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【2026年4月施行】離婚後の共同親権|DV・モラハラがある場合は拒否できる?

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士

2026年4月から、離婚後も父母双方に親権を認める「共同親権」を含む改正民法が施行されます。

この制度について、

  • 「もう離婚してるけど、勝手に共同親権に変わる?」
  • 「共同親権になったら、相手の言うこと全部聞かなきゃいけない?」
  • 「DVやモラハラがあっても共同親権になるの?」

そんな不安を抱えている方は少なくありません。

結論から言うと、
共同親権は自動的に適用されるものではありません。
そして、DV・モラハラがある場合にも、安易に共同親権が認められる制度でもありません

このコラムでは、

  • 離婚後の共同親権はどんな夫婦が対象になるのか
  • DV・モラハラがある場合、何が重視されるのか
  • 「共同親権なのだから子連れ別居は違法だ」と脅されても振り回されない考え方

について解説します。

目次

【2026年4月民法改正】離婚後の親権はどう変わる?

今回の民法改正で明確になったのは、「親権の有無にかかわらず、父母には子を養育する責任がある」という点です。

  • 離婚後、子どもと同居していない親も扶養義務を負う
  • 養育費の支払いは「任意」ではなく責務である

つまり、共同親権は「親の権利を強める制度」ではなく、子どもに対する責任をどう分担するかを問う制度です。

どんな夫婦が「離婚後共同親権」になるの?

2026年4月から離婚後共同親権が導入されますが、すべての夫婦が自動的に共同親権になるわけではありません。
裁判所や制度が想定しているのは、離婚後も現実的に協力できる父母です。

具体的には、

  • 離婚後も連絡や協議が成立している
  • 子どもの生活方針について大きな対立がない
  • 威圧・支配・恐怖関係が存在しない

「話し合いが成立すること」「子どもの生活が安定すること」これが共同親権の大前提です。

DV・モラハラがある場合は共同親権にならない?

DVやモラハラがある場合、共同親権は慎重に判断されます

共同親権は「協議」が前提です。威圧的な言動や支配関係がある時点で、共同で親権を行使できる関係とは言えません

たとえば、

  • 威圧的な言動が続いている
  • 協議が成立せず、一方の意向が押し付けられている
  • 子どもや監護親が強い心理的負担を受けている

こうした事情があれば、「両親で育てる形式」よりも子どもが安心して生活できる環境が優先されます。

相手が「共同親権を希望している」それだけで共同親権になることはありません。
裁判所が見るのは、それが「子の利益」にかなうか、つまり子どもの生活や養育が安定し、混乱なく続けられるかどうかです。

すでに離婚した父母が共同親権へ「自動的に」変わることはない

改正民法が施行されても、すでに単独親権で離婚している人が、自動的に共同親権になることはありません。

共同親権への変更には、

  • 相手からの申立て(親権者変更調停申立)
  • 家庭裁判所での調停・審判

が必要です。

「法律が変わったから、今日から共同親権です」ということはおきません。

親権変更が認められるかは「子どもの利益」が基準

仮に相手が共同親権への変更を申し立てても、裁判所が重視するのは親の希望ではありません。

  • 父母が現実的に協力できるか
  • 連絡や協議が成り立っているか
  • 子どもの生活に混乱が生じないか

対立が激しく、実質的な共同養育が期待できない場合には、共同親権は「子どもの利益に反する」と判断される可能性があります。

よくある誤解と疑問(Q&A)

共同親権になったら、DV・モラハラ避難の無断別居や転居は違法?

いいえ、違法にはなりません。

法務省の共同親権の解説でも、DVや虐待からの避難は「急迫の事情」にあたり、無断転居であっても違法にならないと明記しています。

ただし、DVモラハラ加害者は自分がDVモラハラをしている自覚が無いことがほとんどなので、「本当にDV・モラハラがあったのか」「避難が必要だったのか」が争点になる可能性は高いです。

DV・モラハラ加害者は「違法だ」「DVでっちあげだ」「無断別居だ」などと脅してくることが多いですが、それを真に受けて話し合いで別居を認めてもらう必要はありません。

重要なのは、

  • DV・モラハラの内容(日記、録音、写真等)
  • 別居・転居に至った経緯

を、淡々と記録しておくことです。

DV・モラハラの証拠がなければ子連れ避難は違法になる?

法務省は、「DVの立証ができなければ違法になる」とはしていません。
DVは、加害者・被害者ともに自覚がない場合もあることを前提に、個別の事情を踏まえて判断されるとされています。

ただし、DV・モラハラ加害者との離婚では、「監護者指定(離婚まで誰が子どもと同居するか)」や「子の引き渡し」を巡って争いになるケースが多いのが現実です。

モラハラは身体的DVと違い、写真などの分かりやすい証拠を残しにくいですが、日々のモラハラ被害を記録したメモや日記これまで自分が子育てを担ってきた記録は、有効な証拠になり得ますので、残しておくことが大切です。

共同親権になったら学校や病院の手続きは両親の署名が必要?

共同親権の場合、学校の手続きや、心身に重大な影響を与える医療行為(緊急時を除く)については、原則として父母双方の同意が必要とされています。
もっとも、手続きの際に必ず両親の署名が求められるわけではありません
婚姻中でも、父母の一方の署名・押印をもって、他方の黙示的な同意があるものとして取り扱われることがあります。
共同親権においても同様に、他方の親権者の同意は、必ずしも明示的なものに限られず、黙示的な同意でも足りるとされています。

養育費を払ってこなかった親でも共同親権になれる?

長期間、合理的理由なく養育費を支払っていない場合、 共同親権への変更が認められない方向に働く事情になるとされています。

まとめ:共同親権でも「安全を犠牲にする義務」はない

共同親権は、双方の同意があり、現実的に協力関係を築ける父母が選択できる制度です。
一方が我慢を強いられることを前提とした制度ではありません。

DV・モラハラがある場合は、子どもと監護親の安全が最優先で考慮されます。

今後、共同親権が施行されることで、DV・モラハラ加害者から「共同親権なんだから従え」「無断で別居したら違法だ」といった声が、より大きく聞こえてくる場面もあるかもしれません。

しかし、DV・モラハラをしている時点で、父母が互いに人格を尊重し、協力する義務はすでに破綻しています。

相手の言葉に反応して消耗する必要はありません。
淡々と記録を整え、事実を積み上げ、子どもの利益を守る行動を選ぶこと
それが、共同親権時代においてもブレない軸になります。

DV・モラハラがある離婚で、裁判所がどのような証拠や事情を重視するのかについては、こちらの記事も参考になります。

↓↓↓↓

参考文献

法律事務所リベロの
3つの強み

  • 当事務所はお受けする離婚事件の7、8割がDVモラハラ事件です。豊富なノウハウと実績があります。
    ※事案によってはお受けできない案件もございます。
  • 離婚事件に携わり18年の所長弁護士が、ご相談からアフターフォローまで責任を持って対応いたします。
  • 遠方の方・お子様がいて来所が難しい方はお電話でのご相談も対応いたします。
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法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約18年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。
離婚相談件数750件超。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約18年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。離婚相談件数750件超極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。

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