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調停?審判? 裁判所を介して離婚を成立させるには
夫婦間で離婚の話がまとまらない場合は家庭裁判所に申し立てて第三者を介入させ調停によって離婚する方法があります。いわゆる離婚調停です。
また離婚調停について調べていると,しばしば審判離婚という言葉も目にしますよね。
この審判による離婚と調停による離婚とで違いはあるのでしょうか?
調停離婚とは
夫婦のどちらかが離婚に反対している場合や,離婚には同意するも親権・財産分与等のその他の条件で話がまとまらない場合は
家庭裁判所へ離婚調停を申し立てて話し合いをすることができます。
また日本では離婚の場合,話し合いで合意に至らない場合,いきなり裁判を起こすのではなく,まず調停で解決することが義務づけられています。
これを調停前置主義といいます。
調停離婚の手順
調停離婚の手順は一般的に下記の様になります。
相手方の住所地の家庭裁判所に「夫婦関係調停申立書」を提出して申し立てます。
申立書は簡単に記載することが出来ますが,養育費や財産分与,慰謝料の記載が必須となっていて,申立書の金額をもとに話し合いが行われます。
失敗がないようにするためには,事前に弁護士に相談しておくと良いでしょう。
申立が受理されると家庭裁判所から当事者双方が呼び出されます。
第一回調停期日への当事者への呼出は,通常申立から約1ヶ月前後です。
離婚調停事件の当事者として呼び出された申立人および相手方は、指定された時刻までに家庭裁判所に出頭します。
調停の方法として、調停室に双方を同席させながら調停を行う場合(同席調停)と、別々に調停室に呼んで、それぞれ個別に話を聞く場合(別席調停)がありますが、別席調停が一般的です。
1回目の調停では、調停の意味や手続きについて説明を受けます。
調停にかかる調停時間は、2時間程度です。
離婚調停は、親権や財産分与、慰謝料といった重要事項を話し合いで解決しようとするものですから、1回の調停で全て解決することは稀です。
多くの場合、3回から5回、場合によってはそれ以上の期日を要することもあります。
そこで、1回目の期日で合意に至らなければ、2回目の調停が開かれ、2回目の調停で合意に至らなければ、3回目の調停が開かれるといったように、最終的な合意に達するまで調停が続けられます。
最終調停では必ず当事者本人の出頭が求められ、弁護士等による代理人のみの出頭は認められません。
当事者同士が、離婚や離婚条件で合意すると、家事審判官が成立した合意内容を読み上げます。
そして、その内容が調書に記載されて、調停が成立することになります。
調停申し立てから調停成立までの期間は、問題の複雑さによって様々ですが、半年~1年程度が多いようです。
数回の調停を行い、夫婦が合意に達すると調停調書が作成されます。
調停調書には離婚することに合意したこと、親権者やお金に関する事項が記載されます。
そして調停調書が作成された後には、不服を申し立てること、調停調書を取り下げることはできません。
調停調書は調停調書作成日を含めて10日以内に調停を申し立てた側が、調停調書の謄本を添えて、本籍地または所在地などの市区町村役場へ提出します。
本籍地でない役所に提出する場合には,戸籍謄本も必要です。
調停離婚では申し立て側の署名捺印があれば、離婚が成立します。
調停離婚の注意点
当然、離婚調停に慣れている、という人は稀ですので 、戸惑われることも多いと思います。
また、専門用語が良く分からない、という相談も多く頂きます。
離婚調停が思うように進まない、調停委員が話をよく聞いてくれない、自分に不利になっているのではないか、と思われるようなことがあれば、弁護士に相談した方が良いと思います。
よく分からないまま、なんとなく進んでいって、気がついたら、自分が不利になっていた、というのが一番良くないパターンです。
また、相手方に弁護士がついているような場合は、こちらも弁護士をつけた方が良いでしょう。
審判離婚とは
審判離婚は、離婚調停を申立てて話し合いを進めてきたものの、あと一歩のところで調停が成立しない場合に、家庭裁判所が調停委員の意見を聞いた上で、当事者双方の衡平を考えて、職権で審判を行い、離婚の判断を下します。
審判となるのは次のような場合です。
- 当事者双方が離婚に合意しているが、遠隔地居住、勤務上の都合、病気などの事情により調停成立時に出頭できない場合
- 離婚に合意した後、一方の気持ちが変わる、また当事者の行方が分からなくなった場合
- 調停において離婚することは双方合意したが、親権者や養育費あるいは財産分与などの取り決めについて合意できない場合
- 当事者の双方または一方が感情的な理由により合意することに拒んでいるが、裁判所が判断を示してくれるのであれば、それに応じてもよいと考えている場合
審判離婚は、審判が下されてから2週間以内に当事者のどちらかから異議申し立てされると効力を失いますので注意が必要です。
まとめ
ここまで調停離婚と審判離婚について述べてきましたが,2つの離婚手続をまとめると
「調停とは話合いで離婚に関する事柄を取り決め解決する。しかし調停中些細なことで不成立になりそうな場合には調停に代わる審判によって,裁判所に離婚の判断を下してもらう。」
ということになります。
実務上は、審判離婚が行われる場合は極めて稀で、通常は、調停が不成立になると離婚訴訟に移行し、判決や和解で離婚等の問題が解決されます。