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性格の不一致で離婚できる?切り出し方や話し合いで注意するポイントについて解説

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士

離婚する原因で一番多いのが「性格が合わない」というものです。
性格の不一致で離婚したい場合は、「相手が離婚に同意するか」がポイントになります。
相手が離婚に同意しない場合、性格の不一致だけで離婚することは認められない可能性があるからです。

このコラムでは、性格の不一致で離婚を考えている方へ、法律的な手続きや、切り出し方、後悔しないためのポイントなどを詳しく解説します。

目次

性格の不一致とはどのような状態か?

性格の不一致とは?

性格の不一致とは、夫婦間で価値観、性格、考え方、生活習慣などが大きく異なることを指します。
この違いが埋められず、生活の中で頻繁な意見の対立やすれ違いを生むことで、夫婦関係が破綻する原因とされます。

日本では「性格が合わない」ことが離婚理由として最も多く選ばれる傾向があり、実際に令和5年度の司法統計でも、離婚調停の申立理由の第一位に挙げられています。

女性の離婚原因

順位離婚理由
1位性格が合わない
2位異性関係
3位精神的に虐待する
4位暴力を振るう
5位異性関係

男性の離婚原因

順位離婚理由
1位性格が合わない
2位精神的に虐待する
3位異性関係
4位浪費する
5位家族親族と折り合いが悪い

性格の不一致の具体例

性格の不一致の具体例は、

  • 些細な家事の分担や休日の過ごし方についての意見の食い違い
  • 子供の教育方針や家族行事を巡る価値観の違い
  • 一方が貯蓄を重要視する性格であるのに対して、もう一方が浪費癖がある場合
  • 一方が独身時代のまま自由奔放な生活スタイルを続けたいと考えているのに対して、もう一方は家庭内の安定を重視している場合

といった事例があります。
結婚当初は趣味や価値観の違いをお互いに尊重していたものの、次第にそれが不満に変わり口論が絶えなくなる場合や、片方に負担が偏ることで不満が蓄積することにより離婚を決断するケースも多く見られます。

いずれの場合も、根本的な価値観の違いが原因となることが多く、それが長期間続くことで夫婦関係が破綻することが多いのです。

性格の不一致で離婚はできる?

協議離婚と調停離婚であれば可能

「協議離婚」や「調停離婚」であれば、双方が離婚に同意すれば、離婚の原因に関わらず離婚が可能です。
協議離婚とは、夫婦双方が離婚について合意し、離婚届を役所に提出する手続きのことです。
この場合、お互いが十分に話し合い、同意が得られれば迅速に離婚を成立させることが可能です。ただし、合意が得られない場合や条件について意見が対立する場合には「調停離婚」を検討する必要があります。

調停離婚は家庭裁判所での調停を通じ、第三者である調停委員が仲介に入って話し合いを進める手続きです。
調停委員が夫婦双方の意見を聞き、納得のいく結論に至るための手助けをしてくれます。養育費や財産分与、親権等の離婚条件についても助言を受けながら取り決めることができます。

裁判では「性格の不一致」だけでは離婚できない

性格の不一致を理由にした離婚は、裁判では認められにくい場合があります。性格の不一致自体は法律上の離婚事由ではないため、それだけでは離婚原因と認められないためです。

裁判で離婚が認められる事由「法定離婚事由」は、以下の5つです。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき。
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。※
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

※令和6年5月17日に成立した民法改正で、「4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。」は削除されましたが、施行までは現行の民法が適応されます。

離婚原因として認められる要件を満たすには

裁判で離婚を認めてもらうためには、不一致によって「婚姻関係が破綻している」ことを具体的に証明し、「婚姻を継続し難い重大な事由」という要件を満たす必要があります。

婚姻関係の破綻を判断する基準は、裁判所が多角的に判断する要素が多くあります。一般的には以下の要素が重要とされています。

  • 夫婦間の交流の有無:夫婦や家族間の交流がどれくらい断たれているかが考慮されます。
  • 不和の度合い・不和が生じた期間:夫婦間の不和が長期間続いているかどうかが考慮されます。
  • 長期間の別居:別居が長期にわたる場合、婚姻関係が破綻していると見なされやすいです。
  • DVやモラハラを受けている:配偶者からのDVやモラハラが事実として認められる場合は、婚姻関係が破綻していると認められる可能性があります。
  • 離婚協議の有無:お互いに離婚の意思があり、離婚や離婚条件について双方で協議していたという事実があるかどうかが考慮されます。

性格の不一致を理由に離婚を切り出す際の注意点

離婚を切り出す適切なタイミングは?

