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調査官調査で子どもは何を聞かれる?年齢別によくある質問と調査官が見ていること

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士 東京弁護士会所属

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士 東京弁護士会所属

離婚や親権をめぐる話し合いが家庭裁判所に進むと、「調査官調査」という言葉を耳にすることがあります。

特に、お子さんが調査官と面接をすると聞くと、「うちの子は何を聞かれるのだろう」「変なことを言ってしまわないか」と、不安に感じる方は少なくありません。

このコラムでは、家庭裁判所調査官がどのような場面で、どのようなことを子どもに尋ねるのか、年齢による違いを踏まえてご紹介します。
事前に流れを知っておくことで、少しでも気持ちが軽くなれば幸いです。

目次

そもそも調査官調査とは?

調査官調査は、両親が別居中や離婚後にどちらの親と暮らすかなど、子どもに関わる事項を裁判所が判断するにあたり、子ども自身の生活状況や気持ちを把握するために行われるものです。

こうした調査の中で、「子の心情調査」「子の意向調査」として子どもとの面接が設けられることがあり、子どもの「今の暮らし」や「気持ち」を丁寧に聞き取ります。

調査官調査そのものの目的や全体の流れについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

今回のコラムでは、その中でも「子の心情調査」「子の意向調査」に絞って、年齢別によくある質問の内容や、調査官が見ているポイントをご紹介します。

面接はどこで行われるの?

面接が行われる場所は、大きく分けて「家庭裁判所」と「家庭訪問」の2つのパターンがあります。

年齢が低い子どもの初めての面接や、日常の養育環境そのものを把握する必要がある場合には、自宅を訪ねる家庭訪問の形がとられることがあります。

普段の部屋の様子や暮らしぶりを直接見られる分、子どもにとっても慣れた環境で話しやすいという利点があります。

ただし、家庭訪問には、その場にいる監護している親の影響を受けやすいという側面もあるため、必要に応じて、その親の姿が見えない・声が聞こえない別室を用意したうえで面接が行われることもあります。

一方、ある程度年齢の高い子どもに意向や心情を聴取する場合や、人形遊びや箱庭などを通して子どもの気持ちや反応を観察する必要がある場合には、両親の影響を受けにくい中立的な場所である家庭裁判所で面接が行われます。

しかし、裁判所は子どもにとって緊張しやすい場所なので、年齢が低い子どもの場合は、まずは監護している親との同席から始め、場に慣れてから個別の面接に移るといった方法もとられます。

また、事件によっては、子どもと別居している親が実際に交流する様子(交流場面観察)が行われることもあります。

調査官は、親子がどのように関わっているか、子どもが安心して過ごせているかなどを観察し、親子関係を把握する資料とします。

面接は1回で行われることが多いですが、事件の内容によっては複数回実施されることもあります。

面接はどんな流れで進むの?

場所にかかわらず、面接はいきなり本題に入るのではなく、子どもが安心できるような導入から始まります。

調査官はまず、遊びや好きなことなど身近な話題から会話をスタートさせ、子どもの理解力や言葉での表現の仕方を自然に把握していきます。

そのうえで、「今日は誰と何のために会っているのか」を子どもにわかりやすく伝え、緊張をほぐしながら、少しずつ日々の生活の様子、そして両親に関する話題へと会話を広げていきます。

この段階的な進め方によって、子どもが構えすぎることなく、自然な気持ちを話しやすい状態をつくっています。

調査官は子どもに何を聞くの?子の心情調査・意向調査の目的

子どもへの面接は、「子の心情調査」「子の意向調査」と呼ばれます。

ここでいう子の意向(心情)とは、単に「お父さんとお母さんのどちらと暮らしたいか」という一問一答の答えを指すものではありません。

両親の対立や自分が置かれている状況を子どもがどう受け止めているか、両親や家族への思い、これからの生活への希望や不安といった、子どもの現状認識や感情全体を指す言葉です。

一般に、10歳前後は子どもが抽象的な思考や認識を獲得し始める発達の節目とされており、おおよそ10歳を目安に、10歳未満では「心情調査」、10歳以上では「意向調査」と呼ばれることがあります。

ただし、これはあくまで目安であり、厳密な年齢基準が定められているわけではありません。

面接では、主に次のようなことが確認されます。

調査に対する子どもの理解

子どもが「今日は誰と何のために会っているのか」をどの程度理解しているかは、面接で語られる内容を正しく読み解くための前提として、とても重要です。

そのため調査官は、面接の導入部分でまず、子ども自身がどのように説明を受け、どう理解しているかを確認します。

もし誤った説明を受けていたり理解が不十分だったりする場合には、そのつど正しい情報を伝えながら面接を進めていきます。

子どもの発達の状況

言葉の理解力や記憶力、表現力は、年齢や個人差によって大きく異なります。
調査官は、子どもの発達状況を踏まえたうえで、その子に合った聞き方や関わり方を選んでいます。

