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夫のモラハラは発達障害が原因?アスペルガー症候群とカサンドラ症候群について解説!
みなさんは“カサンドラ症候群”という言葉を聞いたことがありますか?
カサンドラ症候群とは夫婦の一方(男性に多いとされています)が,アスペルガー症候群である場合,会話のキャッチボールができなかったり情緒的なつながりを感じることができず,もう一方が塞ぎ込み抑うつ状態になってしまうことをいいます。
インターネット上では「カサむ」といった言葉も出てきたりと,カサンドラ症候群が一般の方へ周知されてきつつあるように思います。
今回は,アスペルガー夫とカサンドラ症候群の妻について焦点を当てて解説してまいりたいと思います。
- アスペルガー症候群とカサンドラ症候群について知りたい方
- アスペルガー症候群の夫と離婚を考えている方
- アスペルガー症候群の夫とどう接すれば良いか知りたい方
アスペルガー症候群とカサンドラ症候群について
アスペルガー症候群とその特徴
アスペルガー症候群
発達障害の1種であり,女性よりも男性に多いと言われています。
普段の生活や学習面においては問題なくこなせますが,対人関係において他者と円滑にコミュニケーションをとることが困難であったり,物事に対するこだわりが強いために柔軟な対応ができなかったりすることが特徴です。
最近では幼少期に診断されることが増えていますが,社会に出た後に対人関係に難しさを感じて、病院を受診したところ、アスペルガー症候群の診断がくだるというケースもあります。
アスペルガー症候群の特徴は?
- 物の収集や,順番・数字に強いこだわりがある。
- 臨機応変に対応することが難しい。
- 自分の都合を優先させる。
- 例え話や冗談が通じにくい。
例に挙げたものは一例ですが,こういった特徴が挙げられます。
また周囲の人からは“ちょっと変わり者”のように見られることもあります。
カサンドラ症候群とは?
カサンドラ症候群
夫と情緒的交流やコミュニケーションが上手くいかず,またその事実を周囲から理解してもらえないことが原因で妻の心身に不調が出る状態になることをいいます。
“カサンドラ症候群”という医学的な診断名が存在しているわけではありません。
カサンドラという言葉はギリシャ神話の登場人物であるトロイ王国の王女の名前に由来しています。
“本当のことを言っても信じてもらえない”という意の比喩としてビジネスや政治の場面でも用いられています。
カサンドラ状態になるとどんな心情になってしまうのか
アスペルガーの夫は妻を思いやる気持ちが欠如しているため,妻に日頃から心ない発言や態度をとったり,意思疎通の困難さを妻が感じてしまうことがしばしばあります。
それにより妻は
何を言っても伝わらない・・・。
夫のことを理解できない私がおかしいの?
なぜ夫は世間一般の「ふつう」がわからないの?
と1人で悩みを抱えてしまうことになります。
リベロのご相談において,「旦那からモラハラをのような発言を受けて悩んでいる。旦那はアスペルガーの疑いがあって,会話が噛みあわず,離婚の話ができない・・・」といったご相談をされる方もいらっしゃいました。
アスペルガー症候群とモラハラの関連性は?
モラルハラスメント(以下モラハラ)は、精神的な攻撃や感情的な虐待を指します。
ではアスペルガー症候群の特性とモラハラの関連性はどういったところにあるのでしょうか?
それは主に夫婦間のコミュニケーションのすれ違いや誤解が生じることにあります。
例えば
- 理屈が通らないと怒り出す。
- 妻が自分より劣っていると感じた場合「無能だ!」などと罵倒する。
- 家事や育児など成果が見えないものに対して消極的(=家事育児を手伝わない)
- 夫の実家の家族像を押しつけてくる。
例:結婚後も働きたいという妻に対し「女は家を守るのが仕事だろう。」と言う等
このようなモラハラ行為を繰り返されると、カサンドラ症候群の症状を悪化させる原因となり得るため,早期に対応策を講じる必要があります。
尊大型ASDとは?
インターネット上で「モラハラ アスペルガー」等で検索すると,尊大型ASDというワードを見かけることがあるかと思います。
尊大型ASDとは簡単にいうと,アスペルガー症候群と自己愛性パーソナリティ障害が併発しているような状態をいいます。
この2つが併発すると複雑な相互作用が生じることとなり,特徴としては以下のようなものが挙げられます
- 他者に対して非常に無関心であり,自己肯定感が過剰であるため周囲との対立が増える。
- 物事が思い通りにならずストレスを感じた場合,自己愛性パーソナリティ障害特有の攻撃的な言動を起こす。
- 自己中心的な行動や共感能力の欠如により社会的孤立が強まる。
アスペルガー夫とはどう接するべき?
