営業時間:平日9時〜18時
夫や妻に無視されるのはモラハラ?無視する人の心理と対処法を解説します
夫に頻繁に無視されます。気に入らないことや夫婦喧嘩がある度に何日も無視するので、夫の機嫌を損ねないように気を遣うのに疲れてしまいました。
妻にいつもダメ出しされ、思い通りにならないと何か月も無視されます。いないものとして扱われて、こちらが懇願しても無視され続けるのは非常に辛いです。
夫婦喧嘩をした直後や、相手に怒りを感じているとき、「今は話したくない」と一時的に距離を置きたい時は誰しもあると思います。また、怒りがおさまらずに相手を一時的に無視してしまうこともあるでしょう。
しかし、長期に渡る無視や、嫌がらせを目的とした頻繁な無視は「サイレントモラハラ」と呼ばれ、相手の存在を否定する「精神的DV」の一種です。
このコラムでは、意図的に無視する人の心理や無視がもたらす影響、無視された時の対処法について解説します。
長期間・頻繁な「無視」は立派な精神的DVです
「無視」はなぜ精神的DV?
「無視」という行為は、一見些細なように思えるかもしれませんが、精神的DVの一種であり、モラルハラスメント(モラハラ)に分類されます。モラハラの特性として、言葉や行動で相手をコントロールする傾向が挙げられますが、無視のように意図的に相手を排除し、孤立させる行為もその一つです。
無視は、相手の存在そのものを否定し、価値を感じさせなくする行為です。これが積み重なることで被害者の自己肯定感が低下し、精神的ストレスや健康問題につながるのです。
「無視」は「サイレントモラハラ」の一つです
無視は、発言や態度による明らかな嫌がらせとは異なり、「サイレントモラハラ」として知られています。「サイレントモラハラ」の特徴は、対話を拒否し、相手を意図的に孤立状態にしてしまうことです。一見すると口論や暴力を避けたように見えるかもしれませんが、実際にはこれが非常に破壊的な精神的影響を及ぼします。
例えば、
- 相手からの話しかけに一切応じない
- 日常の連絡事項を伝えない
- わざと冷淡な態度をとる
といった行動が挙げられます。このような行為は直接的な言葉や暴力を伴わないため表面化しにくいですが、実質的には深刻な心理的ダメージを与えるモラハラ行為として広く認識されています。
なぜ「無視」をするの?
「無視」が心理的なダメージを与えると分かっているから
モラルハラスメント(モラハラ)の中でも「無視」という行為は、被害者の心理に深刻なダメージを与える特徴があります。無視されることにより、被害者は自分の意見や存在が無価値であると感じることが多く、孤立感が強まります。
この精神的孤立は、低い自己評価や不安感を助長し、場合によってはうつ病の引き金になることもあります。このように、無視は非常に攻撃力の高い方法だと加害者は分かっており、その上でわざと無視という方法を取ることで、相手にダメージを与えようとします。
相手を孤立させたいから
「無視」は単なる無関心や偶然の行動ではなく、多くの場合意図的な戦術として利用されることがあります。この行為は被害者の「存在そのもの」に対する価値を攻撃する点が特徴です。たとえば、職場で特定の同僚を会話から意図的に排除したり、家庭内で特定の家族に応答しないなど、被害者を孤立させることで彼らの精神的エネルギーを削ぎ落とします。このような態度の根底にはコントロール欲求や加害者自身の内なる不安が隠されています。
相手を支配したいから
「無視」を行う人の心理的背景には、自分の思い通りに物事を進めたいという強い支配欲が根底にあるためです。家庭内における権力や主導権を握ることで自身の価値を感じたいと考えている場合が多いです。このような心理は、一見して自信があるように見えるものの、実際には自己肯定感の低さや内面的な不安を隠す手段として現れることがあります。
また、相手を無視し精神的に追い詰めることで、自分が優位に立っていると認識し、その位置を維持することで安心感を得ようとします。他者よりも優れていると誇示することで、内面的に抱える劣等感や不安を埋め合わせたいと感じています。
このような心理的要因が重なる結果、無視という形で相手をコントロールし、支配関係を構築しようとするのです。さらに、幼少期において家庭環境に問題があった場合や、心理的に未熟な部分を抱えているケースも少なくありません。
特に挙げられるのが自己中心的な性格と共感性の欠如です。自分の感情や欲求が最優先であり、相手の感情や意見を無視する場合が非常に多くみられます。このような性格傾向を持つ人は他者との健全な関係を築くことが難しく、相手の痛みや苦しみに共感する能力が欠けていることから、結果として「無視」という行為を繰り返しやすくなります。
無視による深刻な影響とは?
