モラハラ夫との約束に反して子連れ別居した妻が監護権を獲得した事例

目次
ご相談までの経緯

家族構成
依頼者:妻(会社員)
相手方:夫(会社員)
子ども:未就学児1人
ご相談までの経緯
妻は夫からのDV・モラハラに悩んでおり,夫婦で離婚協議を行っていました。
妻は離婚協議中に別居先や子どもの新しい登園先を決め,別居の予定を夫に伝えました。
しかしその数日後,夫は家庭裁判所に監護者指定の調停を申し立て,さらには妻に対し「(夫の)同意がないまま,勝手に子どもを連れて別居しないように」と告げてきました。
妻はその発言に対し否定をしませんでした。
しかし,妻の離婚・別居の意思は固かったため,夫と“無断で子連れ別居しない”と約束したにもかかわらず別居を開始しました。
監護者指定調停・審判

当職は,離婚および監護者指定調停等の妻の代理人となりました。
そして夫が申し立てた調停に対し,答弁書の作成を行いました。
夫は妻の家事・育児の問題点を指摘していたため,妻が子どもを出産してから現在に至るまでの監護状況や,子どもの健康状態に関する内容を記載し,それに伴う資料も証拠として提出しました。
また,妻は同居中から夫と喧嘩した出来事などを日記に付けており,これをモラハラがあった証拠として提出しました。
調停で双方の話がまとまる気配はなかったため,早期に審判に移行し,どちらが子の監護者として相応しいか確認すべく調査官調査を行うことが決まりました。
調査官調査
裁判所はまず,夫および妻の両方から従前の監護状況に関する聞き取り調査を行いました。
続いて,妻・夫の自宅および実家の調査,別居前・別居後の通園先の調査を行い,最後は裁判所で父子・母子の交流場面観察が実施されました。
下記は調査の結果の一部です。
- 父子関係・母子関係はともに良好である。
- 夫も相応に監護を担っていたことは認めるが,質・量ともに妻が担っている割合が多い。
- 現在妻が一人で子を監護しているが,保育園の調査の結果から,別居後に監護の質が低下したような事情は伺えなかった。
- 妻は必要な場合には監護補助者(母方祖母)の助けを借りながら,監護していくことができる。
- 妻を監護者に指定することが相当である。ただし父子関係自体は良好で,面会交流を禁止すべき事情はなく,子の健全な発達のためには,父子の面会について別途定めることが望ましい。
裁判所の判断
調査結果や双方の主張をもとに裁判所は下記の内容の審判を出しました。
- 従前の監護状況からは申立人(夫)と相手方(妻)がともに監護に関与しており,どちらかの監護に大きな問題があったとまではいえないところ,今後の監護態勢についても,大きな問題は見受けられない。
- 別居の経緯に関しては,相手方(妻)の行動は違法性を帯びるものといえるが,その違法性の程度が高いとではいえず,監護者指定に関して,その結論を左右するものとはいえない。
- 現在,未成年者(子)が,相手方(妻)の監護下において,問題なく順調に成長していることも併せ考慮すれば,未成年者の心身の成長に資するという観点からみて,相手方において,未成年者の監護者として,引きつづき監護をしていくことが適切である。
- 申立人(夫)は,未成年者の健康管理等に関しても,より適正を備えている旨を主張しているが,前記までに述べたところに照らし,その判断を左右するものではない。
として,未成年者の監護者には,相手方(妻)を指定するのが相当である としました。
事案のポイント

本件は事前に夫と“無断で子連れ別居しない”と約束したにもかかわらず,その約束に反して別居を決行したことや,同居中,夫も監護を多くになっていたことから,妻が不利になる可能性がありました。
裁判所がきちんと調査を行い,母子関係が良好であることや別居後も子どもは妻の監護下で健全に育っていることが認められ,妻が監護者に指定されました。




