DVモラハラで別居したら、住民票は移す?移さない方がいい?移さなかった体験談をもとに解説します!

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士

リベ子

こんにちは。法律事務所リベロ事務員のリベ子です。

DVやモラハラから逃げ、別居や離婚した場合、「加害者に転居先の住居を知られたくない」という方がほとんどだと思います。

その場合、住民票を移さないまま新しい生活を始める方と、住民票を移した上で、住民票の閲覧制限という措置を申し出る方と、二つのケースがあります。

このコラムでは、住民票を移す場合、移さない場合のメリットデメリットや、住民票を移した場合の支援措置について解説していきたいと思います!

目次

住民票の異動は原則は義務。ただし正当な理由があれば問題ない

住民基本台帳法第52条第2項では、正当な理由なく住所変更の届出をしない者について、「5万円以下の過料」に処する旨が定められています。

しかし、DVやモラハラで加害者に居場所を知られたくないという理由で住民票を移さない場合は、正当な理由と見なされるので住民票を移さなくても問題はありません

住民票を移すか悩んでいる方へ。住民票を移さなかった私が感じたメリットとデメリット

リベ子

私はDVモラハラからの避難で別居した際、住民票を移しませんでした。
私が実際に手続き等をする中で感じた、住民票を移さなかった場合のメリットデメリットをご紹介します。

住民票を移さなくてもできたこと(必要書類・要件あり)

  • 国民健康保険の加入(配偶者暴力相談センターの証明書
  • 免許証の住所変更(公共料金の領収書
  • 児童手当の口座変更・医療証の発行(民生委員による住所調査・配偶者暴力相談センターの証明書
  • 児童扶養手当・児童育成手当の申請(民生委員による住所調査
  • 保育園の入所(配偶者暴力相談センターの証明書
  • 小学校入学(入学手続き書類の申請・住民票がある学校へ入学辞退の連絡
  • 区や国の給付金(配偶者暴力相談センターの証明書
  • 018サポートの申請(国民健康保険証の提出
  • フードパントリー等のひとり親の支援(事情を説明
  • 新型コロナワクチンの接種(接種券があれば居住地以外でも接種可能
  • 国民年金の基礎年金番号の変更、国民年金加入手続き(配偶者暴力相談センターの証明書

※自治体によって違います、詳細はお住まいの自治体にお問い合わせください。

別居中どのような手続きをしたかについての詳細はこちらの記事をご覧ください。

住民票を移さないとできなかったこと

  • 都営住宅のポイント方式の申し込み(毎月募集はOKでした)
  • 現居住地での選挙の投票(住民票がある市区町村で不在者投票をすることは可能です)
  • マイナンバーカードの住所変更(住所変更ができないので、マイナンバーカードで本人確認ができなくなる)

住民票を移さないメリット

住民票からの情報漏洩のリスクを考えなくてよい

DV被害者の保護の取り組みは、年々強化されており、自治体でも情報漏洩の対策はしっかり行われていますが、残念ながら自治体が加害者に誤って被害者の住所を教えてしまう、被害者の住所地を含む書類を交付してしまう等のミスがまれに発生しています。不安になってしまう方は、住民票を移さない方がよい場合もあります。

また、DV支援団体や福祉事務所によっては、過去の事例から万が一のことを考えて別居すぐは住民票を移さないことを勧められる場合があります。

私の場合は、別居してすぐは

  • 住民票を移さない
  • 夫の扶養に入っている場合保険証は使用しない(どこの病院で使用したか相手に通知されるため)
  • 郵便局の転居届も出さない(GPS入りの手紙を被害者の元の住所に出し、郵便物の転送で被害者の家を特定したケースがあるため)
  • 携帯電話や電子機器等は別居した時点で電源を入れない。電源を入れる場合は自宅から離れた駅等で入れる(位置情報アプリで位置を特定されたり、撮影した写真、SNSの投稿等から位置を特定されるケースがあるため)

