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自覚のないモラハラ妻・夫の心理とは?モラハラを自覚させる方法について解説!
モラハラをしている人は、自分がモラハラしていることに気づかない、自覚していないことが殆どです。
その原因として、モラハラ加害者の生育環境や、社会に出てからのジェンダー(性的役割)の押し付けにより歪んだ固定観念を持ってしまうことや、その人の抱える障害が、自分がモラハラをしているという自覚を妨げていると考えられます。
このコラムでは、モラハラ妻・夫がモラハラを自覚できない心理と、モラハラを自覚させる・気づかせる方法について解説します。
モラハラの定義と特徴
モラルハラスメントとは?
モラルハラスメント、通称モラハラとは、身体的暴力ではなく、言動や態度によって相手に精神的な苦痛を与える行為を指します。この暴力の特徴として、暴言や無視、虐待的な態度などが挙げられますが、外部には分かりにくく、加害者自身が自覚ないまま行っている場合が多いのです。
こうした心理的な操作が日常生活に深刻な影響を及ぼし、被害者が「どうしてこんなに苦しい」と感じても、それがモラハラであると気づくことは容易ではありません。この行為が家庭という親密な空間で行われる場合、被害が見えにくく、ますます問題の認識が遅れる傾向にあります。
家庭内でのモラハラの例
家庭内で見られるモラハラの例として、配偶者を夜通し怒鳴り続けたり、理由なく長期間にわたって無視する、人格を否定する言動をするといった行為がこれに該当します。これらの行為は、被害者にとっては大きなストレスとなり、夫婦間の信頼関係を崩壊させる原因となります。また、家庭外での評価と家庭内での態度が大きくギャップを持つ場合も少なくありません。被害者が「自分が悪いのかもしれない」と自己を責めてしまい、モラハラの存在に気づくことができず、苦しみを抱え続けるケースが多く見受けられます。
自覚のないモラハラ加害者の心理
無自覚な加害者の特徴
モラハラ加害者はその言動が相手に精神的苦痛を与えているという自覚がないことが多いです。なぜ自覚がないかというと、加害者自身が自分の行為を「正当」や「普通」と認識している場合が多いからです。例えば、家庭内で怒鳴ったり、無視したりする行動は、本人にとっては「正当なこと」「普通のこと」なので、人間関係を損なうモラルハラスメントに該当するということに気づくことができません。
また、被害者側が苦しみを表に出しにくいことも一因で、他人の痛みを理解する機会が少ないため、加害者は自分の行動の問題に気づくことなく生活することが多いのです。
無自覚な行動の背後にある心理
モラハラがなぜ無自覚に行われるのか、その心理に目を向けると、育ってきた家庭環境や過去の経験が影響していることが多いです。例えば、子どもの頃に家庭内での暴力・暴言や無視が当たり前の環境で育った人は、それが普通であると認識することがあります。子どもの頃は、親のそのような養育環境に傷つき、苦しんだにも関わらず、大人になって身近な恋人や配偶者・子どもに同じことをしてしまうことはよく見られます。
- 「女はだまって男のいうことを聞くもんだ」と父親が母親を怒鳴っていた
- 常に周囲と比べられ、いい大学やいい企業に入らなければ「クズ」と罵られた
- 母親がささいなことでヒステリックになり、怒鳴られていても父親は一切助けてくれなかった
このような生育環境で育ってきた人が、成長過程で価値観を変えることができないままだと、大人になりパートナーに同じような価値観を振りかざすようになります。
モラハラ加害者は、実はとても自己肯定感が低く、「人より優位にたたないと自分は生きている価値がない」「自分に絶対に非があってはならない」という思いを抱えながら生きているため、パートナーのちょっとした言動に反応し、攻撃をします。
また、自己愛性パーソナリティ障害との関連性もあり、強い自己愛から来る「自分は悪くない」という信念が、モラハラをしているという気づきを妨げます。自分が与えている精神的苦痛に気づくことができないまま、加害者としての自覚がない状態が続いてしまうのです。
モラハラの自覚を促す具体的方法
