営業時間:平日9時〜18時
精神悪化により育児放棄に至った妻と離婚した事例
夫の代理・・・依頼を受けてから和解離婚が成立するまで2年1ヶ月
- 依頼者・・・夫(40) 公務員
- 相手方・・・妻(34) 専業主婦
- 子ども・・・長女(5)、長男・次女(1・双子)
ご相談まで
夫は妻が生後7ヶ月の長女に対し大声で叱りつける姿を見て以降、妻の育児に関して疑問を持ち始めました。
また、妻には潔癖症のところがあり、オムツ替え等による汚れを極度に気にして手洗いの回数が異常に増えていました。そのため、夫は妻の尋常ではない強迫観念を心配し、心療内科に診てもらうこともありました。
しかし、妻の異常行動(潔癖症、暴言)は変わらず、長女が2~3歳頃には、近所の方からの通報を受け、児童相談所の方が訪問することもありました。
そんな中、不妊治療により双子を授かりましたが、それを機に妻の潔癖症は益々酷くなり、子供達がちょっと汚すだけでも手洗いや消毒ばかりするため、手が荒れている、痛いといって、家事育児を怠るようになりました。また、子供達への暴言も酷くなり、何度も児童相談所から家庭訪問を受けることがありました。
このようなことがあり、児童相談所から母子分離を提案され、長女は夫の実家で、下の双子は乳児院で生活するようになりました。それとともに夫婦別居生活が始まりました。
別居後、夫と妻は親族を交え何度も話し合いを行いました。しかし妻からは、別居状態に至ってしまったことに責任を感じるような言葉がなかったため、夫は離婚を決意し当事務所に相談に来られました。
解決までの流れ
まずは離婚調停を申し立てましたが、離婚については双方同意しているものの、親権について対立したため、4回目の調停期日で調停は不成立になりました。
離婚調停では家庭裁判所調査官により調査が行われ、調査官からは早期に親権が決まることが子供達の早期の安定につながるとの意見が出されました。そのため、速やかに離婚裁判を起こしました。
離婚裁判でも家庭裁判所調査官による調査が行われました。夫、妻ともに監護態勢には問題がないものの、子供達3人が一緒に生活することが、子の福祉からも自然であるとの意見が出されました。
家庭裁判所調査官による調査の後、本人尋問手続きが行われましたが、監護計画等に対する妻の発言が二転三転するなど不自然な点があり、供述内容の信憑性が疑われていました。
以上を踏まえて、妻の側から、定期的な面会交流を妻に認めることを前提に、夫を3人の親権者とする和解案が提示され、以下の条件で和解離婚が成立しました。
親権 | 3人とも夫 |
養育費 | 妻が夫に対し、子ども達が20歳になるまで一人あたり月額5,000円を支払う |
面会交流 | 妻と子どもたちは月1回程度面会交流することを認める |
年金分割 | 1/2 |
弁護士のポイント解説
小さな子供の場合、母親が親権者となるケースが多いですが、本件のように母親の育児に問題があるようなケースでは、父親が親権者となることもあります。本件では、小さな子供が3人ともに父親が親権者となった珍しいケースですが、父親の実家で十分なサポートが得られることが重要なポイントでした。
男性が親権を求める場合には、妻の育児の問題点のみならず、自身の従前の監護状況、将来の監護計画(親族からの協力態勢など)を説得的に主張する必要があるでしょう。