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令和6年4月1日より施行される「改正DV防止法」をわかりやすく解説!!
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律が令和5年5月12日に成立し、同年5月19日に交付されました。令和6年4月1日から施行されます。
今回の改正で、よりDV被害者が安全に避難し、避難後の生活ができるようなります。重要な改正ですので、詳しくチェックしていきたいと思います!
今回の法改正の大きなポイント:「保護命令制度の拡充」「保護命令違反の厳罰化」
今回の改正の大きなポイント「保護命令」。
聞いたことはあるけれど、実際どのような制度なのかは知らない人が多いのではないでしょうか?
保護命令とは
被害者からの申立てに基づき、裁判所が、相手配偶者に対して、被害者の身辺へのつきまといや住居等の付近のはいかい等の一定の行為を禁止する命令(下記)を発令する制度
具体的には、以下の命令を出すことが出来る。
- 被害者への接近禁止命令(身辺へのつきまといや住居・勤務先等の付近のはいかいの禁止)
- 同居する未成年の子/親族等への接近禁止命令
- 被害者への電話等禁止命令(無言電話や緊急時以外の連続する電話・FAX・メール送信等の禁止)
- 退去等命令(被害者と共に住む住居からの退去、住居付近のはいかいの禁止
本人だけでなく、同居する子や親族も対象になるのは安心ですね。
では今回の改正で、具体的に何が変わるのかを見ていきましょう。
①「接近禁止命令等の申立てをすることができる被害者」の範囲の拡大
現行は、
身体に対する暴力を受けた者、「生命又は身体」に対する加害の告知による脅迫を受けた者
ですが、ここに
「自由、名誉又は財産」に対する加害の告知による脅迫を受けた者
が加わりました!
つまりどんなことをされた場合に保護命令の対象になるのでしょう?
こんなことを言われていませんか?「加害の告知による脅迫」に当てはまります。
分類 | 言葉の例 |
---|---|
生命 | 殺してやる |
身体 | 腕をへし折ってやる、殴るぞ |
自由 | 一生ここから出さないからな |
名誉 | ネットに公表してやる、ネットで写真をばらまいてやる |
財産 | お前の家を燃やしてやる |
このような言葉を言われている場合には、「LINEやメール」「録音」等の証拠を取っておきましょう。保護命令の申立ての際に加害者が認めなかった場合、発令が難しくなります。
②「接近禁止令の発令要件」の拡大
①の「接近禁止命令等の申立てをすることができる被害者」が保護命令を裁判所に申し立てた場合の発令要件について、現行は、
更なる身体に対する暴力により身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき
ですが、
更なる身体に対する暴力又は生命・身体・自由等に対する脅迫により心身に重大な危害を受けるおそれが大きいとき
と、発令要件の範囲が拡大されました!
③接近禁止令の期間の伸張
現行は、
6ヶ月間
ですが、
1年間
に伸張されました!
④「電話等禁止命令の対象行為」の拡大
現行は、
緊急時以外の電話、ファクシミリ、電子メールの送信
ですが、ここに
緊急時以外の連続した文書の送付・SNS等の送信、緊急時以外の深夜早朝(午後10時~午前6時)のSNS等の送信、性的羞恥心を害する電磁的記録の送信、位置情報の無承諾取得を追加
が加わりました!
LINE等のSNSの普及に伴った改正になったんですね。
⑤「子への電話等禁止命令」の創設
④でも説明した「被害者への電話等禁止命令」について、現行は、
被害者が対象
ですが、
被害者と同居する未成年の子に対し、「子への電話等禁止命令」が創設※
になりました!
※被害者への接近禁止命令の要件のほか、被害者が当該子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があること、15歳以上の子についてはその同意があること 等の要件があります。
DV加害者が被害者の子どもに対し、連れ去りの画策、つきまとい等をするケースがあります。携帯電話等の電子機器を子どもが持つことが当たり前になった時流に合わせた改正と言えますね。
⑥退去等命令の期間の特例の新設
配偶者又は生活の本拠を共にする交際相手に被害者と共に生活の本拠としている住居からの退去及び住居の付近のはいかいの禁止を命ずる退去命令ですが、現行は
2ヶ月間
ですが、
住居の所有者又は賃借人が被害者のみである場合には、申立てにより6か月間
になりました!
⑦保護命令違反の厳罰化
現行は
1年以下の懲役/100万円以下の罰金
ですが、
2年以下の懲役/200万円以下の罰金
になりました!
DVかなと思ったら・・・まずは専門機関にご相談ください
いかがでしたでしょうか?今回の改正で、精神的DVでも保護命令が出せるようになったことは大きな変化だと思います。
安全面に関してはもちろん、金銭面についても、保護命令が出された場合、児童扶養手当の支給を受けることができます(DV・モラハラでの別居では保護命令が出されていない場合、児童扶養手当の支給要件に当てはまりません。離婚が成立するまで児童扶養手当は受けることができません。)ので、今回、保護命令の対象が拡大されたことによって、DV避難で別居している方の生活の負担の軽減にも繋がる可能性があります。
法改正だけでなく、NPO法人や自治体等、DV被害者支援の充実の実現のために動いている団体も多くあります。しかし、一番大切なのは、被害者の方が相談できる場所があること、相談してみようと思えることが大切だと思っています。
法律事務所リベロでは、DV・モラハラに関しての相談を積極的に受け付けております。離婚は考えていない、本当にDVやモラハラかも分からない、そのような場合でも全く問題ありません。ぜひお気軽にお問い合わせください。
これからもリベロでは、DVやモラハラ、離婚に関する新情報を定期的に発信して行きますので、是非チェックしてください!