離婚までは考えていなくとも,アスペルガー症候群の夫に悩まされている方は多くいらっしゃいます。
以下でアスペルガー症候群の夫とのコミュニケーションのコツを述べますので参考にして頂くと良いかもしれません。
長々と説明せず伝えたいことを絞る
アスペルガー症候群の特性として特有の認知や想像力の欠如があげられます。
そんな特性を持つ夫に対してあれもこれも要求したり,感情的になって伝えてしまうと,夫は結局自分はなにをしなければならないのかわからなくなり,逆上したり妻を無視するようになってしまいます。
夫に頼み事がある場合には,簡潔に紙に書いて伝えることや,一度に多くの物事を頼まず1つ1つ頼むことが効果的です。
そして夫が頼み事を実行した際には「ありがとう!」と感謝の意を伝えるとよいでしょう。
同じミスを繰り返すときはイラストや動画で説明する
アスペルガーの特性として,言われたことを文字通りに受け取ってしまい,それ以上の物事を行うことは困難な点があります。
例えば,夫と子どもが公園に行く際に,妻が「公園についたら子どもを見ていてね」と伝えると,ただ座って子どもを眺めているだけになってしまい,
子どもが危険な行動をしていたとしても止めたり注意せずただ呆然と眺めているといったことが考えられます。
そのような夫には方法としてイラストや動画で説明することが効果的です。
というのもアスペルガータイプの人は視覚で物事を説明すると理解しやすいといった特徴があります。
ですので例えば「子どもを見る」には
・公園で子どもから目を離さない。
・危険な遊びをしていたら止める。
・遠くに行ってしまったら追いかけて迷子にならないようにする。
という意味があることを,イラスト化や動画にして視覚に訴えて説明するとよいでしょう。
予定を立てて行動するようにしよう
アスペルガー症候群の特徴として、予測可能な環境を好む傾向があります。
そのため予想不可能な出来事が起こると不安になったりパニックを起こすことがあります。
ですので、出かける際には1日の行動を伝える等、事前に伝えるようにするとよいでしょう。
家事を手伝ってほしい時には、その日だけ家事をさせるのではなく、毎日やってもらうようルーティン化させるとお互いにストレスを軽減することができると思われます。
カサンドラ症候群の相談先は?
前述にもあるとおりカサンドラ症候群といった医学的な診断名はありません。しかしカサンドラ状態が続くと,心身に異常をきたすことがあります。
代表的な症状には、抑うつ、無気力、慢性的な疲労感があります。
さらに、パニック障害やめまい、片頭痛、さらには自律神経失調症などが発生することも少なくありません。これらの症状は、日常生活に大きな支障をきたすため、早期に対処することが重要です。
専門家の支援を求めよう
アスペルガー症候群の特性によるコミュニケーションの難しさが原因で、精神的な負担が増すことがあります。
これに対処するためには、カウンセラーや心理療法士などの専門家に相談することで、問題を整理し、心の健康を保持する方法を見つける手助けを得られます。
専門家は、具体的な対処法を提案するとともに、あなたの状況に応じた最適なアプローチを提供します。
また場合によっては薬を処方してもらうと,精神状態が改善することもあります。
同じ経験をしている人と繋がってみよう
カサンドラ症候群に陥る方は夫婦関係において孤独を感じています。
そのような時は同じような経験を共有できるグループや支援コミュニティに参加するとよいでしょう。
家庭のことを気軽に相談出来る相手がいれば孤独感を軽減できますし、困ったときには助け合うことができます。
このように周囲のサポートを受けることで、心の負担を和らげることができ、より良い家庭環境を築く手助けとなるでしょう。
アスペルガー夫との離婚はできるのか?
アスペルガー症候群によるモラハラは発達の特性に起因しているため,夫そのものが悪いといったわけではありません。
しかし、こちらが頑張って歩み寄っても夫と意思疎通が困難で精神的に疲れてしまったり、夫婦関係の改善が見込めないのであれば、我慢せず離婚するというのもよいと思います。
コミュニケーションが困難な夫と離婚協議することは,一筋縄ではいかないと思います。
そういった不安がある方は間に弁護士に入ってもらい協議することで、スムーズに離婚協議をすすめることができるでしょう。
また,協議でもまとまらない場合には離婚調停を起こすのも1つの手段だと思います。調停は家庭裁判所を介して行われ,さらに第三者である調停委員が間に入り、話し合いをスムーズに進める手助けをしてくれます。
調停では元家庭裁判所調査官(臨床心理士)のような専門家がいる場合もあるので,双方が納得がいくよう働きかけてくれることもあります。