今の生活、これまでの生活の様子

現在の生活状況や、両親が同居していたころの様子について、事実としての情報を把握するとともに、その暮らしの中で子どもがどのような気持ちでいたのかを丁寧に聞き取ります。

子どもが自分の気持ちを言葉だけで説明するのは、大人が思う以上に難しいことです。

そのため調査官は、子どもが語る具体的な出来事や生活の様子と、話しているときの表情・しぐさ・声のトーンなどをあわせて見ながら、子どもの気持ちを総合的に理解しようとします。

両親への思い、両親との関係

子どもが父母それぞれにどのような思いを抱いているか、そしてどのような関係性を築いているかも、大切な確認事項です。

楽しかったこと、困ったこと、日々のちょっとした関わりなど、具体的なエピソードを聞きながら、その際の表情や様子も注意深く観察されます。

「どちらと暮らしたいか」を聞くための面接ではない

意向調査というと、「どちらの親と暮らしたいですか」と子どもに直接答えを求めるための手続だと思われがちです。

しかし、本来の目的は、子どもに二者択一の答えを求めることではありません。

とはいえ、実際には多くの親御さんが、調査結果にその答えを期待してしまう面もあります。

また、ある程度年齢が上の子どもの中には、自分自身も「どちらと暮らしたいか」を聞かれることを予期していたり、自分の意思を伝えたい、尊重してほしいと考えている子も一定数います。

年齢が上がるほど、こうした本人の意向を確認すること自体に意味が出てくる場合がありますが、その際には子どもに過度な心理的負担がかからないよう、様々な配慮がなされています。

年齢によって聞き方は大きく変わる

調査官は、子どもの年齢や発達段階に応じて質問の内容や聞き方を変えています。
同じ質問を全員にするわけではありません。

子どもは発達段階によって、ものの理解の仕方も、気持ちの表し方もまったく異なります。
そのため調査官は、年齢に応じて質問の仕方や面接の進め方を工夫しています。

3〜6歳ごろ

この時期の子どもは、言葉で気持ちを説明することがまだ十分にはできません。

そのため調査官は、話の内容そのものよりも、声の調子や表情、話す速度といった「話しぶり全体」から気持ちを読み取ろうとします。

また、現実と空想の区別があいまいな時期でもあり、絵を描いたり、おもちゃの人形や箱庭などを使いながら遊びの中で家族の話題を引き出す工夫がされます。

何も語らないときは、以前一緒に暮らしていた親との思い出やペットの話題などをきっかけに、子どもの反応をそっと観察することもあります。

面接の最初には、たとえば「今日は何時に起きたの?」「朝ご飯は何を食べたの?」といった、日々の暮らしについてのやさしい問いかけから始まります。

子どもが答えやすい話題から少しずつ、「そういうとき、お母さんはどうするのかな?」というように、生活の中の親との関わりへと話が広がっていくイメージです。

小学校低学年ごろ

具体的なことについては考えられるようになる一方、まだ物事を極端にとらえたり、現実離れした想像をしたりする傾向も残っています。

両親の争いを「自分のせいだ」と感じてしまう子も多く、繊細な配慮が必要な時期です。

この年代では、「パパとママとのことで、〇〇さんの願いが3つかなうとしたら、何をお願いする?」といった質問が使われることがあります。

空想的な答えであっても、その奥にある子どもなりの気持ちを丁寧にくみ取ることが目的です。

このほか、「お父さんと会えないことについて、どう思う?」「お母さんとの暮らしで心配なことはどんなこと?」など、気持ちに寄り添いながら少しずつ核心に近づいていくような聞き方もされます。

ゲームやお絵描きなど、子どもが自然体でいられる活動を交えながら進められます。

小学校高学年(10歳前後~)ごろ

現実を客観的にとらえる力がつき、状況をある程度言葉で説明できるようになります。

しかし、まだ将来を見通したり物事を抽象的に理解したりする力は発展途上であり、「言葉」と「本当の気持ち」が一致しないことも珍しくありません。あえてはっきりとした意思を示さない子もいます。

一般的に、10歳前後以上からは、子ども自身の意向がより重視されるようになると言われています。

もちろん年齢だけで機械的に判断されるわけではありませんが、この時期以降は、面接の中でも本人の考えや希望を尋ねる比重が少しずつ大きくなっていく傾向があります。

そのため調査官は、面接の目的をきちんと説明したうえで、「最後は大人の責任で決めることだから、思っていることを自由に話してね」というように、子どもに過度な責任を負わせない伝え方を心がけています。

