モラハラが原因の離婚で慰謝料をもらうには?証拠の集め方や請求方法について解説!

配偶者からのモラハラは,心に深い傷を残します。
「お前なんか必要ない」「誰のおかげで生活できているんだ」といった暴言や,日常的な人格否定。
これらは積み重なり,鬱病や適応障害などの精神的な病気に発展することもあります。
離婚を選んでも,受けた苦しみがすぐに癒えるわけではありません。
だからこそ,精神的苦痛に対する慰謝料をきちんと請求したいと考える方は多いはずです。
しかし,モラハラは「目に見えない暴力」であるため,証拠がなければ慰謝料が認められにくいのも現実です。
このコラムでは,
- モラハラ離婚における慰謝料の相場
- 慰謝料請求の流れと注意点
- 証拠の集め方と有効な種類
- 慰謝料額を左右する要素
上記の4つを中心に解説していきます。
目次
モラハラ離婚における慰謝料の相場

離婚に伴う慰謝料の相場は,50万〜300万円程度と幅広いのが実情です。
金額が左右されるポイントは以下の通りです。
- モラハラを受けた期間(数ヶ月~数十年)
- モラハラの回数や頻度
- 暴言や支配の度合い
- 被害者の精神的被害(診断書の有無など)
- 加害者の収入・資産状況
身体的DVに比べるとモラハラの慰謝料額は低めになる傾向がありますが,長期的・反復的なモラハラで心身に大きな影響が出ている場合は高額になる可能性もあります。
モラハラは慰謝料請求が難しい?

モラハラ被害を理由に慰謝料が発生することはありますが,実際に相手から支払ってもらうのは容易ではありません。
慰謝料の請求方法にはいくつかあります。
- 話し合いで請求
- 内容証明郵便で請求
- 離婚調停で請求
- 裁判で請求
おおまかに言うと上記の流れになります。
しかし,話し合いや内容証明郵便を送って慰謝料をすんなり払ってもらえるケースは少ないのです。
話し合いでの請求
モラハラ加害者は自分の行為を認めないケースが多いため,交渉は難航しやすいです。逆に話し合いの場で再度モラハラを受けてしまう可能性もあります。
内容証明郵便での請求
相手に正式に請求できる手段ですが,法的強制力はありません。
無視されれば調停や裁判に進むしかありません。
そうなると,調停や裁判での請求になりますが,モラハラの証拠が重要となってきます。
モラハラの慰謝料請求は証拠がカギ!

調停や裁判で慰謝料を認めてもらうには,証拠を揃えることが絶対条件です。
モラハラは言葉や態度による精神的な攻撃であるため,目に見える痕跡が残りにくいのが特徴です。
証拠不十分だと「言った・言わない」の水掛け論となり,慰謝料が否定されることも珍しくありません。
モラハラの証拠になるもの
有効とされる証拠は以下の通りです。
- 被害の内容を記録した日記やメモ
- 暴言や威圧的態度を録音・録画したデータ
- モラハラ発言が含まれるメールやLINE
- 第三者(親族・友人・職場関係者など)の証言
- 壊された物の写真や動画
- 警察・行政への相談履歴
- 医師の診断書やカルテ,精神科や心療内科の通院履歴
被害の内容を記録した日記やメモ
配偶者から受けたモラハラの内容を記録した日記やメモなどは証拠となります。
モラハラされた日時や場所の記録,モラハラの内容(何を言われたか,何をされたか)をできる限り詳しく記録してください。記録した日時がわかるようにすることもおすすめします。
また,時間が経ってから書こうとすると,記憶が不鮮明になる場合があるので時間が経たないうちに記録しておいたほうが良いでしょう。
手書きの場合,改ざんを疑われないためにも消せないタイプのペンで書き,後から書いた内容を修正しないようにしましょう。
また,日記はLINE投稿で書く方法がおすすめです。
LINEに自分1人だけのグループルームを作成し,その中で,モラハラ被害の内容等を投稿しておきます。そうすると日時や投稿した内容を後から書き換えることができませんので,信憑性の高い記録となります。
また,その記載内容については,なるべく実名で投稿するなどして,投稿内容が自身と配偶者のやりとりに関するものと第三者にも分かるようにしておくのがいいでしょう。
暴言や威圧的態度を録音・録画したデータ
モラハラの言動を映像や音声で残すことは,強力な証拠となります。
モラハラ相手も自分の声がしっかり残っているため言い逃れできません。
また,録音する際は前後の会話も録音しておくこと,1回だけでなく繰り返し録音することが重要です。
日常的にモラハラが繰り返されていたという有力な証拠となります。
※録音においては,注意が必要な場合もあります。
夫婦間において,自宅にICレコーダーを設置し録音を試みた行為が,夫婦間の信頼関係を傷つける違法行為であるとされた判例です。(東京地裁平成25年9月10日)
DV・モラハラ・離婚で弁護士をお探…


【判例紹介】妻が自宅にICレコーダーを設置した行為が違法行為と認められ,慰謝料の請求を一部認められた事…
夫婦間でパートナーのモラハラやDV等あった場合,証拠を残すために録音しようと思いますよね。 音声データはモラハラがあったことを裏づける証拠として有効なものです。 し…
モラハラ発言が含まれるメールやLINE
モラハラ相手からのメールやLINEの中に,モラハラ発言が含まれていることもあると思います。
そのため,相手とのメールやLINEのやり取りは削除せず,すべて保存しておくことをすすめます。
壊された物の写真や動画
モラハラ相手が感情的になり,壁や物にあたるといった行動を取る場合もあります。
そういった場合,壊した物の写真も証拠になりますので,写真を残しておきましょう。
警察・行政への相談履歴
モラハラ被害を警察や行政機関などに相談した履歴は,モラハラ被害を裏づける証拠となる場合があります。
医師の診断書やカルテ,精神科や心療内科の通院履歴
モラハラの影響で心身ともに不調となり精神科や心療内科を受診された場合は,モラハラにより精神的に不調になっている事実を医師に話しておくことが大切です。
相談内容を記録したカルテや診断書なども証拠になります。
また,領収書や通院の証拠となるものも破棄せず保管しておきましょう。
慰謝料の金額を左右する要素

慰謝料額はケースごとに異なりますが,以下の点が大きな判断材料になります。
- モラハラの頻度・継続期間
- 被害者の落ち度がないこと
- 精神的被害の程度(医師の診断書があるか)
- 加害者の収入や資産の有無
つまり,どれだけ大きな精神的苦痛を受けたかと,加害者に支払い能力があるかが慰謝料額を大きく左右します。
まとめ:モラハラ離婚の慰謝料相談は弁護士に相談を
モラハラを理由に離婚した場合でも,証拠を揃えなければ慰謝料が認められる可能性は低くなってしまいます。
自分一人で証拠を集めるのは大変ですし,相手との交渉でさらに精神的負担を負うリスクもあります。
そのため,できるだけ早い段階で弁護士に相談することが大切です。
弁護士に依頼すれば,
- 適切な証拠の集め方のアドバイス
- 慰謝料請求の交渉・調停・裁判の代理
- 相手への心理的プレッシャーの軽減
といったメリットがあります。
「つらいモラハラから解放されたい」「正当な慰謝料を請求したい」と考えている方は,まずは法律の専門家に相談してみましょう。