被害者の心理的ダメージが大きい
無視は、モラハラの中でも特に心理的なダメージをもたらす行為です。被害者は相手から存在を否定されたように感じ、自尊心や自己肯定感が低下します。長期的に続く無視は、抑うつ状態や不安障害を引き起こし、最悪の場合、うつ病やパニック障害などにつながることがあります。
また、無視する人の心理を理解しようと過度に気を使うあまり、自分の感情が後回しになり、心理的負担が増大します。心の不調が生活全般に影響を与えることも少なくありません。
日常生活に支障が出てしまう
夫婦間での無視は、家事や育児といった日常生活の基盤に大きな影響を及ぼします。例えば、家庭内での会話が途絶えることにより、必要な情報共有ができず、役割分担が曖昧になってしまうことがあります。
結果的に一方が過剰な負担を抱えることとなり、家計や子育てにも支障が出てしまいます。特に妻が夫から無視され続ける場合、子どもの生活リズムや情緒的安定にも悪影響を与える可能性があります。無視されている間は、家事や育児のすべてを押し付けるなどの行為が伴うこともあり、被害者にさらに深刻な心理的ダメージを与えることがあります。
子どもに悪影響がある
夫婦間の無視が続くことで、最も影響を受けるのが子どもです。家庭内で親同士が無視しあう状況は、子どもにとって大きな心理的負荷となります。子どもは親の間に溝があることを敏感に察知し、不安や孤独感を抱くことがあります。さらに、無視を伴う衝突が日常化することで、子どもの情緒や発達に悪影響を及ぼす可能性もあります。
また、親がDVモラハラの加害者または被害者のどちらかである場合、子どもが片親寄りの偏った考え方を持ってしまう場合もあります。これらの影響を回避するため、子どもの心理状態や家庭環境の改善に取り組むことが急務となります。
無視する相手との関係で悩んだときの対処法
無視されても落ち着いて対応しよう
モラハラ夫・妻から無視される場合、まず冷静な対応を心がけることが重要です。無視という行為は心理的な攻撃であり、相手に自分の影響力を示したいという支配欲が背景にあることが多いです。そのため、直接的な口論や感情的な反応は避け、自分の主張を落ち着いて伝えることがポイントです。
また、無視する人の心理を理解し、「嫌がらせ」に対する自己防衛として距離を取ることも有効です。必要に応じて、自分の気持ちを信頼できる友人や専門家に話して吐き出すことを検討しましょう。「仕返ししたい」と思ってしまう気持ちも分かりますが、モラハラ加害者に対しては、仕返しはかえって逆効果になる場合もありますので注意しましょう。
「無視をやめること」を相手に期待しない
モラハラ問題において、無理に解決を目指さない方が良い場合もあります。モラハラを行う人には自己中心的な性格や共感性の欠如が見られるケースが多く、「無視しないでほしい」と対話を試みても話が通じないことがあります。
そのため、無理に話し合いを続けることで、自分自身がさらに精神的に疲弊してしまう可能性があるのです。このような場合は、冷静に状況を見極め、無視されたことに反応せず、一旦距離を置いたり他の方法で自分を守ることを優先しましょう。
信頼できる第三者への相談しよう
モラハラによる被害から抜け出すためには、信頼できる第三者に相談することが非常に重要です。家族や親しい友人だけでなく、モラハラに詳しいカウンセラーや弁護士に相談することで、新しい視点や具体的な助言を得ることが可能です。特に、相談により状況を客観的に把握することで、自分にとって最適な行動が見えてくるでしょう。第三者とのつながりは、精神的支えにもつながり、感情的な負担を軽減する効果もあります。
相手の「無視」などのモラハラで離婚を考える時
モラハラ行動はエスカレートするので注意
モラハラ行動は放置するとエスカレートする危険性があります。例えば、最初は小さな「無視」や冷たい態度から始まったとしても、それが繰り返されることで徐々に暴言や行動の制約、さらには経済的な支配へと発展することが少なくありません。
モラハラは一度顕在化すると被害者の心身に多大な負担を与え、それが長期化することで夫婦関係の破綻に至るケースもあります。このような状況を防ぐためには、早期の対処法を検討し、信頼できる第三者や専門家に相談することが重要です。
記録を残し状況を冷静に把握しよう
モラハラの被害を具体的に理解し対処するためには、記録を残すことが有効です。無視された状況や夫の態度、言葉、行動を日付や詳細とともに記録することで、事実を冷静に把握することができます。この記録は、第三者へ相談を行う際の説明材料となるだけでなく、必要であれば法的な手続きを進める際にも重要な証拠として活用できる場合があります。また、自分自身の心の整理を行ううえでも記録をつけることは役立ちます。
離れる選択肢も考えよう
無視やモラハラが続く場合、状況によっては「離れる」という選択肢が最善策となることがあります。これは決して簡単な決断ではありませんが、自分自身の心身の健康と安全を守るために必要な場合があります。離れるためには、まずは外部に相談することから、計画的に準備を進めましょう。信頼できる支援者や支援団体、弁護士への相談をすることで、避難先の確保、必要書類の準備、など具体的な見通しが立てやすくなります。
まとめ
「無視」は、モラハラの中でも特に心理的なダメージをもたらす行為です。無視は、相手の存在そのものを否定し、価値を感じさせなくする行為です。その結果、不安感や孤独感が増幅され、うつ状態や自己否定感といった深刻な精神的影響が生じる可能性があります。
モラハラにおける「無視」を受けている場合、加害者との適切な距離を取ることが重要です。無視する人の心理として、相手をコントロールしようとする意図や、自己中心的な価値観が関係していることが多いため、被害者自身が感情的に巻き込まれないようにする必要があります。
妻や夫からの「無視」を受けていて、これ以上耐えられないという時は、物理的な距離を取るために一時的に別居をすることや、離婚を検討することも選択肢の一つとなります。
法律事務所リベロでは、DVモラハラ事件に携わって17年の所長弁護士がご相談をお受けしております。相手のモラハラにお悩みの方は、お気軽にお問合せください。