そのうえで、「これからの生活について、どんなふうに考えているの?」「お父さんもお母さんも、〇〇さんと一緒に暮らしたいと言っているんだけど、〇〇さんの希望があれば教えてくれる?」といった形で、少しずつ本人の意向を尋ねていきます。

調査官が大切にしていること

どの年齢であっても共通しているのは、調査官が子どもが安心して自分の気持ちを話せる環境をつくることを大切にしているという点です。

子どもは、両親のどちらかを傷つけたくないという気持ちや、「自分が言ったことで結果が決まってしまうのではないか」という不安から、本音を話せなくなることがあります。

そのため調査官は、「最後は大人が責任を持って判断すること」「話した内容だけで全てが決まるわけではないこと」を年齢や理解度に応じて丁寧に説明し、子どもが過度なプレッシャーを感じないよう配慮しています。

また、調査官は子どもに特定の答えを求めるのではなく、遊びや日常の会話も交えながら、子どもが自然な気持ちを表現できるよう面接を進めます。

よくある質問

調査官調査での子どもへの面接は、何歳から行われますか?

明確な年齢の下限が決まっているわけではありませんが、3歳ごろから対象になることがあります。

ただし年齢が低いほど、言葉での質問ではなく、遊びや日常の様子の観察を通じて気持ちを把握する方法が中心になります。

子どもが「お母さん(お父さん)と暮らしたい」とはっきり言わないと、不利になりますか?

不利になるとは限りません。特に小学校高学年ごろまでの子どもは、はっきりとした意思を示さないことも多く、調査官はそれを踏まえたうえで、日々の暮らしぶりや会話全体から気持ちを読み取ろうとします。

子どもの発言だけで結論が決まるわけではなく、他の様々な事情とあわせて総合的に判断されます。

子どもが面接で泣いてしまったら不利になりますか?

不利になるとは限りません。

調査官は、子どもの年齢や性格、初対面の大人と話すことへの緊張なども理解しています。

泣いたこと自体ではなく、どのような場面でどのような反応を示したのか、親との関わり方やその後の様子も含めて総合的に見ています。

面接に親は同席できますか?

面接の冒頭は、子どもが安心できるように監護している親との同席から始まることが一般的ですが、その後は子どもだけの個別面接に移ることが多くなります。

この「同席→分離→個別面接」という流れそのものにも意味があります。

親が席を外す際の子どもの反応、そして面接後に親と再会したときの様子は、子どもが養育者とどのような愛着関係を築いているかを見るうえでも参考になる場面とされています。

監護している親の影響を受けやすい場合には、その姿が見えない・声が聞こえない別室で行われることもあります。

子どもに調査官調査のことをどう説明すればいいですか?

「お父さんとお母さんのお話合いのお手伝いをしている人だよ」

「家庭裁判所でお父さんとお母さんがこれからの生活について話し合いをしているけど、〇〇ちゃんの生活の様子や気持ちを聞かせてほしいんだって」

等、年齢に応じた言葉で、「今日は誰と何のために会うのか」を事前に簡単に伝えておくと、子どもが安心して面接に臨みやすくなります。

その際、子どもを不安にさせないように「ママのお友達に会うよ」等、嘘を言うことは適切ではないとされています。

「あなたの発言だけで結果が決まるわけではない」ことも、必要に応じて調査官側からあらためて伝えられます。

面接の前に、子どもに何か言い聞かせておいた方がいいですか?

特定の答えを言うように誘導することは避けるべきとされています。

子どもが誘導や圧力を感じ取ると、かえって自然な気持ちを話しにくくなります。いつも通りの生活を送らせ、身構えさせすぎないことが大切です。

まとめ:親としてできること

調査官調査を控えていると、「何をどう伝えればいいのか」と身構えてしまう方も多いと思います。

ですが、調査官は子どもの発達段階を踏まえたうえで、無理なく気持ちを聞き取る専門的な技術を持っています。

調査官調査は、お子さんを追いつめるためのものではなく、お子さんの気持ちや生活の実情を理解し、子どもにとって最も望ましい環境を考えるための手続です。

親としてできる一番大切なことは、「こう答えなさい」と教えることではなく、子どもが安心して、ありのままの気持ちを話せるよう支えることです。

今回ご紹介した内容が、当日を迎えるにあたっての心構えの一助となれば幸いです。

参考文献:
金子隆男ほか『親権(監護権)の帰すうを判断することが求められる家事事件における子どもとの面接の在り方について』家裁調査官研究紀要1号
片岡武ほか『家庭裁判所における監護者指定・保全の実務』日本加除出版、2021年

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法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約19年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。
離婚相談件数750件超。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
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