「あなたのしていることはモラハラだ」と加害者より上の立場の人に伝えてもらう
モラハラを改善するには、まず自分の言動がモラハラだと自覚できるかどうかが大切です。しかし、モラハラ被害者から直接「それはモラハラだ」といっても、効果がない場合が殆どです。
モラハラ加害者は、モラハラ被害者を無意識的に下に見ているので、「モラハラ被害者のいうことは間違っていて、それを自分が正してあげている」とさえ思っています。「モラハラだ」と指摘したところで、「気にしているのはお前だけだ」「被害者ぶって俺を悪者にしようとしている」と受け入れられないでしょう。
そこで、効果的なのは「モラハラ加害者が自分より上だと思っている人」にストレートに言ってもらうことです。加害者の信頼している友人や尊敬している上司、(理解ある場合は)加害者の親、精神科医やカウンセラー等の専門家からの意見だと、素直に聞き入れる可能性があります。
しかし、自己愛が強すぎて、「自分以外は全員バカばっかり」「自分たちのこともよく知らないくせに口を出すな」と周囲の意見も聞き入れることができない人には、周囲の意見やカウンセリングは効果が少ないので注意です。
しばらく距離をとり、心の底から「変わらなきゃマズイ」と分からせる
モラハラをしている人は、被害者に対して「なんだかんだ言ってこいつは自分からは絶対離れられないだろう」とたかをくくっています。一方、見捨てられることにとても恐怖を感じています。相手に依存しているのです。
きっぱりと「これ以上あなたといるのは限界です」と伝え、実家に帰る、別居をしてみるといった距離を取ることも選択肢の一つです。距離を取ることには、加害者・被害者どちらにもメリットがあります。加害者は、自分がやってきたことの何がいかなかったのかを考えるきっかけになります。モラハラ加害者は、自分を顧みるチャンスを与えられなかった人です。自分が依存し、甘えてきた被害者がいなくなって初めて「自分が変わらなくてはならない」と本気で思うかもしれません。
被害者の方は、距離を取り、誰かに相談することでモラハラ加害者の洗脳から少し離れることができます。「自分はモラハラを受けていたんだ」と被害者であることを自覚し、相手の言動がおかしかったことに気づくことができます。
モラハラを改善できるかの見極めのポイント
基本的にモラハラは治すのが難しい
上記の行動で、モラハラ加害者が「自分はもしかしてモラハラをしているのかも・・・?」と気づかせることができたなら、大きな一歩です。しかし、モラハラ加害者の価値観は、生まれてから人生をかけて築かれてきたものですので、自分を変えることは決して容易ではありません。
一時的に優しくなったり、改心した素振りを見せていても、また加害者にとってつらいことがあれば、モラハラというストレス解消法に戻ってしまいます。モラハラは、共依存という「関係性の依存症」の一種なので、アルコールや薬物が意志の力だけではやめることができないように、モラハラも自分の意思の力だけではやめることができません。
相手がモラハラを改善できるかどうかの見極め方
上記の通り、モラハラを治すことは基本的には非常に難しいですが、モラハラを改善することができる人はまれにいます。相手がモラハラを改善することができるのか、見極めるポイントとして、下記を参考にしてください。
- モラハラ被害者以外の第三者に、「自分のモラハラを治したい」と正直に相談できている。
- 「自分のモラハラは自分ひとりの力では治せない」と、自分の無力さを認めている(支配欲を手放す)。
- モラハラを改善するために、カウンセリングや、加害者プログラム等の外部の機関に足を運ぶなど、実際に行動ができている。
- 「自分のこれまでの生き方が間違っていた」「自分の価値観は間違っていた」と素直に認めることができている。
被害者側のポイントとしては、相手の「もう二度としない、心を入れ替える」と言った言葉や「自分に向ける一時的な優しさ」に惑わされないことです。モラハラという、歪んだ関係性に陥ってしまった夫婦は、もう自分たちの力だけでは回復が難しく、周囲のサポートが不可欠です。なので、「相談できる」「周囲との繋がりを持つ」ことがとても重要なポイントになってきます。
