DV・モラハラで“自分が悪いから殴られた”と思ってしまう心理と、その誤解

「私が悪かったから殴られた。」
「私が怒らせたから何時間も怒鳴られた。」
「私がもっと我慢すればよかった。」
そう思っている方へ、最初にお伝えしたいことがあります。
この記事で一番伝えたいことは、次の4つです。
- どんなことがあっても、暴力を振るう理由にはなりません
- 何時間も責め続けられるのは、あなたに問題があるからではありません
- もし友達から同じ話を聞いたら、「そんなことで暴力を振るわれる筋合いはないよ」と思うはずです
- 相手の機嫌や仕事の失敗、ストレスは相手自身の問題です。
DV・モラハラを受け続けると、少しずつ「普通」の感覚が書き換えられていきます。
その結果、他人が被害に遭っているときは「それはおかしい」と気づけるのに、自分のことになると「私が悪いから仕方ない」と考えてしまうことがあります。
この記事では、暴力や支配のない関係では当たり前とされる考え方を、一つずつお伝えします。
目次
どんなことがあっても、殴られる理由にはなりません

「私が悪かったから殴られた。」
モラハラやDVの被害を受けている方から、とてもよく聞く言葉です。
もちろん、人間関係では自分に反省すべき点があることはあります。
相手を傷つける言葉を言ってしまった。
約束を破ってしまった。
嘘をついてしまった。
そうした出来事が原因で、相手が怒ることや、「もう一緒にはいられない」と別れを選ぶことはあるでしょう。
しかし、それと「殴ること」は全く別の問題です。
多くの人は、どれほど腹が立っても、暴力を問題解決の手段には選びません。
話し合う。
距離を置く。
家を出る。
別れる。
そうした選択肢があるからです。
だから、
「私が悪かったから別れることになった」
ということはあっても、
「私が悪かったから殴られた」
という因果関係は成り立ちません。
ここで大切なのは、「どんなことがあっても」という言葉です。
「でも私は、本当にひどいことをしたんです。」
そう思う方もいるでしょう。
この記事でいう「どんなこと」には、あなたが今思い浮かべている、その出来事も含まれます。
暴力は、相手の行動への「当然の結果」ではありません。
暴力は、暴力を選んだ人自身の責任です。
何時間も責め続けられるのは、あなたに問題があるからではありません

「お前が何度言ってもわからないから。」
「お前が反省しないから。」
「お前が常識がないから俺が教えてやってるんだ。」
そう言われ続けるうちに、「何時間も責められるのは自分が悪いからだ」と思ってしまう方がいます。
でも、それは違います。
人は誰でも、怒ることがあります。
気持ちを伝えようとして、強い言葉になることもあります。
しかし、何時間も相手を責め続けたり、叱責や説教を繰り返したりすることは、本来の「話し合い」とは別のものです。
そこでは、問題を解決することよりも、相手を追い詰めたり、恐怖や圧力によって従わせたりすることが目的になっていることがあります。
もしあなたが「自分が悪いから仕方ない」と思っているなら、一度だけ視点を変えてみてください。
あなたは、大切な友人や子どもに対して、何時間も責め続けるでしょうか。
きっと、そうはしないはずです。
それは、長時間責め続けても問題は解決しないことを知っているからです。
健全な関係であれば、どれほど問題があっても、一方だけが責め続ける形で話し合いが終わることはありません。
相手を長時間責め続けることは、関係を修復する方法ではなく、関係を壊す行為です。
そしてその責任は、「責められた側」ではなく、「長時間責め続けるという行動を選んだ側」にあります。
相手の問題を、あなたが背負う必要はありません

相手の機嫌の悪さや、仕事での失敗、日々のストレスは、本来その人自身が向き合うべき問題です。
もちろん、夫婦や家族の中で影響を受けることはありますし、支え合う場面もあるでしょう。
しかし、相手の問題をすべて自分の責任として抱え込む必要はありません。
相手がうまくいかなかったこと、思い通りにならなかったことまで、あなたが引き受け続ける必要はありません。
それを理由に怒鳴られたり、責められ続けたりすることは、本来あなたが背負うべきものではありません。
本来、感情やストレスはその人自身が扱うべきものであり、他人にぶつけることで解決するものではないからです。
もしあなたが「私のせいで機嫌が悪くなったのかもしれない」と感じているなら、一度だけ立ち止まって考えてみてください。
それは本当に、あなた一人の責任でしょうか。
そして、それをすべて背負う必要が本当にあるでしょうか。
もし判断に迷うときは、一度、自分ではなく、大切な友達の話として考えてみてください。
もし大切な友達から同じ話を聞いたら、どう感じるでしょうか