ことを勧められました。

加害者によっては、どんな手を使ってでも相手の居場所を突き止めようとする人がいます。万が一のことを考え少しでも住所を知られるリスクを下げたいという方は住民票を移さないという選択肢もあります。

住民票を移さない場合のデメリット

役所関係の手続きが複雑になる。

免許証の住所変更や、健康保険証の発行で、民間の本人確認は殆どスムーズにいったのですが、役所手続きについては、住民票がないことで、役所関係の手続きが複雑になりました

住民票が元のままということは、配偶者と世帯が別という証拠がないので、別居中で生計が同一ではないということを証明する必要があります。

例えば、別居先で児童手当や医療証の申請、離婚後の児童扶養手当の申請をするときに、住所の証明をする場合、住民票を出せばスムーズなのですが、住民票がない場合、地域を担当する民生委員(厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員)の方に依頼し、実際に申請した居住地に住んでいるかの調査書の提出が必要になります。

児童扶養手当の現況届を提出する際も必要になったので、なかなか大変だと思います。

また、住民票の写しや戸籍謄本、課税証明書は何かと必要でした。住民票の写しや戸籍謄本については、マイナンバーカードがあればどこのコンビニでも取り寄せることができましたが、課税証明書は住民票のある自治体から郵送で取り寄せなければならなかったため、手続きが面倒、時間がかかると感じることも多かったです。

リベ子

マイナンバーカードを作っていたおかげで、住民票の写しや戸籍謄本の取得が居住地のコンビニでできたのは本当に良かったです!

国や自治体からの重要な書類がこない

  • 新型コロナワクチンの接種券
  • 予防接種の問診票
  • 小学校の入学手続き書類
  • 給付金の案内
  • 選挙の投票用紙

のような、国や自治体から届く書類が届かなかったので、調停中に相手方に持参してもらったり、自分から交付の申請をする必要がありました。

特に小学校の入学手続き書類は、保育園も通っているし来るだろうと思っていたら来なくて、同学年の子に聞いてあわてて役所に書類をもらいに行きました。あやうく入学手続きの申請期間を逃す所でした・・・。

また、住民票のある住所の学区では、入学予定だった小学校から「住所があるにもかかわらず申請手続きがない」ということで、元夫の住む家に訪問があったようで、事情を説明しました。

何度も「住民票を移さない理由」を説明する必要がある

子育て関係、住居関係の手続きの度に、住民票を移せない理由を説明する必要がありましたので、そのたびに「DV避難で~」と説明しなくてはならなかったのが少し辛かったです。

住民票を移したい方へ。「支援措置」を申し出ることで加害者に住所を知られるリスクを低くすることができます。

住民票の閲覧制限は、配偶者からの暴力(DV)、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者について、加害者から住民票の写しや戸籍の附票の写しを取得する請求・申出があっても、これを制限する(拒否する)ことができる措置です。

住民票がある市区町村で、「住民基本台帳事務におけるDV等支援措置(DV支援措置)」の申し出をすることにより、措置が講じられます。

リベ子

「住民票の閲覧制限」「支援措置」もどちらの言葉も使用される場合がありますが、どちらも同じ措置のことです。

支援措置の申し出が出来る方

次のいずれかの状態に該当すると相談機関が認める人が申し出をできます。

  • 配偶者暴力防止法第1条第2項に規定する被害者(内縁を含む配偶者からの暴力を受けた者)であり、かつ、暴力によりその生命又は身体に危害を受けるおそれがある方
  • ストーカー規制法第7条に規定するストーカー行為等の被害者であり、かつ、更に反復してつきまとい等をされるおそれがある方
  • 児童虐待防止法第2条に規定する児童虐待を受けた児童である被害者であり、かつ、再び児童虐待を受けるおそれがあるもの又は監護等を受けることに支障が生じるおそれがある方
  • その他1から3までに掲げる方に準ずる方

支援措置の手続きはどこでできるの?

