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調停って何を話す?どんな場所?-調停の進め方-
以前こちらのコラムで、「日本は調停前置主義である。」とお伝えしました。
“訴訟提起の前に、調停での解決を試みましょう”ということなのですが、
そもそも調停は一般の方にはなじみがなく、どういった雰囲気なのか想像がつかない方も多くいらっしゃることと思います。
こんにちは。法律事務所リベロで勤務しておりますリべ子です。
私は調停を経て元夫と離婚しました。
本コラムでは離婚調停とはどういった場なのかを簡単に解説させていただきたいと思います。
申立書を提出しましょう
調停を行うにはまず裁判所へ調停申立てを行います。
家事調停の申立書の書式は裁判所のホームページに一式ありますので、どういった内容を記載するのか事前に確認しましょう。
弁護士をつけずとも調停を申し立てることは可能です。
しかしこれまでの夫婦関係について整理し申立書に記入することや,作成時に不明な点が出てくる等1人で行うには難しい部分もあるかと思います。
そのような場合は弁護士に依頼して申立書作成を行うことをお勧めします。
申立書を裁判所へ提出するし受理されると、期日の日程や呼び出し時間、待合室の場所等の連絡が来ます。
申立から第一回目の調停までの期間は約1か月前後です。
・調停には相手方も出席します。
DVやモラハラ事案の場合,相手と顔を合わせたくないと感じる方もいらっしゃると思います。
そういった場合は『進行に関する照会回答書』に「相手方と呼び出し時間や待合室の階を変更してほしい」旨を記載しておきましょう。
・別居していて相手方に住所や勤務先を秘匿にしている場合は『非開示の申出書』の提出や、源泉徴収票を黒塗りにして提出しましょう。
第1回目の調停
申立人・相手方それぞれに裁判所から呼び出しの連絡があると、期日に裁判所へ出頭しなければなりません。
調停では,男女2名で構成された調停委員に各々の言い分を聞いてもらい,離婚条件について話し合いを進めます。
1回の期日に要する時間は大体2時間前後で,各人30分ずつ調停員と話す時間があります。しかし対立が激しいような事案についてはなかなか30分では話が終わらないため,
他方は1時間程度待つこともあります。
期日終了時には,次回期日の時間及び場所が記載された紙を渡されます。(東京家裁の場合)
調停委員とは
原則として40歳以上70歳未満の人で,弁護士,医師,大学教授,公認会計士,不動産鑑定士,建築士などの専門家のほか,地域社会に密着して幅広く活動してきた人など,社会の各分野から選出されます。
調停では夫婦間の調整役を担います。従って一方の味方をしてくれる訳ではありません。
話し合いが難しい相手だと,妥協を迫られる可能性があります。
難しい相手を説得するよりは,素直に話を聞く側の説得をすることもあります。
また,離婚を実際に経験されていない方も多いため,当事者の心理状態への理解や配慮が足りず,軽率な発言で傷つくこともあります。
しかし調停は,あくまで,離婚条件を決める場なので,そういうものと割り切って臨むと失望の度合いは小さくなるかと思います。
ただし,子供のことに関しては,調停委員も実際に子育てを経験されている方が多いため,親身になって聞いてくれる傾向があります。
調停の部屋はこんな感じ
テーブルがあり,向かいに調査官が二人並んで座っています。
(画像はイメージです。)
離婚の調停ではなにを聞かれる?
実際の離婚調停では以下のようなことが聞かれます。
婚姻関係の実情
婚姻に至る経緯・子供の状況・紛争となった原因・生活費の支払い状況等
性格の不一致が離婚原因の場合
・性格のどういった部分が合わないと感じるのか
・価値観,生活方針,子供の教育方針,夫婦の役割分担等の状況
・浪費や借金等のお互いの金銭感覚
・生活習慣の違いの程度等
調停に関するQ&A
調停に関してよく質問される事項を
Q&A方式で以下にまとめました。
- 調停委員は法律に詳しいのでしょうか?
-
弁護士など法律の専門家が選任されることもありますが,離婚調停では稀です。
従って実務を十分に理解しないまま思い込みなどで発言することも有り,それを真に受けてしまうと
意に沿わない内容で調停を成立させてしまい後から後悔することもあるので注意しましょう - 裁判官はいますか?
-
裁判官が調停に同席することは基本的にありません。
- 調停に行くときの持ち物はありますか?
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メモ・筆記用具・調停を進める上で参考になる書類などです。
携帯電話の中身を見てもらうことは少ないので,メールやLINE等のやりとりや写真はプリントアウトして持参しましょう。(日付が分かる部分も忘れずに載せておきましょう) - 調停は録音してもよいのですか?
-
録音は禁止です。但しメモをとることは禁止されていないので,気になる内容があればメモを取りましょう。
事前準備をしっかりして調停に臨もう
調停では,調停委員に対しこれまでの生活や,離婚しようと思うに至った経緯などを説明したり,質問に対する受け答え等,自ら話す機会が多いです。
また相手方が予期せぬ主張をしてくることもあります。
そういった事態に備えて,しっかり自分の主張をしたり経緯の説明ができるよう,事前に準備しておくことが必要です。
個人でも調停は申し立てることが可能であると申しましたが,「しっかりと自分の意見を述べることが出来るか不安・・・」「離婚の条件で妥協してしまうかもしれない。」等 進行に不安のある方は,弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士に依頼することで,あなたの主張を弁護士が代弁したり,あなたが不利になる状況を避けることができます。
また弁護士は調停でよく質問される事項も把握しているため,受け答えがスムーズにできることもあります。
まずはお気軽にご相談ください。