面会交流の場では,子の年齢に応じて,どういった配慮が必要ですか?

目次

(1)子が1歳程度までの場合の面会交流

非監護親が主たる監護者として専ら養育してきた場合や父母共同して子を監護してきた場合を除けば,子は監護親から離されると,著しい不安を覚えることが多いと考えられています。
そこで,その不安を除去するためには,監護親が面会に付添うことが考えられます。その場合でも,子が人見知りをして,顔を見ただけで泣き出してしまう状態にあるときには,短時間で面会を終わらせるなどの工夫も必要です。

(2)子が2,3歳の場合

非監護親に養育や面会交流の実績があったり,子との関係が良好で,子が監護親との分離による不安を示すことがない場合や一時的に不安を感じても,非監護親がこれに適切に対応出来る場合には,付添人なしでも面会交流は可能と考えられています。
他方,非監護親が養育等の実績が十分でなく,子が監護親との分離に強い不安を感じたり,面会交流中の子の監護に適切に対応できない場合は,監護親や第三者機関の付添いが必要と考えられています。
ただし,平成8年3月18日,岐阜家庭裁判所大垣支部は,「子は未だ3歳と幼年であり,これまでも母親である相手方から一時も離れることなく成育されてきたものであって,相手方(母)の手から離れ,異なった環境の中で,申立人(父)と時間を過ごすということは子に少なからぬ不安感を与えるものであると思える。現に,子が申立人(父)と面接した後には情緒不安定な徴候がみられることを考えると,現段階での,申立人(父)との面会交渉を認めることには躊躇えざるを得ない」として,直接の面会交流を認めず,間接交流のみを認めました。

(3)就学前の子(4~6歳)との面会交流

子が就学前の段階は,多くの場合,子が幼稚園等に通学しているため,基本的には,面会交流に監護親の付添いは不要と考えられています。しかし,子と非監護親との交流がしばらく途切れていたような場合には,子も不安感を抱くため,はじめのうちは,監護親が付添って,短時間の交流を何度か重ね,子が一人でも安心出来るようになった段階で,付添いをなくし,時間も延長するなどの工夫も必要と考えられています。

(4)小学生の子(6~8歳)との面会交流

子が就学する年齢になれば,監護親の付添いは,原則,不要と考えられています。
ただし,この時期になると,子の意思がはっきりとしてくるだけでなく,子にとって,学校生活(宿題等),交友関係や習い事,スポーツなどが大切になってくるため,これらを妨げない配慮も必要となってきます。
例えば,スポーツクラブの練習などで,どうしても面会交流の時間がとれないような場合には,送り迎えをしたり,練習や試合を見学するといった面会交流の方法も考えられます。

(5)小学校高学年(8~11歳)以上の子との面会交流

小学校低学年の子と比べて,より一層,子の意思や子の生活リズムを尊重する必要があります。

(6)子が単独で面会交流できる年齢に達している場合

面会交流の方法などは,子の意思を十分尊重した上で決めることになります。また,子が直接,非監護親と電話,メール,ライン等で連絡を取り合って,日時,場所,方法などを決めているケースも良くあります。

監修者情報

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行(東京弁護士会)

特許事務所にて 特許出願、中間処理等に従事したのち、平成17年旧司法試験合格。
平成19年広島弁護士会に登録し、山下江法律事務所に入所。
平成23年地元北千住にて独立、法律事務所リベロを設立。


弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけている。

法律事務所リベロ

所長 弁護士 渡辺秀行

  • 東京弁護士会所属
  • 慶応大学出身
  • 平成17年旧司法試験合格

弁護士として約17年にわたり、「DV・モラハラ事件」に積極的に携わっており、「離婚」等の家事事件を得意分野としている。極真空手歴約20年。
悩んでいる被害者の方に「自分の人生を生きてほしい」という思いから、DVモラハラ加害者との対峙にも決して怯まない「知識・経験」と「武道の精神」で依頼者を全力でサポートすることを心がけている。

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