モラハラを自覚した加害者の次のステップ
専門家によるカウンセリングを受ける
専門家によるカウンセリングは、モラハラからの回復や防止において重要な役割を果たします。心理学者やセラピストが提供するカウンセリングでは、加害者が自身の行動パターンを見直し、改善するための具体的な方法を学ぶことができます。
セラピストは、コミュニケーションスキルの向上やストレス管理の方法を教えてくれるため、加害者が無自覚な部分を理解し、自ら行動を変える自発的な動機付けを与えることが期待されます。被害者にとっても、専門家のサポートを受けることで無力感から解放され、自分自身の価値を再確認することにつながります。
自助グループに通う
モラハラは、「共依存」という関係性の依存症とも言えます。モラハラ加害者や被害者は、結果として加害者と被害者という正反対の立場ではありますが、どちらも「アダルトチルドレン」という、家庭内のトラウマ(心的外傷)による傷を抱えたまま大人になり、生きづらさや関係性の問題を抱えている人である場合が多いです。
そのような「人間関係の問題」「生きづらさ」「自己肯定感の低さ」という一次障害が、アルコールや薬物依存、摂食障害、ギャンブル、DVモラハラ、共依存といった依存症という二次障害を発生させてしまいます。
これらの二次障害は併発しやすく、DVモラハラ加害者でも、他にアルコールやギャンブルに問題を抱えていたり、異性の問題を抱えている人が散見されます。一方、被害者の方でも、モラハラ被害を受けて「自分はアダルトチルドレンなんだ」と気づく方が多いです。
そのような「生きづらさ」を抱えている人たちが、集まって自分の体験や苦しさを分かち合う場を「自助グループ」と言います。日本には、さまざまな自助グループがあり、当事者だけでなく、その問題に悩んでいる家族も参加することができます。
下記では、いくつか自助グループを紹介しているので、参考にしてみてください。ミーティング(自分の悩みや体験を話す会)はオンラインでも開催されているため、全国どこからでも、聞くだけでも参加することができます。また、全員が匿名での参加で、自分が話した内容が外部に漏れることはありません。
CoDA(コーダ) | 「相手の成長や回復を阻む支配関係を拠り所にする不健全な関係」に悩む人のためのグループ |
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アダルト・チルドレン・アノニマス(ACA) | 問題のある家庭に育ち、人間関係の問題や生きづらさを抱えている人のためのグループ |
アルコホーリクス・アノニマス(AA) | アルコールに問題を抱えている人のためのグループ |
アラノン家族グループ | アルコールに問題を持つ人の家族・友人のグループ |
ほかにも、摂食障害・ギャンブル依存・買い物依存・感情も問題など、様々な問題に対応した自助グループがあります。自身や配偶者が「自分も当てはまるかも・・・」と思う問題があったら、気軽に参加してみることをお勧めします。
自助グループ 一覧(特定非営利活動法人ASK)
まとめ
モラハラをしている人は、モラハラの自覚がない場合が殆どであり、その原因は生育環境や、自己愛性パーソナリティ障害等のパーソナリティの問題が関係しています。また、モラハラを自覚させることは容易ではありませんが、第三者の介入や、距離をとるといった方法で、モラハラ加害者にモラハラを自覚させるきっかけを与えることができる可能性があります。
モラハラ加害者がモラハラを自覚し、周囲のサポートを得ようと思ったときは、モラハラを改善させる大きな一歩です。
一方、モラハラをいつまでも自覚することができない、自覚しても「相手が悪いから仕方ない」「自分は変わらない」と自分を変える気がない場合は、モラハラが改善されることはないでしょう。
その場合は、「相手はもう変わらない」ということを受け入れ、別居や離婚に踏み切ることも選択肢の一つです。
法律事務所リベロでは、DVモラハラ事件に携わって17年の所長弁護士がご相談をお受けしております。いつまでも改善されないDVモラハラでお悩みの方は、お気軽にお問合せください。