連絡があり,2度離婚協議をしました。
夫は当初離婚を受け入れることができなかったようですが,2回目の協議で
「妻が別居時に連れて行ったペット1頭のうち,1頭を渡してくれれば離婚に応じる」と言いました。しかし妻はこれを拒否し離婚に至ることができませんでした。
離婚調停
2回目の協議からしばらくして,夫に弁護士がつき,当職へ連絡がありました。
その内容は離婚についてではなく「飼い犬を返還して欲しい」とのことでしたが,妻はこれに応じませんでした。
妻はしばらく離婚協議のことを考えずに生活していましたが,突然の夫の要求に非常に困惑されておられました。
当職は,夫は婚姻関係が続いているがためにこのような要求をしてきており,離婚すれば関係も断ち切られ相手が何か言ってくることも防げるのではないかと助言したところ
妻はこのタイミングで離婚及び婚姻費用の調停を申し立てることを決断されました。
その後速やかに調停を申立てましたが,同時期に相手方も簡易裁判所へペットの返還請求の訴訟(占有回収の訴え)を提起しました。
調停を行うに当たり妻は
- 早急に離婚を成立させたい
- 犬の所有権は妻
この2点を優先事項とし,そのために相手方へ一切の金銭請求はしない(財産分与・慰謝料等)という条件を提示することに決めました。
夫はその条件を呑み,結果として合計2回の調停期日で離婚が成立しました。
詳細な条件は以下の通りです。
婚姻費用 | 夫は妻に対し未払いの婚姻費用を支払う。 |
年金分割 | 年金分割の按分割合を0.5と定める。 |
財産分与 | 夫は妻に対し,財産分与として犬2頭を分与する。 |
調停成立後,夫は占有回収の訴えを取り下げました。
事案のポイント
本件は早期解決のために,金銭請求をしないという譲歩条件を相手に提示した結果,依頼者の意向に沿った最良の条件での離婚となりました。
別居時にペットなど相手が固執するような共有財産を持ち出すと,占有回収の訴えを起こされることがあります。
さらに,別居後1年以内に占有回収の訴えをおこされてしまうと,相手への共有財産の返還が認められてしまう可能性が高くなってしまいます。
もし訴えが認められてしまうと,一度相手方へ対象財産を返還し,再度離婚調停や離婚裁判内で財産分与の話をしなければならなくなってしまいます。
この事案は非常に珍しいケースではありますが,
もし現在別居を検討しており共有財産を持ち出そうとしている場合には,相手が固執しそうなものを持ち出さないようにするなど慎重に対応し,トラブルの芽を事前に摘んでおくことが大切だと感じました。