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「お前のためを思って」は、ただの支配。モラハラ夫・妻の恩着せがましい“愛”について解説

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士

モラハラ加害者がよく使う言葉に、「お前のためを思ってる」「家族を愛しているからこそ」「~してやってる」というフレーズがあります。

一見すると愛情深い言葉ですが、その裏には「支配したい」「思い通りに動かしたい」という欲求が隠れていることも少なくありません。

今回のコラムでは、そんな“恩着せがましい愛”の言葉に潜むモラハラの本質と、見抜くための視点を解説していきます。

モラハラの言葉支配的な行動を見抜くことで、危険を避ける方法を学びましょう。

目次

恩着せがましい愛のモラハラ—加害者の言葉と行動のギャップとは?

「お前のため」という言葉は、一見すると愛情や思いやりのように聞こえます。

けれどモラハラ加害者がこの言葉を使うとき、その裏には“支配”の意図が潜んでいることがあります。

表向きは「家族思い」や「尽くしている自分」を演じながら、実際には自分の欲求や支配欲を満たすためにその言葉を利用しているのです。

加害者が支配を正当化するときには、次のような特徴がよく見られます。

  • してあげたことを何度も繰り返し持ち出し、誇張し、過度な感謝や従順さを求める
  • 少しでも思い通りにならないと、「あれだけしてやったのに!」と責め立てる
  • 自分の考えを押しつけ、「お前のためにならない」と相手を否定し行動を制限する
  • 一見“家族のための行動”に見えても、実際は自分の支配力を強めるために利用している

この言動の本質は、思いやりではなく支配です。
たとえ子どもの世話や家事を手伝ったとしても、「感謝しろ」「お前のためにやってるのに」と責められたり、不機嫌になったりするなら、それは支配的な愛です。

大事なのは、言葉よりも実際の行動を見て、「本当に思いやりがあるか」を判断することです。

「こんな押しつけ、ありませんか?」モラハラ加害者の支配的行動

誕生日のプレゼント、もう決めたぞ。将来のためになる本を選んだぞ。これが一番だって、俺はわかってるんだから

でも、子どもが今欲しがってるのは、流行ってるゲームだよ…

はぁ?そんなの、頭悪くなるだけだ!今の子どもたち、ゲームばっかりやってるから、バカになるんだよ。子どものために選んでやってるのに、なんでわからないんだ?

わー、ありがとう!
(ゲーム欲しかったな。。でも喜ばないとお父さんすごい怒るんだよね。。)

やっぱり俺ってイイ親だよな!子どもが将来ちゃんとした大人になるためには、俺が正しい選択をしてあげないと。これで、子どもも絶対に感謝するはずだ。こんなに素晴らしい親は他にいないぞ!

「子どものため」が口ぐせのモラハラ加害者の心理とは?

ここでは、「子どものため」と言いながら支配的になるモラハラ加害者の心理背景を解説します。

自己中心性からくる支配欲

モラハラ加害者の根底にあるのは、他者の感情や意見への無関心です。
加害者は自分の考えが最優先であり、家族の意見や気持ちを無視してでも「正しいことをしている」と信じて行動します。
その結果、「子どものため」という言葉を使って家族をコントロールしようとする支配的な言動が現れます。

加害者の思考

俺が正しいに決まってる。あいつらはまだ分かってないだけだ!

相手の実際の気持ち

結局自分の思い通りにならないといつも怒鳴って解決しようとする。

「自分の思い通りにならないと不安」な心理

モラハラ加害者は、自分の考えや意見が通らないと強い不安や焦りを感じることが多いです。
その不安を解消するために、家族をコントロールしようとするのです。

「子どものため」という言葉を使えば、正当な主張のように聞こえ、支配的な態度をとる口実にしてしまいます。

加害者の思考

受験に受からなかったら、あの子のせいじゃなくて、私が親として手を抜いたことになる。絶対に失敗できない!!

相手の実際の気持ち

結局お母さんの見栄のためじゃないか・・・家で片時も安心できる時がない・・・

「子どものため」の自己正当化

加害者は、自分の行動を「正しい」と信じ込み、「子どものため」「家族のため」という“正論”を掲げることで自らの支配欲や自己満足を正当化しようとします。
実際には、自分の価値観や考えを押し付けているだけでも、本人は「自分は良いことをしている」と思い込んでいます。

モラハラ加害者は、「子どものため」と言いながら、実際には子どもや家族を本当に思っているわけではなく、自分の意志を押し付けて支配する手段として「子ども」を利用していることが多いのです。

その言葉に惑わされず、実際には支配欲が優先されていることを理解することが大切です。

加害者の思考

あそこで叩かなかったら、将来もっとひどい目に遭う。今のうちに正してやるのが愛情なんだ!