性格の不一致を理由に離婚を切り出す場合、適切なタイミングは非常に重要です。
離婚を話し合うためには、双方が冷静に向き合える状況を整える必要があります。日常のトラブルが続いている最中感情的な衝突が起きている最中に切り出すのは避けたほうが良いでしょう。
また、相手の生活や仕事が安定している時期を選ぶことで客観的な話し合いがしやすくなります。特にお子さんがいる場合は、子供の生活や学習に影響を与えないタイミングを考慮しましょう。

話し合いをスムーズに進めるための準備はしっかりと

性格の不一致によって離婚を考える際、話し合いをスムーズに進めるためには、まず自分の考えを整理することが大切です。

  • なぜ離婚をしたいのか
  • どのような生活を望むのか

といった具体的な理由や目標を明確にしておきましょう。

また、

  • 財産分与に関すること:住宅の査定、ローン、独身時代からの財産、結婚してから増えた財産、加入している保険を解約する場合の解約返戻金 等
  • 養育費に関すること:子どもにかかる費用、教育費、学費、お互いの収入が分かる資料、養育費算定票 等
  • 親権に関すること:離婚後の子どもの生活のシミュレーション、離婚後の面会交流の頻度 等

といった、離婚の条件に関わる情報を事前に用意しておくと、有意義な話し合いができる可能性が高まります。さらに、感情的にならず冷静に話し合うために、必要に応じて法律の専門家やカウンセラーの助言を仰ぐ準備もおすすめです。

相手に納得してもらう伝え方のコツ

相手に納得してもらうためには、論理的で誠実な伝え方を心掛けることが重要です。
「性格の不一致」という漠然とした理由を羅列するのではなく、具体的にどのような点が問題となり、なぜ修復が難しいのかを丁寧に伝えましょう。
また、相手を責める口調を避け、自分の気持ちや考えを軸に会話を進めることが大切です。例えば、「あなたの〇〇が問題だから」という表現ではなく、「自分は△△がつらかったので、この選択を考えるようになった」という形で説明することで、相手に対する攻撃と受け取られにくくなります。

離婚の切り出し時に避けるべき行動や言葉

離婚を切り出す際に避けるべき行動や言葉についても注意が必要です。
まず、感情的になって衝動的に「もう離婚したい」のような言葉を投げかけるのは避けましょう。
性格の不一致を理由にする場合は、論理的で説得力のある説明が求められるので、感情論だけでは相手に納得してもらえない可能性が高くなります。
また、相手が納得できないまま一方的に離婚話を進めてしまうと、話し合いが難航し、調停、さらには裁判に発展する可能性もあります。さらに、お子さんがいる場合には、前もって自分の考えを整理し、子供に与える影響についても配慮した発言を心がけましょう。

性格の不一致による離婚で注意すべきポイント

性格の不一致で慰謝料は発生する?

性格の不一致を理由に離婚を進める際、財産分与や慰謝料の取り扱いに注意が必要です。
「性格の不一致」を理由に離婚を進める場合、慰謝料の発生は通常ありません
しかし協議離婚や調停離婚では、合意の上で「解決金」として金銭を支払うことはできます。

財産分与で揉めないために

婚姻期間中に築き上げた財産の分与に関してはトラブルが発生することがあります。夫婦で築いた財産は原則として均等に分けることが基本ですが、特に不動産や退職金といった資産に関しては、専門的な知識が必要になる場合もあります。

不利な条件で取り決めをしないためには、自分がどの程度の権利を持つのか明確に理解しておくことが重要です。離婚前に弁護士や専門家に相談し、自分の主張を正確に伝えるための準備を進めることが推奨されます。

子供がいる場合の親権や面会交流問題

性格の不一致による離婚の場合、子供がいる夫婦にとって最も重要なのは、親権や面会交流の問題です。親権の決定には子供の福祉が最優先されるため、どちらが子供の生活環境により良い影響を与えられるかが考慮されます。
夫婦間で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や裁判で親権を決定することになります。
また、親権を持たない親も、子供と定期的に会うための面会交流権を設定する場合が一般的です。子供の将来を第一に考慮し、感情的にならない冷静な対応が求められます。

話し合いが揉めそうな時の対処法

夫婦間の話し合いだけで合意に達するのが難しい場合、調停や弁護士などの第三者の介入を検討するのが有効です。
家庭裁判所の調停では、調停委員が夫婦の話し合いをサポートします。さらに、弁護士に依頼することで、自分が望む条件に近づけるように話し合いを進めることができます。
どちらかが離婚に合意していなかったり、条件で折り合いが付かない場合、当事者だけで話し合いを続けるのはリスクがあります。感情的になりやすくなり、対立が激しくなってしまうと、一度相手が同意していたことにも拒否するようになる・・・という泥沼に陥ってしまうことがあります。
相手の性格や、条件等で揉めることが予想される場合、早期の段階で弁護士に相談することで、話し合いがスムーズになるでしょう。

まとめ

このコラムでは、離婚原因として一番多い「性格の不一致」での離婚について解説しました。
性格の不一致だけでの離婚は、裁判では認められませんので、話し合いや調停の段階で相手に離婚を同意してもらうことがポイントになります。
性格の不一致で離婚を切り出す際は、双方が冷静に向き合える状況を整える必要があります。日常のトラブルが続いている最中や感情的な衝突が起きている最中に切り出すのは避けましょう。
また、離婚後の生活や、子どもがいる場合どのように子どもを育てていくか等、相手が納得できるようなビジョンを見せることができるよう、しっかりと準備してから切り出すことで、話し合いをスムーズにすすめることができます。

性格の不一致での離婚は、相手を感情的にさせない、対立を激化させないことがスムーズに話し合いをすすめるポイントになります。当事者同士での話し合いが難しいことが予想される場合は、離婚を決意した段階で一度弁護士に相談されることをお勧めします。財産分与や親権、離婚の切り出し方など、具体的なアドバイスを受けることができるでしょう。

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所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

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