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離婚する場合、戸籍や苗字の手続きは何をする?子が未成年・成人の場合の手続きについて解説!

監修者:弁護士 渡辺秀行 法律事務所リベロ(東京都足立区)所長弁護士

監修者:弁護士 渡辺秀行

 法律事務所リベロ(東京都足立区)
 所長弁護士

親が離婚する際に必要な手続で問題となるのが、「戸籍」と「離婚後の姓」についてです。子どもが未成年の場合は、離婚後に旧姓に戻るか、婚姻時の姓を継続するのか、選択する方法によって行う手続きが違います。

また、自分が大人になってから両親が離婚することになり、自分の戸籍や名字はどうなるの?と疑問に思っている方もいらっしゃると思います。

このコラムでは、親が離婚する場合、子どもの戸籍や姓はどうなるか、必要な手続きについて解説していきます。

目次

離婚の際に発生する戸籍の変更手続き

離婚届けを出したら戸籍はどうなる?

両親が離婚すると、通常、夫婦が一緒に属していた戸籍から一方が抜けます。この際、離婚した配偶者は結婚前の旧姓に戻るか、離婚後も夫婦で使用していた名字を引き続き使う「婚氏続称」を選択できます。

婚姻時の戸籍から外れた母親は、原則、

  • 元(婚姻前)の戸籍に戻る
  • 自分を筆頭者とする新たな戸籍を作る

という2つのパターンを選択できます。何も手続きをしない場合は、①元の戸籍に自動的に戻ります。②新しい戸籍を作るのは、以下の場合です。

新しい戸籍を作るケース

  • 両親の他界等で婚姻前の戸籍が除籍になっている時(戻れる戸籍がない)
  • 旧姓に戻すが、子どもがいて同じ戸籍にしたい時(一つの戸籍に入れるのは親子2代まで)
  • 婚姻時の姓を引き続き名乗りたい時(姓が異なる場合は旧姓の戸籍に入れません)

→本籍地または所在地の市区町村役場で手続き

旧姓に戻らない場合の手続き

結婚時に苗字を配偶者側に合わせた場合、離婚をすると原則として旧姓に戻ります。これは「復氏」と呼ばれ、民法767条1項に基づいています。ただし、離婚後3か月以内「婚氏続称の届け出(離婚の際に称していた氏を称する届)」を行えば、結婚中の苗字を引き続き使用することが可能です。離婚届と同時に提出することで、旧姓に戻ること無くそのまま婚姻中の姓のままになります。

一方、結婚時に苗字を変更していない場合は、離婚しても旧姓への変更手続きは不要です。

「婚氏続称の届け出」に必要な書類

  • 離婚の際に称していた氏を称する届
  • 本人確認書類(免許証等)

→本籍地または所在地の市区町村役場で手続き

旧姓に戻る場合の「子の氏の変更許可申立」

離婚後、子どもの戸籍と名字は、自動的に親権者と同じになるわけではありません。たとえば、母親が親権者となり旧姓に戻った場合でも、子どもの姓はそのまま婚姻時の姓が続きます。法律上、親権者と子どもの姓を同一にしなければならないという決まりはありません。

離婚後、親権者と子どもの名字を統一させたい場合は、「子の氏の変更許可申立」家庭裁判所に行う必要があります。これにより、子どもの名字を親権者の姓に変更することが認められた後、市区町村役場で戸籍の変更手続きを行います。

「子の氏の変更許可申し立て」に必要な書類(詳しくは裁判所HPをご覧ください)

  • 申立書
  • 収入印紙800円分(子1人につき)
  • 連絡用の郵便切手(申立てする家庭裁判所へ確認)
  • 申立人(子)の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 父・母の戸籍謄本(全部事項証明書)(父母の離婚の場合、離婚の記載のあるもの)

子の住所地の家庭裁判所へ提出(郵送可)

子を自分の戸籍に入れる「入籍届」

離婚し、自分を筆頭者とした新たな戸籍を作成した後、役所に「子の入籍届」を提出します。旧姓に戻す場合は、裁判所から交付された「子の氏の変更許可審判書謄本」がないと入籍届を提出できないので注意が必要です。

「入籍届」に必要な書類(詳しくは各自治体に確認してください)

  • 入籍届1通(子一人につき)
  • 家庭裁判所が発行する「子の氏の変更許可審判書謄本」(旧姓に戻る場合)

→本籍地または所在地の市区町村役場で手続き

戸籍関係の手続きが楽になりました

令和6年3月1日から、自治体での戸籍届出時における戸籍証明書等の添付が不要となりました。婚姻届や離婚届など、届出する自治体が本籍地か否かに関わらず、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)の添付は不要です。

子が成人している場合

成人の戸籍や氏名への影響

両親の離婚が成人後に起きた場合も、基本的には未成年の場合と一緒で、何もしなければ戸籍は離婚前の戸籍のまま、名字もそのままです。親が旧姓に戻り、それに伴って子どもも旧姓に変更を希望する場合、家庭裁判所への「子の氏の変更許可申立」をし、「入籍届」を提出します。ただし、この手続きは未成年者の場合よりも煩雑ではなく、成年の場合は本人が申立人として進めることになります。

分籍という選択肢

分籍とは、成人が親の戸籍から抜けて自分自身の戸籍を作ることを指します。成年に達すると、分籍を選択することが可能になります。親の離婚をきっかけに、分籍をするという方もいらっしゃいます。

分籍の手続きは比較的簡単で、本籍地の市区町村役場で届け出をすることで完了します。また、分籍を行うことで親の戸籍上の変化に左右されることがなくなるため、精神的な独立を感じることができるというメリットがあります。分籍をしても、相続関係や親の扶養関係に影響はありませんが、一度分籍したら元の戸籍には戻ることはできません。

注意点

婚氏続称届を提出したが、後から旧姓に戻したい時

「子どもの生活を考えて離婚後も婚姻中の姓を使用していたが、子どもの独立を機に旧姓に戻したい」というケースなど、婚氏続称届を提出した後に旧姓に戻したい場合、簡単に旧姓に戻すことはできません。

旧姓に戻すには、家庭裁判所に「氏の変更許可の申立て」を行い、許可を得る必要があります。変更が認められるためには、「やむを得ない事情」があることを証明する必要があります。申立書には、申立ての理由の記載と、申立ての理由を証明する資料(戸籍謄本等)も共に提出します。

申立ての理由の記載例(裁判所HPより)

三ヶ月以内に「婚氏続称の届出」を出し忘れた時

離婚の届出日から3ヶ月を経過している場合は、「婚氏続称の届出」を提出することはできません。上記の「後から旧姓に戻したい」ケースと同様に、家庭裁判所に「氏の変更許可の申立て」をし、変更の許可を得る必要があります。手続きが煩雑になってしまうので、3ヶ月以内に忘れずに提出しましょう。

まとめ

このコラムでは、離婚後の戸籍と名字変更の法的手続きについて解説しました。離婚後の姓については、法的な手続きの外にも、職場への届出、銀行口座、クレジットカード、保険、子どもの学校への届出など社会生活や仕事において多くの変更手続きが必要になります。変更手続きの漏れがないよう、事前に手続きリストを作成しておくとスムーズです。また、離婚後の姓を旧姓に戻すか、婚姻時の姓を名乗り続けるかは、自身の生活環境や将来の計画を踏まえて慎重に判断することが重要です。

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所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけています。離婚・DV・モラハラでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
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