「私が悪かったから殴られた。」
「何時間も怒鳴られたけど、私がちゃんとできていないから仕方ない。」
もし友達から同じような相談をされたとしたら、多くの人はこう感じるはずです。
「それはやりすぎじゃない?」
「そこまでされることではないよ。」
「あなたが悪いとしても、それとは別の問題だよ。」
つまり、他人のこととして聞いたときには、私たちは比較的冷静に状況を判断できます。
暴力や長時間の叱責を「仕方ない」とは考えず、むしろ「それは違う」と感じることがほとんどです。
ところが、自分のことになると、その基準が急に変わってしまいます。
「私が悪いから仕方ない」
「私さえ我慢すればいい」
自分のことになると、人はとても厳しい基準を自分だけに向けてしまうことがあります。
しかし、その“友達に向けた判断”こそが、あなた自身にも当てはまる基準です。
もし同じ状況を大切な人が経験していたら、あなたはきっと「それは違う」と言うはずです。
その感覚を、自分に向けてはいけない理由はありません。
相談する相手によって、見え方は変わります

自分の中の基準を少し取り戻せても、「誰に相談するか」はとても大切です。
あなたが今持っている価値観は、短期間でできたものではありません。
長い時間の中で、繰り返された言葉や経験によって、少しずつ形づくられてきたものです。
そして、人は誰でも、自分が「当たり前」だと思っている価値観を基準に物事を判断します。
また、人は価値観が近い人と関わることが多い傾向があります。
そのため、身近な家族や友人に相談したときも、その人自身の価値観を前提とした答えが返ってくることがあります。
例えば、
「夫婦なら多少は我慢するものだよ。」
「相手を怒らせないように気をつけた方がいい。」
「あなたにも原因があるんじゃない?」
そんな言葉をかけられることもあるかもしれません。
もちろん、その人たちに悪意があるとは限りません。
多くの場合は、自分がこれまで当たり前だと思って生きてきた価値観の中で、一生懸命助言をしてくれているだけです。
しかし、その価値観自体が「暴力や長時間の叱責を許してしまう考え方」を含んでいる場合には、あなたは「やっぱり私が悪いんだ」と思い込んでしまうことがあります。
だからこそ、当事者との関係から少し距離のある第三者や、DV・モラハラについて知識のある専門家に相談することには意味があります。
第三者は、あなたや相手のこれまでの人間関係や価値観を前提にするのではなく、
「暴力は暴力として考える」
という視点から状況を見ることができます。
そのため、これまで「当たり前」だと思っていた出来事が、「それは普通ではなかったのかもしれない」と見え方が変わることがあります。
大切なのは、一人の意見だけで自分を判断しないことです。
身近な人の言葉も参考になりますが、それだけで結論を出さず、別の視点にも触れてみてください。
そうすることで、今まで見えていなかったことが見えてくる場合があります。
まとめ

ここまでお伝えしたように、「私が悪かったから殴られた」「私が怒らせたから何時間も怒鳴られた」という考え方は、事実とは分けて考える必要があります。
人間関係の中で、自分に反省すべき点があることはあります。
しかし、それと暴力や長時間の叱責は別の問題です。
暴力は「仕方ない結果」ではなく、選ばれた行動です。
怒鳴り続けることも、相手が自分のストレスや感情を適切に扱えず、あなたに向けてしまっている状態です。
そして、多くの人は、他人のことなら「それはおかしい」と比較的冷静に判断できます。
その判断は、あなた自身にも向けてよいものです。
もしこの記事を読んでもまだ「それでも私が悪い」と思うなら、それはあなたがおかしいからではありません。
長い時間をかけて身についた考え方は、一度で変わるものではないからです。
一人で結論を出さず、信頼できる第三者やDV・モラハラについて相談できる専門機関にも話を聞いてもらってください。
どんな理由があっても、あなたが暴力を受けていい理由はありません。
DVモラハラ加害者の特徴について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
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