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モラハラが原因で離婚する場合,慰謝料はもらえる?
配偶者から酷いモラハラを受け続けると,心が傷つきやがて鬱病や適応障害など引き起こす可能性もあります。
たとえ離婚できたとしても,傷つけられた心はなかなか元には戻りません。
モラハラは,相手に精神的苦痛を与える行為で,モラハラ行為の存在を証明できれば,離婚の際,慰謝料が認められることがあります。
このコラムではモラハラ離婚による慰謝料請求について解説していきたいと思います。
モラハラの慰謝料の相場
離婚する場合の慰謝料の相場は50~300万円程度と幅広いです。
モラハラをされた期間の長さや回数,暴言の度合いその他の事情などによって金額が変わってきますが,一般的にモラハラの慰謝料はそこまで高額にならないのが特徴です。
モラハラの頻度が少なかったり,程度が軽かったりする場合,慰謝料が低くなる可能性があります。
また,モラハラは精神的暴力のため身体的暴力(DV)のように目に見える傷がなく立証できないこともあります。そうすると被害にあっていたとしても証拠不十分で慰謝料が支払われないというケースもあります。
逆に言うと,モラハラの回数や期間,程度その他条件によって,金額が大きくなる可能性もあります。
その条件については後ほど説明していきます。
モラハラは慰謝料請求が難しい?
モラハラ被害による慰謝料が発生することがありますが,実際には支払ってもらうことが難しい現実があります。
慰謝料の請求方法にはいくつかあり,
- 話し合いで慰謝料の請求
- 内容証明郵便で慰謝料の請求
- 離婚調停で慰謝料の請求
- 離婚裁判で慰謝料の請求
おおまかに言うと上記の流れになります。
しかし,話し合いや内容証明郵便を送って慰謝料をすんなり払ってもらえるケースは少ないのです。
理由は以下の通りです。
話し合いで慰謝料請求
離婚の話し合いで慰謝料を請求する場合,相手にモラハラ行為を認めさせる必要があります。ですが,モラハラ加害者と話し合いをすることは極めて困難です。
感情的になって話がまとまらなかったり,新たにモラハラ攻撃を受けてしまう可能性もあります。
またモラハラする人の中には,被害者のためを思ってやったと本気で考えている人も多く,被害者の言葉を真摯に聞こうとしません。
そんな相手にモラハラを認めさせることは不可能に近いのです。
内容証明郵便で慰謝料の請求
別居後,正式に離婚意思を告げる際などに内容証明郵便を送付することがあり,そのなかで,モラハラ被害による慰謝料を請求することがあります。内容証明郵便はいつ、どのような内容の手紙を、誰が出したのかということを証明してくれるものになりますが,法的な強制力はありません。そのため内容証明郵便を無視する可能性もあります。
こうなると,離婚調停や離婚裁判での請求になりますが,モラハラの証拠が重要になってきます。
モラハラの慰謝料請求は証拠が重要!
DVなどの身体的暴力は,目に見える傷跡や病院の診断書など証拠になりますが,モラハラは目に見える証拠が取りにくいです。
しかし,モラハラの被害は慰謝料を請求する側が立証する責任があり,証拠がない場合,慰謝料は認められません。
そうならないためにも,モラハラ被害の証拠を集めることが重要です。
モラハラの証拠になるもの
- モラハラ被害の内容が書かれた日記,メモ等
- 動画や録音した音声
- モラハラ加害者からのメールやLINE
- 親族や友人等,第三者の証言
- モラハラ相手が壊した物等の写真
- 公的機関への相談履歴
- 医師の診断書やカルテ,精神科や心療内科の通院履歴
- モラハラ被害の内容が書かれた日記,メモ等
-
配偶者から受けたモラハラの内容を記録した日記やメモなどは証拠となります。
モラハラされた日時や場所の記録,モラハラの内容(何を言われたか,何をされたか)をできる限り詳しく記録してください。記録した日時がわかるようにすることもおすすめします。
また,時間が経ってから書こうとすると,記憶が不鮮明になる場合があるので時間が経たないうちに記録しておいたほうが良いでしょう。
手帳や紙に手書きの場合,改ざんを疑われないためにも消せないタイプのペンで書き,後から書いた内容を修正しないようにしましょう。
日記はLINE投稿で書く方法もおすすめです。LINEに自分1人だけのグループルームを作成し,その中で,モラハラ被害の内容等を投稿しておきます。そうすると日時や投稿した内容を後から書き換えることができませんので,信憑性の高い記録となります。また,その記載内容については,なるべく実名で投稿するなどして,投稿内容が自身と配偶者のやりとりに関するものと第三者にも分かるようにしておくのがいいでしょう。
- 動画や録音した音声
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モラハラの言動を映像や音声で残すことは,強力な証拠となります。
モラハラ相手も自分の声がしっかり残っているため言い逃れできません。
また,録音する際は前後の会話も録音しておくこと,1回だけでなく繰り返し録音することが重要です。
日常的にモラハラが繰り返されていたという有力な証拠となります。
- モラハラ加害者からのメールやLINE
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モラハラ相手からのメールやLINEの中に,モラハラ発言が含まれていることもあると思います。
そのため,相手とのメールやLINEのやり取りは削除せず,すべて保存しておくことをすすめます。
- モラハラ加害者が壊した物等の写真
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モラハラ相手が感情的になり,壁や物にあたるといった行動を取る場合もあります。
そういった場合,壊した物の写真も証拠になりますので,撮影しておくことをおすすめします。
- 公的機関への相談履歴
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モラハラ被害を警察や行政機関などに相談した履歴は,モラハラ被害を裏づける証拠となる場合があります。
- 医師の診断書やカルテ,精神科や心療内科の通院履歴
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モラハラ被害の影響で心身ともに不調となり,精神科や心療内科を受診された場合は,モラハラにより精神的に不調になっている事実を医師に話しておくことが大切です。
相談内容を記録したカルテや診断書なども証拠になります。
また,領収書や通院の証拠となるものも破棄せず保管しておきましょう。
被害にあっている中,これだけの証拠を自分自身で集めていくことは大変でしょう。
しかし,裁判では証拠が非常に重要です。
証拠集めは法律の専門家である弁護士に相談し,記録の残し方等相談してみることをおすすめします。
※録音においては,注意が必要な場合もあります。
夫婦間において,自宅にICレコーダーを設置し録音を試みた行為が,夫婦間の信頼関係を傷つける違法行為であるとされた判例があります。(東京地裁平成25年9月10日)
慰謝料の金額を左右する要素
モラハラ被害で辛い思いをされた場合,できるだけ高額な慰謝料を請求したいという気持ちがあるのではないでしょうか。
以下のような事実があると,慰謝料の金額が大きくなる可能性があります。
・モラハラ行為の回数が多い,頻度が高い
・モラハラ行為が継続している期間が長い場合
・モラハラ被害者側の非の有無
・モラハラが原因の精神被害の程度が大きい場合
・モラハラ加害者側の経済力
前途でも述べましたが,モラハラの慰謝料の金額は幅があります。
「モラハラを受けたことでどれだけ大きな精神的苦痛を与えられたか」という点に着目します。
併せて,モラハラ加害者の収入も関係します。
相手にそもそも支払い能力がなければ慰謝料を受け取るのは難しいのも現実です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
もしパートナーのモラハラに悩み苦しい思いをしている場合,離婚と慰謝料獲得に向けて,弁護士に相談してみることをおすすめします。
正当な補償として,慰謝料を獲得してもらえると嬉しいです。