お住まいの(住民票のある)自治体に、「住民基本台帳事務における支援措置申出書」を提出します。警察署や女性相談センター、児童相談所等の相談機関の意見をもとに、支援の必要性を認められると、支援が開始されます。

子ども等、同一の住所を有する者についても一緒に申し出ることができます。

支援措置申出書の例(申出の際は各市区町村の様式を使用します)
警察庁より引用

住民基本台帳制度におけるDV等被害者への支援措置ー警察庁(PDF)

リベ子

支援措置を申し出るには、警察や女性相談センター等の相談機関への事前相談が必要となる自治体もありますので、住民票のある自治体に問い合わせてみましょう。

支援措置の効果は?

  • 加害者(相手方弁護士を含む)からの「住民票」「戸籍の附票」等の住所の確認に繋がる書類の請求が拒否される。
  • 第三者(弁護士、法人、債権者等)からの住民票の写し等の請求は、本人確認及び請求事由をより厳格に審査される。
  • 住民基本台帳の閲覧のリストから外され、第三者の閲覧が防止される。
  • なりすまし防止のため、委任状による支援措置申出者等の代理人もしくは使者による住民票の写し等の請求が出来なくなる(委任状を利用しての請求ができなくなる)。

※ただし、厳格な審査の結果、不当な目的によるものでないこととされた請求まで拒否するものではありません。

支援措置の実施機関は一年間です。延長が必要な場合は自治体に延長の申し出をします。延長の回数は無制限です。

支援措置に関するQ&A

警察に相談しないといけないのか?

A.総務省では、被害を警察署に相談していない方でも、以下の団体等から措置の必要性を確認できていれば差し支えないとしています。

市町村においては、個別のケースに応じ、都道府県公安委員会が指定する「犯罪被害者等早期援助団体」を始めとした民間被害者支援団体等、未成年者が入所していた児童福祉施設を運営する社会福祉法人、未成年者の権利擁護の活動を行う法人未成年者のシェルター(緊急一時避難所)を設置運営する法人等からの意見等の聴取、精神科等の医師による診断書等により措置の必要性を確認しても差し支えないものと考えます。

平成24年9月26日総務省通知「ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等の被害者の保護のための措置に係る支援措置申出書の様式の変更と児童虐待等の被害者の支援措置の実施に関する留意点について」より
本当にバレないのか?

A.残念ながら、支援措置をとっているにもかかわらず、自治体のミスで加害者に住所が交付されてしまうケースが問題視されています。

相手方に弁護士がついた場合、相手方弁護士に取得されてしまわないか?

A.通常、弁護士は「職務上請求」といって、業務を遂行する目的のために相手方の住民票や戸籍を取得することができます。しかし、支援措置がとられている場合、弁護士からの請求でも加害者本人から申し出があったものとされ、交付が制限されます。

特定事務受任者から加害者の代理人として住民票の写し等の交付の申出があった場合、又は、住民基本台帳法第12条の3第2項の規定により、受任している事件又は事務の依頼者が加害者である特定事務受任者から住民票の写し等の交付の申出があった場合、加害者本人から当該申出があったものと同視し・・・

平成30年3月28日総務省通知「ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者の保護のための住民基本台帳事務における支援措置に関する取扱いについて」より

しかし、弁護士によっては、「依頼人(加害者)の名前を伏せて」被害者の住民票を取得しようとする弁護士もいるようです。

DVの加害者である元夫の代理人弁護士が依頼人名を伏せて戸籍の附票を請求し、誤って交付され報道された例

まとめ:住民票を移すか移さないかは個人の判断による

当事務所でも、DVモラハラで別居して、住民票を移した方、移さなかった方、どちらもいらっしゃいます。

また、ご自身の働き方や課税状況等、相手方との関係によってもどちらを選んだ方が良いか違ってくると思います。

上記のそれぞれのメリット、デメリットを参考に、ご自身が安心できる新生活を送れる方を選択していただければ幸いです。

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。

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