相手の実際の気持ち

“愛”って言うけど、何が愛なのか、もうよくわからない

「やってあげてる」の裏にある自己満足と支配欲

少しの手助けで“恩着せがましく”なる人たち

モラハラ加害者は、ほんのわずかな家事・育児の関わりであっても大げさに評価し、「自分がやってあげている」という態度をとることがあります。
その背景には、相手より上位に立ちたいという思いがあり、自分の行動を誇張して語ることで“正しいのは自分”という構図を保とうとします。

しかし、実際には配慮の欠けた行動であることが多く、受け手の負担が軽視されるため、かえってストレスや不公平感を強める結果になります。

今日さ、公園で子どもと遊んでたら“イクメンですね!”って言われちゃってさ。
お前がちゃんと子育てできてないから、俺が頑張らないとな〜って思うんだよ。
ほんと、お前は俺みたいな夫と結婚できて恵まれてるよな

30分で「暑いし無理!」って帰ってきたよね。
泥だらけの服も片づけも、結局ぜんぶ私
そのあと自室でずっとゲームしてたのも見えてたよ。
共働きで、毎日の家事も育児もほぼワンオペで回してるのに、
なんで少し子どもと遊んだだけで、あんなに“やってあげた感”をぶつけられなきゃいけないの…。

やった分以上のリターンを求める

モラハラ加害者は、わずかな手助けを“特別な貢献”として扱い、それ以上の見返りや感謝を強く求めることがあります。

「感謝しろ」「俺ばかりだ」「その分を返せ」といった言動は、実際には“相手のため”ではなく、自分の支配を強めるための道具として使われがちです。

ごめん、料理したいから、ちょっと子どものこと見てくれる?

は?俺、昨日病院連れてったよな?なんで今日も俺がやる流れなの?
俺ばっかじゃん。俺に休ませる気無いワケ?!
昨日だって混んだ病院で何時間も待ってやったんだぞ?感謝の一言もねぇし!

看病も夜中の対応も全部私だったし、病院のあとも“疲れた、最悪”って文句ばかり
帰宅後はゲーム三昧で、今日は夕方まで爆睡。
“俺ばっか”って言われても、私は共働きで平日ずっとワンオペなんだけど…。

……病院行ってくれたのは助かったよ、ありがとう。
今日は一日子どもと外にいて、私もしんどくて。お願いできないかな。

はぁ…ほんとさ、俺っていつも“やって当たり前”なんだな!
昨日病院連れてっても、今日はまた“お願い”ってさ。
俺の疲れとか都合は、完全に無視なんだよな。
ほんと疲れるわ!

モラハラ加害者の「愛」は、相手を縛るための道具

愛しているという言葉の裏に潜む危険

モラハラ加害者は、自分の支配的な言動を正当化するために「愛している」「君のためだ」といった言葉を多用します。

しかし、暴力や虐待を行う人が同じように「愛している」と口にする例は少なくなく、言葉そのものが行動の正しさを保証するものではありません

本来の愛は、相手を尊重し、自由を認め、その人が安全で幸せに暮らせるよう願う気持ちに基づいています。
ところが、支配や暴力を覆い隠すために「愛」の言葉が使われると、その意味は大きく歪められ、相手に不安や恐怖だけを残すことになります。

加害者の「愛」に対する価値観の歪み

モラハラ加害者の中には、過去の家庭環境や身近な人間関係から、「愛=支配・服従」という歪んだ価値観を身につけてきた人もいます。

そのため、相手の感情や負担への配慮が薄く、愛情表現が一方的で自己中心的になりやすい傾向があります。

“相手を思っているつもり”でも実際には、

  • 相手の自由を奪う
  • 意見を否定する
  • 罪悪感を植えつける

といった行動につながり、結果的に相手を深く傷つけてしまいます。

愛を感じるのは、言葉を受け取る側

忘れてはいけないのは、「愛している」という言葉の価値を決めるのは受け手であるということです。
言葉だけで判断するのではなく、その言葉に伴う行動、日常の態度、自分の心がどう感じているかが大切になります。

もし、相手の「愛している」が

  • 苦しさ
  • 緊張
  • 恐怖
  • 不安

を生み出しているのなら、その言葉は“愛”として機能していません

愛は、本来安心や温かさを生むものです。
支配やコントロールへ姿を変えた時、その言葉は愛ではなく、あなたを縛るための道具になってしまいます。

まとめ:モラハラの“愛”に惑わされないために

「愛している」と言われても、それが本当の愛ではないと気づくことが、モラハラの支配から抜け出す第一歩です。

加害者の言葉に惑わされることなく、自分の感情や直感を大切にし、支配的な関係から脱する方法を見つけましょう。

モラハラの支配的な心理や恩着せがましさについて知りたい方はこちらも参考になります。

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所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約18年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。
離婚相談件数750件超。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約18年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。離婚相談件数750件超極真空手歴約20年。
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