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離婚調停が成立せず裁判になった!弁護士は必要?訴訟までの期間は?離婚裁判の流れについて解説します。
離婚調停で離婚の同意がなかったり、条件が折り合わない場合は、調停不成立として、調停が終了してしまいます。その次の段階として、「離婚裁判」があります。
離婚調停についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
突然ですが「離婚裁判」というワードからどのようなことをイメージされますか?
手続きがむずかしそう・・・
そもそも離婚は裁判所で争うものなの?
法廷で当事者や弁護士同士で言い争っている。
調停よりも堅苦しいというか怖いイメージがあります。
などなど、マイナスイメージが多いように見受けられます。
しかし、調停不成立→離婚裁判となるケースは意外と多く、当事務所でご依頼いただいている方もはじめ調停だけにするつもりが、条件面で折り合いがつかず裁判になる方は多いです。
今回は離婚裁判の流れ、弁護士の必要性、判決後の手続きについて解説したいと思います。
裁判離婚での争点は?
裁判離婚とは、調停でもまとまらない場合、裁判を起こして、離婚する方法です。
裁判所が、離婚自体のほか、財産分与や慰謝料など金銭的なこと、親権や養育費など子に関することなどを判断します。
裁判離婚の場合、当事者間のどちらか一方が離婚に合意しなくても、裁判で離婚を認める判決となれば、法的強制力によって離婚することができます。
日本では「調停前置主義」といって、調停なしに、いきなり裁判を起こすことはできません。
調停離婚のコラムでも解説しましたが、日本では調停前置主義といって、調停なしに、いきなり裁判を起こすことはできません。
調停離婚のコラムでも解説しましたが、日本では調停前置主義といって、調停なしに、いきなり裁判を起こすことはできません。
民法第770条【裁判上の離婚】
①夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
②裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
- 配偶者に不貞行為があったとき
→不貞行為とは配偶者以外の者との性交渉のことを指します - 配偶者から悪意で遺棄されたとき
→協力・扶助・同居といった夫婦間の義務を、故意に果たさない行為の事です。 - 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
→3年以上に渡り配偶者からの連絡が途絶えて、生死も不明な場合です。
7年以上の場合には家庭裁判所に失踪宣告を申し立てる事が出来ます。
確定すると配偶者は死亡したものとみなされ離婚が成立します。 - 配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき
→配偶者が精神病になったという理由だけでは認められません。
医師の診断やそれまでの介護や看護の状況、離婚後の配偶者の治療や生活などを
含んで裁判官が判断します。 - その他婚姻を継続しがたい重大な事由のあるとき
→性格の不一致・配偶者の親族とのトラブル・多額の借金
家庭内暴力(DV)・ギャンブルや浪費癖・性交渉の拒否
犯罪による長期懲役などがこれに該当します。
裁判を起こすまでの手順
裁判離婚を行うためには,以下の必要な条件を整え訴訟を行うことが必要です。
- 離婚を求める内容とその理由を書いた訴状を作成する。
- 訴状で述べた事項を裏付ける証拠を用意する。
- 調停不成立調書をそろえる。
- 戸籍謄本を取得する。養育費や財産分与を求める場合は収入や財産に関する資料も用意しておく。
- 上記の書類を管轄の家庭裁判所へ提出する。
離婚を認めてもらうには,上記の離婚原因に該当する事実を主張し,それを裏付ける必要があります。
裁判の始まりから終結まで
訴状提出後、約1ヶ月後に、第1回目の期日が開かれます。
(期日とは裁判が開かれる日のことをいいます。)
この時までに、相手方(被告)は訴状に反論する書面を提出します。
裁判はどういった流れで行われる?
原告が提出した訴状一式が正式に受領されると,裁判所から被告へ呼び出し状が送付されます。
被告は呼出状を受領してから、第1回期日までの間に、弁護士と十分な打ち合わせをしたり証拠を揃えたりすることが困難な場合もありますので、簡単な答弁書だけを出して、詳細については、第2回目の期日までに提出するということも良くあります。
被告が、第2回期日に詳細な反論書面を出したら、第3回期日までに、原告がそれに反論する書面を提出します。
被告が、第3回期日に原告から提出された反論書面に対し、さらに反論したいことがあれば、第4回期日までに書面で反論するという形で、原告・被告が交互に反論し合います。
各期日は約1ヶ月間隔で開かれますので、その間に弁護士と打ち合わせて、主張をまとめたり、証拠を準備したりすることになります。
このように、当分の間は、書面でのやりとりがメインですので、実際の裁判では、双方の弁護士のみが出席するという場合が多いように思われます。
お互い書面で反論をし尽くした段階で、当事者双方が出席して当事者尋問が行われます。
この当事者尋問では、各当事者がそれぞれ証言席に座り、双方の弁護士や裁判官からの質問に答えることになります。
判決後の手続き
提出された証拠や本人尋問の結果をふまえ、裁判所が、離婚を認めるか認めないかの判断(判決)を行います。
判決は、本人尋問の約1ヶ月後~2ヶ月後に下されることが多いように思われます。
離婚裁判では、判決の時に、当事者や弁護士が法廷に出席する必要はありません。実際の裁判でも、出席することは稀だと思います。
離婚を認めるか・認めないかの結論と、その結論に至った理由が記載された判決書が、裁判所から送達されてきますので、それを見て裁判所の最終的な判断を知ることになります。
離婚を認めるという判決が下されても、相手方がそれに不服の場合、判決の送達の日から14日以内に、高等裁判所に控訴されることがあります。その場合には、場所を変えて裁判が続くことになります。
控訴されることなく、14日の控訴期間が過ぎれば、判決が確定します。
判決が確定したら、10日以内に、原告が判決書の謄本と確定証明書を持って、市区町村役場に離婚の届出を行います。
裁判中に離婚とその条件に合意した場合は?
離婚訴訟の途中で、当事者双方が離婚や離婚条件について合意に至り離婚が成立することを和解離婚といいます。
裁判中でもお互い話し合いで解決する意向がある場合には、裁判官が間に入って、お互いの意見を調整してくれます。
また、場合によっては裁判官が和解案を示してくれますが,納得いかない場合には応じる必要はありません。
離婚訴訟の途中であっても,離婚に合意した際には和解調書が作成されます。
和解調書には判決と同じ法的な効力があるため、記された養育費の取り決めや慰謝料の支払い、財産分与などの支払いが滞った時には、強制執行を行う事が出来ます。
もちろん、和解調書に法的効力があるとはいえ、離婚届の提出は必要です。
申立人は和解離婚確定日を含め、10日以内に市区町村役場へ和解調書の謄本を添えて離婚届を提出しなければなりません。
離婚裁判に弁護士は必要?
裁判は弁護士を付けなくとも申し立てることができます。
しかし協議離婚、調停離婚以上に、法律の専門知識や技術が必要です。
裁判を起こしたとしても知識がないために思っていたような判決を得られないリスクも考えられます。
また裁判官を説得する書面の作成や,どういった証拠を提出すると有利か?等,1人で考えることは難しいと思います。
また和解離婚となった際の条件も,この内容で本当に合意していいのか・・・と思うこともあるかもしれません。
弁護士に依頼すれば,あなたの代理人として余すことなく主張し,裁判が有利に進むよう尽力いたします。
また最初の訴訟提起から離婚後まであなたをしっかりとサポートしますので,精神的な負担も和らぐかと思います。
離婚裁判を検討している方は,弁護士に相談することをおすすめします。